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孤島の窓辺から #002「拳は広げてゆきたい」
昨日まで、
お互いの手のひらを合わせて
仲良く手を繋いでいたのに、、、、
あることがきっかけで、
自分の拳を握りしめ、
お互いを傷つけ合ってしまうことがあります。
その手は広げるためのものなのか、
それとも固く握るものなのか。
広げていれば、
誰かを優しく包み込むこともできるかもしれないし、
硬く閉ざせば、相手を傷つける拳にもなる。
僕はできれば、
拳は広げておきたいと思うんです。
✳︎ ✳︎ ✳︎
あるボクサーの話。
ボクサーは戦うために
常に拳を握っています。
試合前に拳を握って巻いたバンテージは、
骨から固定されてしまい、
まわりの筋も筋肉も
握りこぶしに合わせて固まってしまう。
そうして試合前、相手を倒すために
一度握ってグローブに包まれた拳は、
試合後に再び広げることはなかなか難しいのだそう。
これは、
人の内面にも言えるのではないか。
人間同士が一度心を閉ざし、
維持を張り合ってしまうと、
どちらかが素直にならない限り
再び心を開くのは難しい。
できれば僕は、
拳を握るような生き方はしたくないな。
そんなことを考えています。
✳︎ ✳︎ ✳︎
アメリカが安全保障上のリスクを理由として、
中国人1000人超のビザを取り消したようです。
おそらくアメリカは、
自国の重要な技術や知的な財産が流出しないようにと、
中国の活動を懸念しての行動なのでしょう。
多くの国々が疑心暗鬼になっています。
今日も欧州で、中東で、アジアで、
それぞれの関係の中で
開いていたはずの掌が、
握りこぶしへと変わっている。
これは国家だけの話ではありません。
気がつけば、
何かに怒り、その拳を固く握っている自分。
理不尽に耐えて拳を握っている自分。
そうやって、
無意識に拳を握ってしまってはいないか。
国家がどうであろうと、
世界がどこに向かおうと。
僕は個人として、
常にその手を広げていたいと思うんです。
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