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肝臓にいい焼酎、悪い焼酎 ~健康的におすすめ飲み方付き~
こんにちは。
フォレスト出版編集部の森上です。
日本が誇る蒸留酒といえば焼酎ですよね。すっきりとした味わいが人気で、皆さんも飲む機会が多いのではないでしょうか?
ご存じの方も多いと思いますが、焼酎は、製法の違いから二種類に分類されます。
乙類に分類される焼酎は、米、芋、大麦などの原料を麹とともに仕込み、酵母を使って発酵させます。さらに二次発酵させ、伝統的な単式蒸留機を使って蒸留して製品にします。原料の香りや深い味わいに、造り手のこだわりが生きるお酒です。また、一度しか蒸留できないため大量生産ができないのも特徴です。値段も自ずと高くなるわけです。
かたや、甲類は連続式蒸留法によって大量生産されるお酒です。
原料は特定されていませんので、いろいろな穀物、いわゆる雑穀を集めて造ります。連続式蒸留機によって純度の高いアルコールが生成され、それを水で薄めて製品にします。純度が高いために無味無臭になるという特徴もあります。
では、肝臓にやさしい焼酎は、甲類と乙類のどっちか?
『酒好き肝臓専門医が教える カラダにいい飲み方』の著者・栗原毅先生は、「乙類」と断言します。
ストロング缶チューハイの正体
焼酎と言えば、最近、ストロング缶チューハイが人気ですね。9%、12%という高いアルコール度数を売り物にし、500mlで130円という驚きの激安価格で販売されています。その人気は、コンビニの棚を席巻している点からも明らかです。
では、このストロング缶チューハイは、肝臓にやさしい焼酎なのか、悪い焼酎なのか?
栗原先生は著書の中で、ストロング缶チューハイについて、次のように述べています。
原材料名は「ウオッカ」となっていますが、連続式蒸留機によって造られた安酒であることは間違いありません。
このウオッカに果汁、糖類、炭酸、酸味料、香料を加えたのがストロング缶チューハイの正体です。
レモン果汁、グレープフルーツ果汁と聞くと健康によさそうですが、これが曲者です。糖質のなかでも果実に多く含まれる果糖は、最も吸収が早く、肝臓に負担をかける超悪玉なのです。
――『酒好き肝臓専門医が教える カラダにいい飲み方』より
「安酒」+「超悪玉の果糖」という最悪コンビ。かなりヤバそうです。
肝臓の負担も“ストロング”
ストロング缶チューハイが、肝臓にとってどれくらいヤバいのか? とても気になるところです。
私のクリニックに通う患者さんに、銀座のスナックのママがいます。以前は店が暇なときはひとりでワインを飲んでいたそうですが、最近、口当たりの良さとコスパを重視してストロング缶チューハイに替えたそうです。
ところが、お酒を替えた途端に気分が悪くなって、転倒することが5回も続いたというのです。先日、現れたときには、おでこに大きなコブをつくっていました。
本人曰く、「缶を開けたら最後まで飲まないともったいないと思って、つい飲み過ぎてしまう」。
12%のお酒を500ml飲むと純アルコール量は48グラムになります。すごい量ですね。私が設定した許容量40グラムをすでに超えています。しかも、果糖がたっぷり!
これでは昏倒するのも当然なのです。
その話を知人にすると、同じような体験をしたという人が何人もいました。
その夜の悪酔いだけでなく、肝臓へのダメージの蓄積もストロングです。
――『酒好き肝臓専門医が教える カラダにいい飲み方』より
居酒屋の「生グレープサワー」にもご用心
栗原先生によると、格安の甲類焼酎は、居酒屋のチューハイにも使われているそうです。
アルコール度数は低いでしょうが、何杯もおかわりをすれば、結局、同じことです。
そこに果汁という名の果糖やシロップを添加し、炭酸で喉ごしをよくすれば、肝臓に与える衝撃は毒薬並みです。
「生グレープフルーツサワーならいいだろう」と考える人もいますが、残念ながらそうはいきません。
グレープフルーツ1個には、約18グラムの糖質が含まれています。グレープフルーツ2分の1個を搾って入れたとすると、糖質9グラムということになります。これは砂糖大さじ1杯と、ほぼ同量です。しかも、砂糖よりも悪質な果糖ですから、肝臓は悲鳴をあげてしまいます。
――『酒好き肝臓専門医が教える カラダにいい飲み方』より
ストロング缶チューハイと居酒屋のチューハイには、できるだけ手を出さないほうが良さそうです。
本格芋焼酎が血栓を溶かす物質を活性化
逆に、乙類の焼酎は、肝臓にやさしいだけでなく、カラダにもいい効果があると、栗原先生は言います。
しかもなんと「脳梗塞を予防できる」と!
