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姿勢・アライメントの臨床評価【サブスク】
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はじめに
このnoteは、誰にでもお役に立てるわけではありません。
ですが、以下に一つでも当てはまる方は、ぜひ読んでみてください。
✅姿勢やアライメントの基礎/基準を網羅的に学びたい
✅姿勢・アライメントの評価を的確に行えるようになりたい
✅「何が問題か」を捉える評価スキルを身につけたい
✅理学療法評価スキルを確実に身につけたい
このnoteは、『姿勢やアライメントを観察しても、何が問題かわからない』という方の臨床ヒントとなればという思いで作成しています。
そのためには、ヒト本来の骨格構造を十分に理解した上で、何が問題かを抽出できる評価スキルと知識が必要となります。
臨床力を高めるいちきっかけとなれば幸いです。
by rui
自己紹介
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はじめまして、forPTのrui(ルイ)です。理学療法士免許を取得し、現在は整形外科クリニックに勤務しています。
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それでは以下より、『姿勢・アライメントの臨床評価』になります。
立位姿勢の理想的なアライメント
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安静立位とは、自発的な身体動揺が少ない、姿勢を乱すような重力の影響が最小、筋活動やエネルギー消費が最小¹⁾であることが挙げられています。この安静立位(立位姿勢)における理想的なアライメントは、1889年にBrauneとFischerによって示されています。
以下は、矢状面および前額面における立位姿勢の理想的なアライメントになります(図1)。
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図1 矢状面および前額面における立位姿勢の理想的なアライメント
矢状面の重心線は、耳垂、肩峰、大転子、膝関節前部(膝蓋骨後面:膝前後径の前1/3)、外果の2~3cm前部を通ります。
前額面の重心線は、外後頭隆起、椎骨棘突起、殿裂、両膝関節の内側の中心、両内果間の中心を通ります。
良い姿勢の判断基準
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良い姿勢と悪い姿勢の判断基準は、どのような視点でみるかによって異なり、以下の5つの視点が挙げられています。
【良い姿勢と悪い姿勢の判断基準】¹⁾
1.力学的視点:力学的に安定していること
2.生理学的視点:生理的に疲労しにくいこと
3.心理学的視点:心理的に安定していること
4.作業効率的視点:作業効率が良いこと
5.美学的視点:美的にみて美しいこと
”良い姿勢”を目指すことが必ずしも症状やパフォーマンスの改善に繋がらないことは、セラピストが臨床で多く経験することだと思います。
しかし、ヒト本来の骨格構造(正常アライメント)を知っておくことや構造の左右差の比較は、問題点抽出のとても有用な判断材料となります。
今回のnoteでは、正常とされるアライメントを参考に、痛み・痺れなどの症状やパフォーマンス(動き)の改善を目的とする場合に、実際の臨床でどのような評価をしていくのかを次項以降でご紹介していきます。
頭部前方位の臨床評価
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頭部のアライメントで最も評価する機会が多い一つに、頭部前方位姿勢Forward head posture(FHP)が挙げられます。
頭部前方位姿勢は、18歳以上の成人および高齢者において頸部痛との関連性²⁾が示されています。また、片頭痛痛³⁾や顎関節痛⁴⁾との関連性を報告する文献や書籍も見られます。
頭部前方位姿勢の臨床評価は、矢状面における耳垂から床面への垂直線と肩峰から床面への垂直線でされることが多いです。耳垂が肩峰に対して前方に位置する場合に頭部前方位と判断されます(図2)。
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図2 頭部前方位姿勢の臨床評価
ただし、上記の評価法は、肩甲骨アライメントの影響を受ける点に注意が必要です。
例えば、肩甲骨が前方に変位している場合は、耳垂と肩峰の垂直線間距離が短くなることから、頭部前方位姿勢を見落とす可能性が挙げられます。
実際に、頭部前方位姿勢と巻き肩(肩甲骨前傾・外転位)は同時にみられる場合がある⁵⁾と調査でも報告されています。
これを踏まえて、信頼性が示され⁶⁾ていてかつ臨床でも簡便に評価しやすい頭蓋脊椎角(craniovertebral angle:以下CVA)も把握しておきましょう。
頭蓋脊椎角(CVA)とは、第7頸椎棘突起を通る水平線と第7頸椎棘突起から耳珠を通る線が成す角度⁷⁾です(図3)。正常なCVAは49.9度⁸⁾とされています。頭位が前方に位置するほど、CVAは小さくなります。
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図3 頭蓋脊椎角(CVA)
9)より画像引用一部日本語改変
実際の臨床では、ゴニオメーターを使ってCVAを測定することができます(図4)。
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図4 ゴニオメーターによるCVAの測定風景
10)より画像引用
【補足:頭部前方位姿勢(上部交差性症候群)のマッスルインバランス】
頭部前方位姿勢は、ヤンダ(Janda)の提唱により上部交差性症候群¹¹⁾と呼ばれます。
上部交差性症候群は、後上方の僧帽筋上部繊維と前下方の大胸筋の緊張、前上方の頸最長筋などの頸屈筋群(深層)と後下方にある肩甲骨下部を安定化させる僧帽筋中部・下部繊維、前鋸筋の筋力低下により生じる¹²⁾とされています(図5)。
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図5 上部交差性症候群の特徴的アライメントとマッスルインバランス
12)より画像引用
側弯症の臨床評価
脊柱側弯症は、脊柱が側方に弯曲し、椎体の側方転位と回旋を伴う病態¹³⁾です(図6)。
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図6 側弯症患者の背面と脊柱変形
14)より画像引用
臨床評価としては、立位または座位にて脊椎棘突起の触診によるアライメント評価やAdam's test(前屈テスト)が挙げられます(図7)。
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図7 側弯症患者の背面、前屈テストおよびレントゲン画像
(腰部左凸、胸椎部右凸(右肋骨隆起)の例)
15)より画像引用
側弯がある場合、前屈テストでは、椎体は凸側への回旋、棘突起は凹側への回旋、肋骨は凸側で隆起します¹³⁾(図8)。
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図8 側弯症患者の前屈テストにおける
背面の高さ左右差および肋骨・脊椎のアライメント
鎖骨のアライメント評価
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解剖学的肢位において、鎖骨の長軸はわずかに上方を向き(約5°)¹⁶⁾¹⁷⁾、前額面より20°後方に位置する⁴⁾¹⁸⁾とされています(図9)。
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図9 解剖学的肢位における鎖骨のアライメント
ただし、実際には健常であっても鎖骨挙上角が水平線より下降している(鎖骨下制位)例も少なくはありません。臨床像として、牽引型胸郭出口症候群では、鎖骨下制位を呈しているケースは多くみられます。
また、鎖骨の可動性は、上方へ45°、下方へ5°、前方へ15°、後 方へ15°、50°回旋とされています¹⁹⁾。
鎖骨の臨床評価では、鎖骨アライメントの左右差比較や、前胸部の可動性(前胸部柔軟性テスト)と合わせて複合的に評価するのをおすすめします。
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図10 前胸部柔軟性テスト
20)より画像引用
上腕骨のアライメント評価
上腕骨は、矢状面において床面に対して垂直位¹³⁾とされています(図11)。
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図11 矢状面における上腕骨のアライメント
上腕骨のアライメントでは、上腕骨の前方偏位および上方偏位が問題となるケースが多いです。
上腕骨前方偏位の臨床評価
ここから先は
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