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日本史のぬかるみに足をとられてその3 鎌倉時代の悲劇の女性たち編

はじめに


 鎌倉時代は、武士の時代の始まりですが、その影で沢山の女性たちが悲しい目に遭っています。そんな女性たちを描いた小説を中心に、本の紹介をしたいと思います。

◎『花と舞と 一人静』
 篠 綾子:著 集英社 集英社文庫
(源義経の愛妾であった静御前の話です。白拍子という職業がどのような物であったかを知ることもできて良いです。)

◎『義経と郷姫』
 篠 綾子:著 KADOKAWA 角川文庫
(源義経の正妻で、比企一族の姫、郷(さと)姫の物語です。義経の妻として鎌倉から京都に送られて、その後、奥州まで義経を追いかけていって、義経と最後を供にした姫です。しかし、当時どうやって奥州まで行ったのでしょうか? そのあたりは分からないのか書かれていませんが、すごい行動力ですよね。)

◎『星月夜の鬼子母神』
 篠 綾子:著 集英社 集英社文庫
(これは、二代将軍の源頼家の妻で、比企一族の若狭局の話です。井戸が何回か出てきているので、最後も井戸が関わるのかと思ったのですが、そうではないようです。)

◎『竹の御所 鞠子』
 杉本苑子:著 中央公論新社 中公文庫
(この小説は、木曽義仲の娘と源頼家の間に生まれた娘の鞠子の話です。この当時は、あまり結婚相手の素性などはよく調べなかったようですね。この女性は、三代将軍の源実朝の後、将軍となった九条頼経の妻となった人です。)

◎『言の葉は、残りて』
 佐藤 雫:著 集英社 集英社文庫
(この小説は、源実朝とその妻で公家の娘である信子の話です。話的には、妻の信子の影響を受けて和歌の道にのめり込んでいったという展開です。実朝は、多くの人のイメージが、和歌ばかり詠んでいるヤワな男だと思います。単なるヤワな男では無い! そんな気持ちが、作者のこの小説を書くきっかけであったとのことです。実朝は、力では無く、「言の葉」で世の中を治めようとした将軍であるとのことでした。しかし、志半ばで殺されてしまいました。残念。)

◎『平家物語の女性たち』
 永井路子:著 文藝春秋 文春文庫
(平家物語に出てくる女性たちの物語を、人物別に書いています。平家の女性たちも、男たちの勝手な行動で、京都から福原、屋島、壇ノ浦とあちこち連れ回されて大変な目に遭ってしまいました。本当にかわいそうですね。しかも、壇ノ浦では、源義経の船の漕ぎ手を討ち取るという、武士の片隅にもおけない卑怯な作戦により、海に飛び込まざるをえない状況に追い込まれてしまいました。その情け容赦の無い仕打ちが、後の義経の悲劇につながっていったと思います。)

☆永井路子さんといえば、『北条政子』という小説も書いていますね。記録が手元にないので、タイトルだけの紹介になります。北条政子もよく考えてみれば、悲劇の女性ですよね。夫も、子供も、孫のほとんども、自分より先に逝ってしまいました。残ったのは北条一族だけという結果になりました。
 大河ドラマの『平清盛』の時の、女優の杏さんの、北条政子が一番強烈な印象があります。最初、「ジャングル少女マサコ」みたいな感じで登場してきて、もうひっくり返りそうでした。

※扉の写真
 ミョウガ、採れたよー! 
 

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