創作日誌4 2020.12.18
本日、ポール・マッカートニーのニュー・アルバム、「マッカートニーⅢ」が発売された。買った。聴いた。うむ、いつもに増して即席な感じ。
いい曲もちゃんとあります。特に「ディープ・ダウン」がグルーヴィーで好き。他にもいくつか。それぞれの曲にちゃんと個性があるのはさすが。
だけど、今年中に出そうとして、焦った感はある。つまり完成度が低いってこと。だけど、それは以前の「マッカートニー」も「マッカートニーⅡ」も同じだし、その即席感を味わうのがいい。冬は「マッカートニー」を聴くと、あったかい気持ちになる。それはあの素朴さゆえだろう。
今回も、あったまるような感じがする――ような? ともかく、素朴なものは聴いていると意外とスリリングなので、私は好きだ。好きだ!
宅録感がいいね。基本独りなのがいいね。孤独にやるっていいね。仲間とやるのもいいけど、孤独にやるのって実は贅沢だよね。今のポールを満喫できるってわけで、このアルバム、好きだな~。初めは、ここ最近で一番手抜きだ、と感じたけど、やっぱりあったかさがある。
もともと、プロ・アマ問わず、宅録の音が好きなんです。プライベートな感じに、あったかみを感じて。自分の宅録を聴くのも好き。読み物で言えば、日記とか書きなぐりのメモみたいな。小説は作り込んだものだから、もちろん違う。エッセイは近いけど、磨かれすぎている。……ま、程度の問題かな?
そうか、独り録音の良さを生かすためには、あんまり手を入れすぎてはいけないんだな! 良さが相殺される。なるほど~。ポールはよく分かっている。その際どいところで仕上げる。さすが、ちゃんと大事なセンスがある!
ポールはゴテゴテにしたくない人で、できるだけシンプルを目指す人で、必要な要素さえあれば良いという考えの人だ。それは音楽のみならず、彼の人生全般でそうなのだろう。だからこそ、あのビッグ・ネームに飲み込まれずにやってこれたのだろう。
シンプル・イズ・ベスト!!
それで、思い出す。「ワンダフル・クリスマス・タイム」のサビ、『Simply having wonderful Christmas time』。やっぱりシンプルが好きなんだ。だから、あれほどのものを背負っているのに、あんなにカラッとしていられるんだ。この曲、素朴に身内とクリスマスを楽しむポールが思い浮かんで、やっぱりあったかい気持ちになれる。
私もできるだけ、シンプルを目指します。
このままポール評をするのも楽しいけど、それはまた別の機会に。今回は大事な学びを得た――シンプル・イズ・ベスト。
とかく複雑へと走りがちな小説においても、やはり必要な要素を的確に置くべきだ。結果、複雑に見える長編になったとしても、不要に長いわけでなければ、それはやはりスリリングなものになる。ドストエフスキーやトルストイがそうじゃないか。ドストエフスキーは、あの混乱したような文章自体が熱源になっているし。
基本は、シンプルを目指す。で、書きたい小説のイメージを想ったときに、書くべき要素がたくさんあれば、それは長くなるだろう。必要な長さだ。何でも12音にまとめる俳句というジャンルもあるけれど、小説はそういう縛りはない。自由すぎる。というか、それぞれ目指すものが違う。ま、小説なりの縛りがあるけれども、だからこそ面白いわけで。
うむ。
では、実践!
「昔々、アナログなおじいさんがいましたとさ。おじいさんは軒先に腰かけ、ぼんやり雲を見ていました。」
うーむ…………。
本日、終了。