あの場の空気はきっとそこにいた人たちでつくられていた。|清世さんの展覧会に行ってきました・前編
「展覧会をひらく」
そのことを知った日から、わたしのいちばん行きたい場所が決まりました。
文を書く人、絵を描く人。
いろんな人がnoteにいるなか、noteの世界を飛びだして「展覧会をひらく」と言ってくれた人がいます。
清世さんです。
ここ半年で清世さんと何度かnoteでやりとりをし、気づいたら会いたい人の一人となっていました。
会いにいきたい。その気持ちひとつ持って、清世さんの展覧会にいってきました。
その感想note前編です。
・会場につくまで
当日、品川にむかう新幹線の中では「いまから展覧会」という実感がなかった。
駅名のアナウンスが聞こえても、自分がどこにいるのかぴんとこない。
多分、緊張していた。
nolyさんの道案内noteをたどりながら、着々と会場へむかう。
道案内noteの写真と同じ風景を見つけるたびに、セーブポイントのような安心感。
ここまできてようやく、「いまから展覧会」の実感がわいてくる。じりりと緊張がせまってくる。
道案内noteのおかげで無事に到着。
着いた安心感と、想像できない場所に飛びこむどきどきがぐるぐる混ざる。入口につづく階段をのぼったところで、緊張に負けた。
のぼった階段をやっぱりおりて「着きました」のツイートをして、気持ちを整えてからもう一度のぼる。
とびらの前に立つと、ガラスごしにどうぞと言わんばかりに笑顔を向けてくれる人がいた。
その笑顔にちょっとほっとしたのも束の間。
入った瞬間、正直、どうしようととまどった。
思ったより人がいるし、すでに2、3人の輪ができているし。
わたしはどこにいればいいんだろうとソワソワしてしまった。
外から入ってきたばかりのわたしに、歌原さんが声をかけてくれて、清世さんセレクトのコーヒーをいただき、来場者メッセージを書いて……。
その場の空気を遠巻きにながめながら、少しずつ、落ちついてきた。
・絵のこと
とはいえ、すぐに輪に入れるわけではない。先にゆっくりと、清世さんの絵をみることにした。
デジタルではわからないこのボコボコ感やキラキラ。
見るだけで伝わってくる素材のすてきさ。
展覧会で飾られていた絵の中で、わたしが好きなのは「A〜第二回絵から小説〜」と「清き眠り」を。
このふたつは特に、なんでかわからないけど、惹きつけられてしかたがなかった。
「清き眠りを」はポストカードとしても販売していた。
あの絵だけ、雰囲気がちがった。たたずまいというのか。
一番奥にかざってあったこともあって、思いいれのある絵なのかなと思った。
あとから、その絵は祖父に贈った絵だと聞き、すこしだけつながった。
・「今日のあなた」を描く目の強さよ
絵をみたり、nolyさんのどんぐりケーキをいただいたりしているうちに、清世さんの「今日のあなたを描きます」がはじまる。
ポストカードに鉛筆で「今日のあなた」を描いてくれる企画。
そのとき清世さんが描いていたのはご家族4人の絵。
あとからnoteを読んで知ったのだけど、あのご家族はaiさんだったらしい。
展覧会感想noteを読み、ああ、あのときの!とあとから発見するたのしさもあるなんて。
さてさて、なごやかな家族の向かいにすわるのは清世さん。
絵を描いている清世さんはとにかくかっこいい。
足を組み、太ももの上にスケッチブックを置いて、ハガキをクリップではさむ。
えんぴつを先端よりも少しうえの位置で持って、さらさらと描いてていく。
なにより、あの大きな目が忘れられない。
じっと、「今日のあなた」を見つめては描いていく。そのまっすぐな視線はヒョウのように強くてひきこまれる。
これが、絵を描く人の目。
その場の空気ごと、全部とりこむ、感じとる。
そんな気迫すら感じた。
その姿を見て、わたしも描いてもらおうと心にきめた。
・その場の空気
入ってすぐの、身の置きどころにこまる感じは、絵を見て、描く清世さんを見て、noterさんたちとお話するうちにほぐれていった。
そうしてだんだんと、居たいように居ればいいのだとその場になじんでいった。
多分、わたしはどうしたらいいのかわからなかったんだろう。順路のない展覧会に戸惑ってしまった。
でも、順路なんてなくたって、好きなように居ればいい。そうやってつくられた空気はおだやかだった。
展覧会のあの空気を、言葉で表してみるのなら。
それはきっと「noteの世界」だと思う。
あたたかくて、やさしくて、いろんなことを好きな人が集まって、誰かの好きをたのしめる人がいて、
はじめましてなのに、なぜか安心できる人がいて。
わたしがnoteっていいなあと思う部分を、そのままあの部屋の空気にとかしたみたいだった。
展覧会に来ていた人はnoterさんが多かったから、それも関係しているのかもしれない。
・清世さんの言葉
そして、あの場にあつまるきっかけをくれたのは、間違いなく清世さん。
清世さんと話しているとき、とにかく心が浮足立っていた。
なんだろう、会って話してようやく実在を実感したというか。
そんなふわふわとした心地のせいで、何を話したかの記憶があいまい。
それでも、清世さんに「会えた!」と言ってもらえて、その言葉の輪郭がしっかりと耳の奥にのこっている。
「会えた」
そう、まさしく会えた。
うまく言えないのだけど、その響きに、ぜんぶ詰まっていた。
noteを通じて、絵と文章のやりとりをしてきた。やりとりのなかでうけとったもの、うけとってくれたものはたくさんあった。
そんな清世さんと、ようやく会えた。
・ ・ ・
清世さんの展覧会レポ前編でした。
展覧会からはや1か月弱。あれよあれよと時間がたってしまいましたが、あの日のことは色あたたかに心にのこっています。
清世さん、清世組のみなさん、
オンラインオフライン関わらず、ひとつの展覧会を一緒にたのしむことができたみなさん、本当にすてきな時間をありがとうございます。
いつ投稿できるかわかりませんが、後編もよろしくおねがいします。