【伝え方】DJポリスも学ぶ、相手が気持ちよく動いてくれる伝え方
こんにちは。
フォレスト出版編集部の森上です。
パワハラ、モラハラなど、ハラスメントに対する意識が年々高まってきている昨今、多くの上司やチームリーダー、親御さんたちは、自分が「相手にこうしてほしい」と思うことをうまく伝えることに四苦八苦しています。
相手にやってほしいこと、伝えたいこと、言いたいことが、思いどおりに言えない、伝わらない――。
そんな悩みを一挙に解決する新刊『気持ちよく人が動く伝え方』(大野晴己・著)が、全国書店およびネット書店で1月23日(Amazonは1月22日発売開始)に発売されるんです。
著者の大野さんは、2013年のサッカーW杯出場を決めた当日、渋谷スクランブル交差点に押し寄せた熱狂的なサッカーファンに対して、交差点の指揮車上でマイクを握って安全誘導アナウンスを行なって全国的に注目を集めた「DJポリス」のマニュアルの修正や加筆、「DJポリス研修」を担当した人物。
「混乱を避け、安全を確保する」ために、あの群衆に対する、あの上手な伝え方のノウハウ、コツを盛り込んだ1冊になっています。
そこで今回は、同書発売に先立ち、このnoteで特別に、同書の「はじめに」と「目次」を全文公開します。
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はじめに
この本は書名タイトルのとおり、部下や同僚、チームメンバー、子どもに、抵抗なく気持ちよく動いてもらうための「伝え方」の本です。
パワハラ、モラハラなど、ハラスメントに対する意識が年々高まってきている昨今、多くの上司やチームリーダー、親御さんたちは、自分が「相手にこうしてほしい」と思うことをうまく伝えることに四苦八苦しています。
相手にやってほしいこと、伝えたいこと、言いたいことが、思いどおりに言えない、伝わらない――。
そのもどかしさは、個人の心理面はもちろん、組織や集団におけるマネジメントにおいても大きなダメージ、損失になるでしょう。例えば、企業であれば、収益をあげるために必要なノウハウやアドバイスを部下やチームメンバーに的確に伝えて、行動してもらわなければ、その企業はいずれ経営破綻してしまいます。
では、どうすればいいのでしょうか?
その答えを本書でお伝えしていきます。
本書の重要キーワードに「スピーチロック」という言葉があります。
これは、ひと言で言うと、「相手の行動を制限する言い方」。つまり、言葉の選び方、伝え方によって、相手の行動を制限し、心理的にも負荷をかける「言葉の拘束」をしてしまう可能性があります。
逆に言えば、「スピーチロック防止」を意識した言葉選び、伝え方ができれば、相手からの反発がなく、相手の行動を制限することもなく、望ましい行動に導くことができるわけです。
わかりやすい例を挙げると、2013年6月、サッカー日本代表がW 杯出場を決めた当日、渋谷スクランブル交差点に押し寄せた熱狂的なサッカーファンに対して、交差点の指揮車上でマイクを握って安全誘導アナウンスを行なった「DJポリス」の伝え方です。
詳しくは本編でお伝えしますが、「混乱を避け、安全を確保する」という望ましい行動に導くために、交差点に集まったサッカーファンに向けてスムーズに交通誘導した方法は、まさに「スピーチロック防止」を意識した伝え方と言えます。
少し自己紹介しますと、私は県域放送局退社後、教育会社を起業し、その間にコミュニティFM局の開局準備から取締役を16年間兼任しながら、30年以上にわたって官公庁、企業等でヒューマンエラー、クレーム防止など年間500回の研修・教育の現場に携わってきました。先ほどお伝えした「DJポリス」のマニュアルの修正や加筆、DJポリス研修を担当したことがあります。
採用、研修、人事評価策定などの人財育成から見えてきたことは、「人は、言葉選び、伝え方次第で、相手の受け止め方や行動を変えさせ、自分の印象も操作できる」ということです。言葉は、道具もお金も要りません。それは職場においても、ご家庭においても同じです。
本書では、次のような流れで、スピーチロック防止を意識した、言葉の選び方、伝え方をわかりやすくお伝えします。
第1章では、本書のキーワードである「スピーチロック」について解説します。
第2章では、あらゆる現場や組織で起こり得る「ヒューマンエラー」は、実は「スピーチロック」と深く関係していることを、事例を交えながらお伝えしていきます。
第3章は、「スピーチロックを引き起こす言葉と対処法」と題して、スピーチロック防止に役立つ言葉選びや対処法について解説します。
第4章は、シチュエーション別で「言葉」の言い換え方法や、ハラスメントにならない言い方、クレーマーへの対処法などを具体的な言葉事例を交えながら解説します。
第5章では、言葉以外の非言語コミュニケーションの重要性とその活用法をお伝えします。
AI時代だからこそ「人は財産であり、共に育む居場所づくり」を目指して、前向きな未来思考にしたいものです。本書が少しでもあなたのお役に立てたならば、これほどうれしいことはありません。
気持ちよく人が動く伝え方◎目次
はじめに
第1章 相手の行動を制限する「スピーチロック」とは?
