世界史の沼にはまる本その1 マリー・アントワネット編
はじめに
世界史の中で、有名な女性なのに、その割にその最後の悲劇とか、本当はどうだったかなど、意外と知らないかったことが多いです。本人が無邪気であったこと。本人はフランス人では無かったこと。愛人と噂された人物もフランス人では無かったこと。切羽詰まった状態でも、王族という殻を脱ぎ捨てることができなかったこと。色々な要因が重なって、フランス革命において、人民の生け贄として、断頭台に載せられてしまった。まさに、悲劇の王妃ですよね。断頭台に載せられる前も、息子や娘とも切り離されるし、(その息子も結局行方知れずになってしまったし)、髪の毛は切られてしまい、汚い服のまま牢に押し込められる。後半は本当にただただひたすら悲しい話になっています。
それ故、色々な人が、色々な視点から本を書いていて、その中から読んだことのある本を紹介します。同じ人物の話でも、書く人によって違いが出てくるのが分かります。是非読み比べてみてください。比較的、日本の人が書いた本は、淡々と日付を追って書いている感じなのですが、翻訳物は、王族のしきたりの話とかが詳しかったりしてそれはまた面白いですよね。
1.小説
◎『王妃 マリー・アントワネット ~青春の光と影~』
『王妃 マリー・アントワネット ~華やかな悲劇~』
藤本ひとみ:著 KADOKAWA 角川文庫
(「こんな馬鹿なことをやっているから、フランス革命が起きたのよ」と言う視点から書かれた本です。)
◎『マリー・アントワネット』(上下全二冊)
アントニア・フレイザー:著 野中邦子:訳 早川書房 ハヤカワ文庫NF316
(マリー・アントワネットは、そんなに悪い人では無かったんですよ、と言う視点から書かれた本です。)
◎『マリー・アントワネット』(上下全二冊)
シュテファン・ツヴァイク:著 中野京子:訳
KADOKAWA 角川文庫
(この著者の本は、何人かの人が翻訳していますが、読んだのは角川文庫版です。マリー・アントワネットは、ここで、こんなことをしたから、この人を敵に回してしまったのです。そして、ついにフランス革命が起きてしまったのです。と言う視点から書かれた本です。他の出版社から出ている本との読み比べというのも、面白いかもしれません。)
◎『王妃 マリー・アントワネット』(上下全二冊)
遠藤周作:著 新潮社 新潮文庫
(前半は、いわゆる「首飾り事件」を軸に書かれていて、後半は「ヴァレンヌ逃亡事件」以降の話で、ただただ悲しい話になっています。ヴァレンヌ逃亡事件なんて、もうその身一つで逃げれば、逃げられたと思うのですが、荷物や従者など色々なものを持って逃げたので、大型の馬車でのたのた走っていたため、途中で捕まってしまうという悲しい結果になってしまっています。王族という殻を捨てられなかったのですね。)
◎『マリー・アントワネットの首飾り』
エリザベス・ハンド:著 野口百合子:訳 新潮社 新潮文庫
(フランス革命のきっかけになったと言われる、「首飾り事件」についての詳しいいきさつが書かれた本です。この事件は、マリー・アントワネットの名前を利用した詐欺事件で、マリー・アントワネットは被害者の一人なのですが、大衆はそうは思わなかったところがその後の悲劇を生んでしまったのですね。これは、映画の原作にもなっているはずです。)
◎『マリー・アントワネットの恋人』
藤本ひとみ:著 集英社 集英社文庫
(フランス革命を、裏の貴族側から見た小説になっています。こういう見方もあるのですね。なるほどという感じです。しかし、オーストリア貴族は、フランスでも言葉には困らなかったのでしょうか
? )
2.漫画
◎『ベルサイユのばら』(全五巻)
池田理代子:著 集英社 集英社文庫
(たしか、ツヴァイクさんの本を読んで、マリー・アントワネットは、世間で言われているような悪い人では無いんですよ、と言うことを皆に伝えたくて、書いた作品と言うことです。しかし、オスカルばかりが有名になってしまって、本当の趣旨は、読者には伝わらなかったと思います。池田理代子さんの新聞の記事を読んで、そのことを知りました。)
3.エッセイ
◎『マリー・アントワネットの生涯』
藤本ひとみ:著 中央公論新社 中公文庫
(この人の、マリー・アントワネットに関する記述は、頭から悪人で、軽薄で、わがままな女と決めつけています。だからギロチンにされてしまったのよ。完全に悪者扱いです。かわいそうなマリー・アントワネットです。)
扉の写真
春に咲く百合の花。テッポウユリでは無いようです。それでは、この百合は何者?
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