動脈硬化は血管の内壁が傷つき、そこに悪玉コレステロールなどが入り込むことでコブができる現象です。
コブができただけでも血流は悪くなりますが、コブが傷ついて出血を起こすと、そこに血小板が集まってかさぶたをつくります。これが血栓と呼ばれるものです。血栓は血流に晒されるうちに剥がれて飛んでいくことがあります。その破片が脳の細い血管を塞ぐと脳梗塞が起こるのです。
こうした事態を防ぐために、血管の内皮細胞からウロキナーゼという物質が出て、血栓を溶かすことがわかっています。また、同じく血管の内皮細胞から分泌されるt-PA(組織プラスミノーゲン活性化因子)も同様の働きをします。
近年、わかってきたのが、焼酎にウロキナーゼやt-PAを活性化させるパワーがあるということです。焼酎を飲んで脳梗塞を予防できるとは、これほどうれしいことはありませんね。
おもしろいことに、焼酎の香りを嗅ぐだけでも同じ効果があるそうです。
血栓を溶かす効果があるのは乙類だけですので、注意が必要です。特に芋焼酎と泡盛のパワーが秀でていることもわかってきました。
――『酒好き肝臓専門医が教える カラダにいい飲み方』より
芋焼酎と泡盛の香りだけでも効果があるとなれば、芋焼酎のロックを枕元に置いて、そのまま寝てしまいたいぐらい……。
ただ、「芋が原料だと糖質が多いのでは」という疑問が思ってしまうのですが、栗原先生いわく「すべての蒸留酒は糖質ゼロです。安心して楽しんでください」とのこと。
栗原先生の、乙類の焼酎によるカラダへの効果論はまだまだ止まりません。
乙類の焼酎には、善玉コレステロールを増やす働きもあります。善玉コレステロールが増えると、動脈硬化のリスクが低減します。血栓溶解作用とダブルで脳梗塞を防いでくれるのです。焼酎のいい効果は、「純アルコール量30グラムで最も高くなる」という報告もあります。25度の芋焼酎、水割り2杯程度が相当します。
――『酒好き肝臓専門医が教える カラダにいい飲み方』より
酒好き、特に芋焼酎好きには、この上ない、最高にありがたいお言葉ではないでしょうか。これからは、善玉コレステロールを増やす目的で、堂々と楽しむようにします!
芋焼酎の〇〇割りは、健康的な組み合わせ
芋焼酎は、ロックや水割り、お湯割りなどで楽しむ人が多いと思いますが、栗原先生によると、健康的におすすめの割り物があるそうです。
それは、「芋焼酎のホッピー割り」……(!)
ホッピーには、ホップ由来のビタミンB1、B2、アミノ酸、ニコチン酸、葉酸、ミネラルがたっぷりと含まれています。ビールと違うのは、アルコール度数が0・8%と低いことです。
しかも、プリン体はゼロ、低糖質とくれば、健康的な飲み物と考えていいでしょう。
焼酎をホッピーで割るときに気をつけたいのは、中身の焼酎のほうです。居酒屋では焼酎を「ナカ」、ホッピーを「ソト」と呼びますが、通常、ナカには安価で無味無臭の甲類が使われます。せっかく健康効果が期待できるホッピーで割るのに、もったいないですね。
できれば、血栓を溶かす力のある本格芋焼酎とホッピーの組み合わせで楽しみたいものです。
――『酒好き肝臓専門医が教える カラダにいい飲み方』より
私もこの話をお聞きしてから、ホッピーセットを頼んだら、ナカのおかわりに一番安い芋焼酎のロックを頼んで、それをホッピーで割って飲むようにしています。ちょっとぜいたくですが、肝臓のことを考えれば安いものではないでしょうか。皆さんもぜひ試してみてくださいね。
酒好き肝臓専門医の栗原先生の著書『酒好き肝臓専門医が教える カラダにいい飲み方』では、【酒&つまみ選び】から【飲む量】【飲む時間帯】【飲食の順番】【肝臓のパフォーマンスを上げる方法】まで、誰でもすぐに実践できる、肝臓に負担をかけない、健康的なお酒の飲み方を解説していますので、気になる人はチェックしてみてください。
ちなみに、栗原先生は「休肝日は不要」を提唱している肝臓専門医でもあります。
▼音声でも聴けます(ながらインプットにご活用ください)
肝臓にいい「つまみ」、要注意の「つまみ」についての記事はこちらです。