◆言葉による拘束「スピーチロック」とは?
◎その言葉が、相手の行動と心理を制限している!?
◎「スピーチロック防止」の波は、介護からビジネス現場まで波及
◎典型的な「スピーチロック」の言葉
◎サービス業で広がるスピーチロック防止対策
◆スリーロック(3つの拘束)とは?
◎介護現場に起き得る3種類の拘束
◎悪気がなく、無意識でやってしまう「スピーチロック」というリスク
◆スピーチロックに存在する4つの行動パターン
◎行動、静止、意識、無意識
◎「スピーチロックの4パターン」の具体例
◆なぜスピーチロックは起こるのか?
◎スピーチロックが起きる4つの原因
◎原因① 心理的な原因から起きる
◎原因② 出すべき結果が決まっていると起きやすい
◎原因③ 情報編集の能力によって起きる
◎原因④ 頭と身体の状態が一致していないから起きる
◆DJポリスがやっている「スピーチロック」を排した誘導術
◎群衆に素直に行動してもらうマニュアルに修正
◎スピーチロックを使わないDJポリスの雑踏警備マニュアルの中身
◎人流を促進させて行動してもらう、上手な誘導の言葉
第2章 「スピーチロック」と「ヒューマンエラー」の深い関係
◆ヒューマンエラーとスピーチロックはどのように関係しているのか?
◎どんなにAI技術が進んでも、ヒューマンエラーはなくならない
◎ヒューマンエラーの種類
◎レベル1:3つの不足
◎レベル2:ヒューマンエラー「誤認識」
◎レベル3:ヒューマンエラー「機能低下、意識低下、パニック」
◎レベル4:ヒューマンエラー「個人化、コミュニケーションエラー、集団欠如、思考停止」
◎レベル5:ヒューマンエラー「故意、省略・近道行動」
◎レベル5のヒューマンエラーを引き起こす人のタイプ
◎ヒューマンエラーの境界線
◎「ヒューマンエラー」と「スピーチロック」の密接な関係
◆「スピーチロック」は「ヒューマンエラー」を誘発する
◎言い方、言葉の選び方次第でパワハラになる
◎スピーチロックによって起きたヒューマンエラー&事件
◎「スピーチロック」を甘く見てはいけない
◎ヒューマンエラーを排除、低減することはできる──エラープルーフ化
◎「エラープルーフ化」の5つの原理
◎「責任追及型」から「原因追求型」に転換シフトする
第3章 スピーチロックを引き起こす言葉と対処法
◆相手を精神的に傷つけ、行動を抑制してしまう言葉
◎スピーチロックが起こりやすい曜日、時間帯
◎スピーチロックを引き起こす言葉は5種類
◆スピーチロック防止の一番の対処法「言ってはいけない言葉」を排除
◎「言ってはいけない言葉」を使ってしまう要因
◎「言ってはいけない言葉」を排除する6つの対処法
◎スピーチロックの言葉を言い換えるコツ
◆「言ってはいけない言葉」を排除するときの3つのポイント
◎ポイント1:感情的な言葉をあと回しにする
◎ポイント2:相手が行動するための言葉に言い換える
◎ポイント3:結果予知を盛り込んで話す
◎どうしても、自分の感情が先に出てしまう人へ
◆「あいまいな言葉」は、スピーチロック予備軍になる
◎「また電話します」って、いつ? 「ちゃんとしてね」って、どのような状態?
