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【読書感想文】『ブルーピリオド』
(このnoteは2分で読めます。約2,200文字)
『ブルーピリオド』という漫画をご存じでしょうか。『月刊アフタヌーン』(講談社)にて連載されているマンガです。美術に目覚めた主人公の東京藝術大学受験への挑戦と、大学生時代について描かれています。
2020年にはマンガ大賞を受賞したことでも有名な漫画です。『今まで読んだ漫画で他人にオススメできる漫画を3つだけ挙げてください。』と言われたら、『ブルーピリオド』『宇宙兄弟』『GIANT KILLING』の3つを挙げます。それぐらい、『ブルーピリオド』はオススメできる漫画です。
このnoteでは、『ブルーピリオド』についての読書感想を書きます。内容の要約でなく、あくまで私の感想ですのでご了承ください。主観的な感想も多くございますので皆さまの広いお心で読んでいただけますと幸いです。
✅1、魅力①:美術についての理解が深まる
『ブルーピリオド』は、高校2年生の主人公が美術を学んでいく物語です。主人公の八虎は、美術について勉強したことがありません。全く美術を知らない段階から物語が描かれます。
そのため、漫画では八虎がどのように美術の力を身に付けていったかが詳細に描かれていきます。八虎が美術に対して理解が深まっていく過程を読者である私たちも追体験していくことができるのです。
漫画を読み進めていくごとに美術に対しての理解も深まっていきます。
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他にも、ピカソはなぜすごいのかなどの解説も出てきたりと、美術に対する理解が深まります。
✅2、魅力②:アートの作り手の思考が分かる
『ブルーピリオド』を読むと、アートを作る側がどのような思考でそのアートを作っているか感じることができます。
正直に言うと、私はアート鑑賞というものがあまり好きではありませんでした。学生時代にあった美術館での芸術鑑賞も決められたルートを最短で通り抜けて、感想文は適当に書くという感じでした。
展示されているアートに対して、その作り手がどのようなことを考えて、どのようなことを伝えたくてそのアートを制作したかという視点はありませんでした。
アートを作るとき、作り手はどのような思考でそのアートを作るのかを『ブルーピリオド』から知ることができます。例えば、大学生になった八虎が、アート課題について教授から中間レビューを受けるときこのような会話がなされます。
八虎:でも一応(描く対象として)早朝の渋谷とか選んだりしてるつもりですけど・・・
教授:この場合、渋谷は『モチーフ』でしょ?渋谷が『テーマ』だとしたらまだ選び足りてないな。
君は渋谷で何を表現したいの?
いや、渋谷の何を表現したいの?渋谷を何に表現したいの?渋谷を何で表現したいの?
『ソレ』を人に伝えるためにはどんな『思いつき』がピッタリくる?
どんな描き方?
どんなモチーフ?
どんな素材?
どんな大きさ?
どこにどうやって置く?
ソレが本当に伝えたいことにピッタリくるのか、吟味して、検証して、繰り返して、君の選んだものが君の作品になるの。
このシーンを読んだとき、アートに対する見方が180度変わりました。『なるほど、芸術鑑賞をするときは、アートの作り手が何を伝えたくて、どのように表現したのかということに目を向けないといけないのか。』と考えを改めました。
作り手側の思考が表現されていることも『ブルーピリオド』の魅力の1つです。
✅3、魅力③:考えさせられる内容が満載
『努力できるのは才能か?』と聞かれたら皆さんはなんと回答しますか?こういった内容はどこかのビジネス書に書かれていそうな内容ですが、驚くことなかれ。『ブルーピリオド』にもこの話題が出てきます。
八虎:・・・でも、「努力できるのは才能」って言われると何もやってないって言われてるみたいで
はっちゃん:論点がズレてるんだよね。「努力は努力」派は努力にかけた”コスト”の話をしてて、「努力できるのは才能」派はその人の"性質"の話をしているんだよ。でもそもそも、それってそんなに重要かな?
「才能」とか「努力」って言葉に囚われすぎじゃない?
だってこれって努力とか才能がどうって話じゃなくてさ、自分に寄り添った言葉を選ばずに土足で踏み込まれるのが嫌って話でしょ?
『努力できるのは才能か?』についてとても本質的な意見が出てきます。この他にも、『裸で死ぬことがためらわれるのであれば、まだ周りの目を気にしているわけだから、死ぬべき時ではない。』など、考えさせられるような内容が随所にちりばめられています。
これも『ブルーピリオド』の魅力の1つです。
✅4、まとめ
『ブルーピリオド』を読むと、美術館へ行きたくなると思います。2022年5月14日現在、『ブルーピリオド』は11巻まで刊行されていますが、完結していません。これからの主人公の活躍も期待できる漫画ですのでぜひ読んでみてください。
過去の読書感想文はマガジンでまとめております。ぜひ読んでみてください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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