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本日の本請け(2024.11月)

今月読んだ本と合わせた食べ物や飲み物など。

『政治学者、PTA会長になる』岡田憲治(毎日新聞出版)

積読チャンネルというYoutubeを見て買ったもの。

見た直後に面白そう!と買ったものの積読にすっかりなっていたのですが、ようやく読めました。

泡も飲めるアイスコーヒーだって

面白かった!PTAには縁がないのですが、読み進めていくうちにいつの間にかボランティアの話に。「好きなことをしているだけのはず」の人間として、身につまされるものがありました。

最初にこの本どういった本なのかの説明があったのがよかった。どう読めばいいかが明記されているのでわかりやすく、同時に、ああこうやって周囲の人に語りかけていったのだろうなあというのがわかる。時系列順ではなく、恐らくぼやかして書かねばならなかったところや反省を踏まえてかマイルドに書かれているところもある気がしますが、いやはや、この人と一度でいいから飲んでみたい、と思わせるお人柄。

これって、この人だから、うまくいっただけでは?
そう思ったところでの最後の流れ。もっと自分の周囲にも、きっと面白い人頼れる人がいるのでは?と思える一冊でした。

『サッカー・グラニーズ ボールを蹴って人生を切りひらいた南アフリカのおばあちゃんたちの物語』著・ジーン・ダフィ、訳・実川元子(平凡社)

積読チャンネルで紹介されていた本。

なんだか自分のために今読むべき本な気がしてすぐ買いました。その勘は間違えてなかった。すごく読んでよかった。

クリスマスブレンドのコーヒー

アフリカのおばあちゃんたちがサッカーチームを作ってサッカーを楽しんでいます。同じく中高年の年齢でサッカーを楽しむアメリカの著者がサッカーの大会に彼女たちを招待し、その一年後には逆にアフリカに遊びに行きます。

……筋としてはそれだけなんだけれど、南アフリカ共和国の歴史も詳しく知れてよかったし驚きもありました。アパルトヘイトって、教科書には載っていたし社会で習ったけれど、それが人々にどういう影響や波紋を残したのか、考えてみたこともなかった。
認知症の高齢女性がアフリカでどういう扱いを受けるのか、の部分では大げさでなく泣いてしまった。こんなことがあっていいわけがない。
アフリカのおばあちゃんたちがどういう人生を辿ってきたか、何を大事にしているかのインタビューも載っていました。すごいなと思うけれど、これって本当に、生き残ったのがこの人たちだったというだけで、その前に亡くなった人がたくさんいたんだろうと思うとやりきれなかった。

著者とグラニーズの友情がすばらしい。
そして、寄付をお願いされたときの著者の複雑な気持ちを隠さず書いているところもよかった。他にもこちらも思わず心配になるというか、著者の立場だったらそう思うだろうな、と思ったことがいくつもあって、そのどれもに著者がグラニーズたちと接するうちに違う答えを見つけていく様が見事だった。

『江戸POP道中文字栗毛』児玉雨子(集英社)

好きな作詞家の児玉雨子さん。彼女が書いた、江戸文芸をポップに紹介してくれる本です。積読していたのですが、ちょうど名古屋土産でかえるまんじゅうおいもあんをいただき、テンション上がってこのお菓子にはこの本でしょ!となって読むことに!
なぜならかえるまんじゅうは児玉さんが作詞した歌を歌うアンジュルムのアイドル、川名さんがすすめていたお菓子だから……!マリオネット37°、23時のペルソナとか好きです。

かえるまんじゅうはさつまいも味でほこほこ美味しかった

江戸文芸を紹介する連載をまとめたもので、中には題材にしたものを児玉さんなりに超訳したものも。
源氏物語などの古典、近現代文学は馴染みがありましたが、その間にある江戸文芸の知識はスカッと抜けていたので、なるほど!と面白い!でいっぱいになりました。

また、「今夜だけ浮かれたかった」は好きな歌で「浴衣を着なかった理由」の歌詞も好きだったので、作詞家さんの葛藤に心が痛くなりました。また好きになった。

『言語学者も知らない謎な日本語: 研究者の父、大学生の娘に若者言葉を学ぶ』石黒圭、石黒愛(教育評論社)

SNSのおすすめで見かけて購入。

ライトな社会言語学入門書と言ったところ。お父さんが娘さんに「これだから昭和は!」と言われたりしつつ親子だと思うとほっこり会話に感じられて、ふふふと読めました。

お土産でもらったホタテの燻製

「○○み」の解説に「深さ」は客観的に物差しで測れる尺度、「深み」は深度はわからないけれど実感として深いと感じる、とあって納得しました。「特殊詐欺」はよく聞くけれど、オレオレ詐欺ほどのインパクトがない上に、そもそも「詐欺」という言葉が友人間でも「行く行く詐欺でしょそれ」のように使えてしまって、金銭のからむ犯罪で使われる「詐欺」とは別物の名前がどちらかについていればよかったのにと考えてしまいました。
「イミフ」の意味には3つの意味があるという話も面白かった!「ファンサ」は「サービス」が1文字しか採用されていないので意味が取りにくくなるとか、「違くて」は「動詞の形容詞化」のような詳しい話が面白かった。

