『姿勢評価とエクササイズの教科書』2023【サブスク】
理想的な立位姿勢
理想的な立位姿勢とは、身体動揺が少ない、姿勢を乱すような重力の影響が最小、筋活動やエネルギー消費が最小¹⁾である姿勢のことを言います。
理想的な立位姿勢は1889年にBrauneとFischerによって示されています。以下は、矢状面および前額面における理想的な立位姿勢アライメントになります。
矢状面における理想的な立位姿勢アライメント
図1 矢状面の理想的な立位姿勢
矢状面の重心線は、耳垂、肩峰、大転子、膝関節前部(膝蓋骨後面:膝前後径の前1/3)、外果の2~3cm前部を通ります(図1)。この時、上腕骨は床面に対し垂直位で、肩甲骨は、前額面から前方に約35°傾斜します。骨盤は、上前腸骨棘が上後腸骨棘より約2横指前傾位となります。
前額面における理想的な立位姿勢アライメント
図2 前額面の理想的な立位姿勢
前額面の重心線は、後方からみて、外後頭隆起、椎骨棘突起、殿裂、両膝関節の内側の中心、両内果間の中心を通ります(図2)。この時、肩甲骨の内側縁(肩甲棘から下角の手前まで)は棘突起と平行で、かつ胸椎棘突起との距離が成人男性では約7cm、成人女性では5~6cmあります。前方からみたときは、胸骨下角(下部肋骨のなす角度)は70~90°(左右それぞれ35~45°)となります。骨盤は腸骨稜が水平位で、膝関節は、約5°外反位となります。
矢状面における立位姿勢の分類と特徴
Kendall(ケンダル)は、脊柱の弯曲の特性からロードシス(前弯型)、カイホロードシス(後弯前弯型)、フラットバック(平背型)、スウェイバック(後弯平坦型)の4つに分類²⁾しています(図3)。この分類は、一般的な姿勢分類として世界的に普及しています。
図3 ケンダルによる姿勢分類
2)より画像引用
以下、各不良姿勢におけるアライメントの特徴になります。
ロードシス(前弯型)
図4 ロードシスの特徴
2)より画像引用一部改変
【アライメントの特徴(図4)】³⁾
骨盤の前傾と腰椎前弯の増強、膝関節の過伸展、足関節軽度底屈
カイホロードシス(後弯前弯型)
図5 カイホロードシスの特徴
2)より画像引用一部改変
【アライメントの特徴(図5)】³⁾
頭部前方変位、肩甲骨の外転、胸椎の後弯、腰椎前弯の増強、骨盤の前傾、股関節屈曲、膝関節の過伸展
フラットバック(平背型)
図6 フラットバックの特徴
2)より画像引用一部改変
【アライメントの特徴(図6)】³⁾
頭部前方変位、肩甲骨の外転、上部胸椎の後弯、下部胸椎の平坦、腰椎前弯の減少、骨盤の後傾、股関節および膝関節過伸展傾向、足関節軽度底屈
スウェイバック(後弯平坦型)
図7 スウェイバックの特徴
2)より画像引用一部改変
【アライメントの特徴(図7)】³⁾
頭部前方変位、胸椎後弯、腰椎平坦、骨盤・股関節は重心線より前方、骨盤ニュートラルまたは後傾(前傾の場合もあり)、股関節および膝関節過伸展
不良立位姿勢における短縮(過緊張)しやすい筋肉と延長(弱化)しやすい筋肉
ロードシス(前弯型、図8)
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