◎「あいまいな言葉」が使われる3つの原因
◎「あいまいな言葉」を使わない6つのコツ
◆「使い方が間違っている言葉」を知る
◎言葉で、人を「モノ」「道具」扱いしていないか
◎日本語の誤った使い方にご用心
◎「赤ちゃん扱いする言葉」にも気をつけて
◆「マイナス/ネガティブ言葉」を肯定表現、プラスの言葉に言い換える
◎「マイナス/ネガティブな言葉」が口から出てしまう原因
◎「マイナス/ネガティブな言葉」を使わないようにする6つのコツ
◎言い換えの練習
◆「言葉が足りない」を解消する
◎「言葉が足りない」が起こってしまう2つの要因
◎「言葉が足りない」を解消する6つの対処法
第4章 シチュエーション別「言葉」の言い換え
◆時代とともに言葉の使い方も変わる
◎「父兄会」ではなく「保護者会」
◎世代間ギャップが生み出すスピーチロック
◆ジェネレーションギャップを埋めるスピーチロック防止法
◎世代間ギャップがハラスメントを生む時代
◎世代間ギャップを感じる言葉
◎世代間ギャップを埋める対策
◎時には「言わない」という選択肢もある
◆虐待防止につながる言葉の言い換え
◎「高齢者虐待」防止につながる言葉の言い換え
◎「児童虐待」防止につながる言葉の言い換え
◆「ハラスメント」防止につながる言葉の言い換え
◎職場におけるハラスメント発言例
◎「セクハラ」につながる言葉
◎ジェンダーバイアスによる発言も要注意
◎これは指導? セクハラ?
◎「おしゃれ」と「身だしなみ」を混同してはいけない
◆「クレーマー」対策のための言葉
◎「カスハラ」対策も義務化へ
◎「クレーム」「苦情」「リクエスト」の違い
◎クレームの種類(一例)
◎クレーマーのタイプ別の対処法
◎典型的なクレーマーの言葉の一例
◎クレーム防止の極意12カ条
◎典型的な応対「謝罪フレーズ」
◆ビジネスシーン(職場)で防ぐ言葉
◎「存在を認める」大切さ
◎「できる上司」は良い言葉を持っている
◎できる上司が使っている言葉
◆「教えない上司」を「教える上司」に変える
◎ハラスメントを気にしすぎて「教えない上司」が増えている
◎「教えない」ことは、言葉なきスピーチロック
◎教える基本の3つのポイント
◆部下に教えるときの言葉の選び方
◎間違えがちな言い回し
◎部下(後輩)が使うと良い上司(先輩)への言葉
◎上司(先輩)が使うと良い部下(後輩)への言葉
◎脱スピーチロックに求められる「情報編集能力」
◎言いたいことがソフトに伝わる「クッション言葉」
◆職場に潜む「スピーチロック」を回避する
◎職場はスピーチロックだらけ
◎スピーチロックを脱スピーチロックにする言い換え例
◆保護者として知っておきたい「スピーチロック」子育て編
◎親子のラポール形成に効果的な言葉「ほめ言葉」
◎「ほめ言葉」を使いたい3つのタイミング
◎ほめるのが苦手な人の特徴と改善法
◎保育園であった「スピーチロック」事例
◎子どもに「スピーチロック」の言葉を使わないための10のポイント
第5章 「非言語表現」を最大限活用する
◎言語表現と非言語表現の割合
◎非言語表現は7種類
◎非言語表現1:周辺言語──「声の高低」「話の間」など
◎話す内容より影響力がある
◎非言語表現2:表情・アイコンタクト・スマイル
◎マスクをしたまま話すと、これだけ損をする
◎非言語表現で最強の表情筋「眼輪筋」
◎「まばたき」の意外なる影響力
◎コミュニケーションの質も、人生の質も変える「笑顔」のつくり方
◎顔の表情は3種類
◎非言語表現3:身体表現
◎非言語表現4:空間の使い方
◎非言語表現5:色彩
◎非言語表現6:モノによる自己表現
◎非言語表現7:タイム&タイミング
◎非言語によるメッセージを感じる力を育む方法
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相手も人間です。伝え方のひと工夫で、相手は素直に聞き入れて動きます。その伝え方のひと工夫のノウハウとコツをまとめた『気持ちよく人が動く伝え方』は、1月23日(Amazonは1月22日)に発売開始です。興味のある方はぜひチェックしてみてください。