先日、中学生が「気まずくて死ぬ」と言っていたのを聞いたのですが、「気まずい」もこの中の解説にあってなんとなく、どういう意味で使いたかったのかもちろんわかるけど、彼らなりの意味、みたいなのを再認識したかも。
死ぬと聞こえてちょっとぎょとしちゃったんですが、気まず過ぎてどうしたらいいのかわからん、みたいなのが「死ぬ」になってる。この本で出てきた「神」「祈る」「難民」のように、本来の意味とは違って、大袈裟な言葉で大仰に表すのも若者言葉のニュアンスなのかもなーなどと思ったりしました。

『喫茶店の水』qp(左右社)

SNSでたまたま見かけたのですが、なぜか一度見た途端に欲しい!という気持ちが爆発してしまい、予約郵送購入。

左右社さんって、わざわざ名前入りでお手紙つけてくださるんですね。なんだか感動してしまった。満を持して、大好きな喫茶店に行き、ゆっくり読みました。なんとお客が自分ひとりだった(笑)。

水と共に……

ちょっとした撮影するようになったきっかけの話などのエッセイが折々挟まる他は、淡々と喫茶店の水の写真が続く。
コップが素敵なものも背景が素敵なものも、なんか普通のコップだなというのもいろいろ。水の量もバラバラ。
でもなんだか落ち着く、という。今でもたまにパラパラしてます。

『マジックミラー』有栖川有栖(文春文庫)

下の『有栖川有栖に捧げる七つの謎』を読んでいる最中に、『マジックミラー』のネタバレを含みます、と記載があったので、あれ読んでないな、じゃあ先に読もう……と読了。
キリがないので火村シリーズと江神シリーズ以外には手を出さない、と勝手に自分に課していたのですが後悔しました。はちゃめちゃに面白かった……。

早朝にコーヒー飲んだ

面白かった、私は有栖川有栖作品では『双頭の悪魔』が最も好きなんですがそれを思い出しました。こんなことよく考えついてかたちにするなあ。

トリックの他にも、私は有栖川作品に流れる情緒性のようなものが好きなんです。タイトルにそれが集約されている気がして好き。

『有栖川有栖に捧げる七つの謎』一穂ミチ、今村昌弘、白井智之、青崎有吾、阿津川辰海、織守きょうや、夕木春央(文春文庫)

有栖川有栖デビュー35周年を記念して、影響を受けた七人の作家が有栖川作品世界のお話を書く、トリビュートアンソロジー。

たまには……とカフェオレにしました

面白かった……!

今村昌弘さん以外、実は読んだことがなかったのですが、今後の購入の参考にしようと思う気になる作家さんが増えてしまいました。

特に好きだったのは一穂さん。
私が有栖川作品を好きなのはまさにそういうところ!と読みながら大きく何度も頷いてしまいました。
そして夕木さんの『有栖川有栖嫌いの謎』も面白かった!ドラマ火村英生が好きだったんですが、その要素も入っていて面白かった!

『マジックミラー』のネタバレがありますとなっていた白井智之さんの『ブラックミラー』。『マジックミラー』もよくこんなこと思いつくなと思ったんですが、このトリックもすごかった。タイトルの回収も好きでした。

『源氏物語 4 古典新訳コレクション』角田光代(河出文庫)

かれこれ2ヶ月くらいかかってしまいました。
源氏物語を読み切るのが今年の目標だったんですが、あと2巻、急ピッチで進めなければ!

源氏物語ミュージアムにて。「匂宮」という抹茶でした

この巻の冒頭では光源氏が栄華の極みにいて、『あさきゆめみし』では紫の上がいるにも関わらずこの後また欲を出して凋落していく印象があったんですが、光源氏はこのときからもうかなり人としてどうなのかな、なんて思ってしまいました(笑)。
玉鬘に対し夕顔への未練から気持ちを寄せ、でも玉鬘がモテるところも見たい!なんて思って蛍の演出までしちゃうの、控えめに言って「キモいな」と思ってしまいました(笑)。

家系図がだんだんすごいことになってきて、誰が誰だか悩むときも増えてきたのですが、趣味どきっ!のムック本が人物理解にすごく良くて助けられました。

『墨のゆらめき』三浦しをん(新潮社)

Audibleで何か読むものをと探していたら、以前にライブラリに入れていたものを発見。この作品はAudible先行作品で、リリース当初に入れて忘れていた。

くるみゆべし大好き。ちょっと墨っぽいかなって(笑)

真面目なホテルマンと、結婚式などの宛名書きをする書道家が出会い、親交を深めていく話。
書道家が綾野剛で浮かんでしまったら、彼の過去も綾野剛のやった役みたいな感じで笑ってしまった。

出会いの部分が長かったように感じて、もしかして続編あるのかなと期待しています。

『花菱夫妻の退魔帖 二』白川紺子(光文社文庫)

シリーズものの2巻。

今回は花菱家のメンバー紹介と、主人公がその仲を深めていく様子が描かれながら、今後の展開にも関わりそうな宗教や人物が出てきました。
ふたりの関係が深まっていく様子も微笑ましいです。

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