見出し画像

本の森 〜vol.2 Balloon 土肥紗綾さんの本棚〜

本を読む体験は一人でするもの。一人だからこそ楽しめるもの。……ではありますが、自分以外の人の本棚を見るのってなんだかとっても楽しい。自分も持っている本を見つけると嬉しい、知っている本があると嬉しい、知らない本があっても嬉しい。
本屋さんで作者ごとジャンルごとに並んだ本とは違って、誰かの好みや思考をもとに並んだ本ってどうしてこうも楽しいのでしょう?
そんなワクワクをたくさんの写真と文章でご紹介する「あなたの本棚見せてください」企画、始まります!

第二回目は、Balloon Inc. CMOの土肥紗綾さん。中崎町は文甫会館に構えるBalloonオフィスの本棚をご紹介します。

オフィス入居後の本がない状態のオフィス。本だらけになった今となっては貴重な写真です。

【vol.1はこちら】



Q1.あなたに影響を与えた本を教えて下さい

その1:イノベーションの普及/エベレット・ロジャーズ/2007

ゼミの指導教官に紹介してもらいました。「イノベーションはどのように伝播していくのか?」がメインテーマで、現在も考え事をするときの参考にしています。

その2:中原中也 詩集

――ポッカリ月が出ましたら、舟を浮べて出掛けませう。
から始まる『湖上』を雑誌で見かけたのがファーストコンタクトでした(ちなみにその雑誌は『REAL SIMPLE JAPAN』というアメリカのライフスタイル誌の日本版<現在は廃刊>です)。

詩集の数は少ないですが、小気味よいリズムながらも苛烈な印象を残す詩人だと思います。研究者的には『含羞(はじらい)』が中原中也を読み解くには重要な作品らしいのですが、個人的には『湖上』、『春日狂想』、『また来ん春……』、『一つのメルヘン』が好きです。

その3:神様のボート/江國香織/2002

『がらくた』と悩んだのですが、サイン入りのこちらにしました。ドヤ!
『ku:nel』で連載していた『江國香織姉妹の往復書簡』という連載でずっと手書きの文字を拝見していたので、サインを頂いたときに「雑誌で見たことのある江國さんの字…!」と感激したのを覚えています。

この本を初めて読み終えたとき、こんなにも説得力をもって乱暴に物語を終えても良いのだとびっくりしました。メチャクチャな話だと思うのに、不思議と何度も読み返してしまいます。

Q2.いつから、なぜ本を好きになったのか?

祖父や両親が本を贈ってくれたり、学校の図書館を利用したり、小さい頃から身近に本がありました。
白石一文『不自由な心』のあとがきに以下の文章があります。以下の①②③以外の本を好きな理由があるとしたら……、読書は脳を鍛えるための筋トレになるからでしょうか?

小説の役割としてすぐに思いつくのは例えば次のようなことだ。
①幸福の数よりはどうやら不幸の数のほうが多そうなこの世界で、みんなが一時の慰めや憂さ晴らしを手に入れる道具。
②一回こっきりの人生では体験できない様々な世界の知見を手っ取り早く面白く獲得する手段。
③ものの見方・考え方、人や自身の内面を理解する方法を学ぶ手近な材料。
ただここでもんだいなのは、そうやって小説の役割を洗い出していくと、どれもみな、本来ならば別のよりよい手段があって、小説はあくまで二番手にすぎないという小説の持つ弱みに行き着いてしまうということだ。

白石一文『不自由な心』あとがき より

Q3.スポーツに関する本を教えてください!

スポーツ・イノベーションの普及過程/山下秋二/1994

スポーツを「する」のではなく、スポーツを「イノベーションとして捉える」とはどういうことか?
社会とスポーツの関わりについて分析されているので、スポーツが嫌いな人にとっても興味深い内容だと思います。

Balloon 土肥紗綾さんの本棚(ほぼ)全リスト

江國香織が多いです。岡崎京子と安野モヨコの絵を見ると同じエッセンスをビシビシと感じますよね。 上段)羽海野チカ、オノ・ナツメ、斉木久美子、水城せとな、中村明日美子、安野モヨコ、岡崎京子など 、下段)江國香織、星新一など
この中で読む時に最もエネルギーが必要になるのが『限界から始まる』上野千鶴子・鈴木涼美。『真昼なのに昏い部屋』江國香織 は物語の進み方があまりに巧妙で、読み終えたあとに置いてけぼりにされたような気持ちになります。
上段は最近読んだものが多いです。下段はスポーツ系など仕事関連の本がほとんど。右側にあるのがオークションでゲットした『季刊銀花』芹沢銈介号。
スポーツと社会学シリーズ。と言いつつ中原中也と三島由紀夫と草間彌生がいる。草間彌生はかぼちゃのイメージが強いですが詩も良いです。
スポーツと社会学シリーズ2。
作業用に本棚からピックアップしたものと家に持ち帰ろうと思っている本が集まる場所。最近はイノベーションとソーシャル・キャピタル系が多い。


【vol.1はこちら】


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?