【検証】なぜデスクワークは腰に悪いのか?
こんにちは。
フォレスト出版の森上です。
日本人のうち、1200万人が常時腰痛を抱えて生活し、もはや国民病といわれる「腰痛」。腰を引き起こす原因の1つに、よくいわれているのが「デスクワーク」です。
せたがや手技均整院院長にして、全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会認定パーソナルフィットネストレーナーとして、今までに数万人に及ぶ腰痛患者さんの施術し、腰痛改善をしてきた鈴木登士彦先生は、先週発売された新刊『腰痛は肛門力で治る』の中で、「デスクワークが腰に悪い」理由と対策法について詳しく解説しています。
今回は、同書の中からその該当箇所を一部編集して公開します。
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デスクワークは腹圧を弱らせ腰を壊す
PC普及で、腰痛発症率は上がった!?
まだPC が普及していなかった昭和のデスクワーカーと令和のデスクワーカーとでは、腹圧のかかり方は違うのでしょうか?
言い方を変えると、PC作業が増えると、腰痛発症率も高まるのでしょうか?
一般的には1995年にマイクロソフトが販売を開始したOS「Windows95」を搭載したパソコンの登場以後、インターネットの普及も伴って企業業務のパソコン化が進んだと言われています。
2001年には90%以上の企業でパソコンは利用され、現代ではほぼ100%近くの事業所や企業で、なんらかのPC業務は行なわれています。
残念ながら、PC普及前後での腰痛発症率の比較を調べたデータを見つけることができませんでしたが、個人的な感想で言えば、PC業務に移り変わってからのほうが、圧倒的に腰痛を発症する比率は高いと思っています。
なぜならば、実際には推奨されているデスクワークにおける正しい姿勢と言われる「骨盤を立て、頭を垂直軸上に保ちながらPCに向かい合う」ことなど、経験的にできないことを知っているからです。
なぜデスクワークは腰に悪いのか?
集中すればするほど、首を前に出し、骨盤を後ろに落とした前のめりの前傾姿勢となっていき、腹圧をかけることができずにコアバランスは乱れ、背骨の安定性は消失されていきます。
この姿勢でドローインのようにお腹を絞り上げて腹圧をつくろうとすると、おへそを背骨側に入れ込むことはできますが、十分なパワーハウスの形成には至りません。
この状態を毎日数時間行ない続けていては、腰痛にならないほうが難しいでしょう。
PC作業に限らず、デスクワーク一般がこのような姿勢を取り続けているわけですから、腰痛の出現率は低いはずがありません。
「腰痛」と「肩こり」の深い関係
もう1つ、デスクワークが腹圧を弱めて、腰痛を引き起こす大きな要因があります。
それが「肩こり」です。
肩こりは、肩甲骨周辺から首にかけての筋肉が強わばり、コリを感じる現象です。
「肩がこる」ということは、多かれ少なかれ、胸郭が弾力を失っている状態です。必然的に呼吸が浅く、小さくなります。
呼吸は体の中の一番大きな循環システムなので、浅い呼吸を続けていれば、当然血液~リンパの流れが滞ります。結果として、いらぬ筋緊張を引き起こすことになります。
単純にデスクワークの姿勢は、腰に影響の深い臀筋や下肢の筋肉を硬化させますが、肩こりが招く浅い呼吸が、腰周辺の筋肉の緊張をよりいっそうと助長するのです。
デスクワークで腰痛を引き起こさないコツ
だが、一度立ち上がってゆっくりと息を吐ききり、パワーハウスを形成してから座ってみてください。
いかがでしょうか? よくない姿勢が取りづらくなってはいないでしょうか?
きちんと腹圧がかかった状態をつくってから座ると、デスクワークをしていても腰痛にはなりづらく、肩こりにもなりづらいのです。
慣れてくれば、座っても腹圧の入力は簡単にできるようになりますが、立った状態で呼吸を使ってインナーユニットを動員してから仕事にかかってみてください。気がつくと腹圧が抜けていると思いますが、何度も繰り返して行なうことで、腰痛は予防できます。
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いかがでしたか?
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