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加工食品の新トレンド〜Free Fromという考え方

こんにちは、らびです。

昨年、米国の食品展示会(the Institute of Food Technologists :IFT )に行った際に日系企業も含めて様々なグローバル食品メーカーが掲げていた商品キャッチコピーとして、「天然(natural, organic, botanical, plant-basedなど)」や「クリーンラベル(Clean label)」, 「フリーフロム(Free from)」というワードがありました。

ナチュラルやオーガニックという言葉が好まれる風潮は日本でも同様ですが、フリーフロムっていう言葉を聞いた事が無い方も多いのではないでしょうか?

そこで今回は下記2点をまとめてご紹介したいと思います。

・フリーフロムってなに?
・なんで米国で流行っているの?

1. フリーフロム(Free-from)ってなに?

さて、フリーフロムの意味ですが、Frembassyさんのウェブサイトに詳しく記載ありますので、今回はこちらから少々引用させていただきます。

フリーフロム食品とは、「何かが入っていない事を明示する食品」

となります。

おそらく真っ先に頭によぎるのが「アレルギーフリー」などだと思います。一般的に食品分野で「○○フリー」と言う場合は 「〇〇不使用」と同じ意味になります。

さて、このフリーフロムですが一昔前だと、ほとんどがアレルギー表記のみだったのですが、近年米国では様々な種類のフリーフロム食品が販売されています。

例えば・・・

アニマルフリー(動物性原料不使用)
デイリーフリー(乳原料不使用)
グルテンフリー(小麦原料不使用)
シュガーフリー(砂糖不使用)
MSGフリー(グルタミン酸Na(うま味調味料の一種)不使用)
GMOフリー(遺伝子組み替え原料不使用)

など、いろいろあります。

日本ではあまり気にする人は少ないですが、米国ではいまだにMSG(「味の素」の主成分であるグルタミン酸Na)を避ける消費者も多く、MSGフリー(この場合は無添加という意味)な商品の需要も一定数あります。

味の素さんは、長年MSGの安全性の周知活動を米国で行なっており、専門家の間ではその安全性は認知されておりますが、一般消費者レベルとなるとまだまだ、という印象です。

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MSGフリー(No added)のラベル例
※Preservativesとは保存料の意味

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小麦、グルテン、乳製品フリーのラベル例

最近は日本でもギルトフリー(罪悪感なし)みたいな抽象的なコピーも出てきており、私たち消費者が高カロリー食品などに「潜在的に感じている罪悪感」のようなものを、食品メーカーも敏感に察知しています。

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セブンイレブンにある罪なきからあげ(湖池屋)
(これもフリーフロム(ギルトフリー)の一種です)

2. なんで米国で流行っているの?

食物アレルギーを持つ人がフリーフロム食品を必要としているのは理解しやすいですが、なぜそうではない人々も求めているのか?

それは、食に関する考え方の変化が理由のひとつです。そして、この考えの変化は米国に限らず、英国、ドイツなどの西ヨーロッパ諸国でも起こっています。

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英国のFree-from食品の例(出典:Catering Magazine, UK

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英国のFree-from食品の成長率(Mintel, 2012)

では、どんな考えの変化なのか?

最もわかりやすい例がフレンバシーさんのサイトで記載されていました。

"これまで、健康になるためには、「どうやって足りない栄養を補うか」という考え方が主流でした。サプリなどが典型例です。これを弊社では「足し算の健康志向」と呼んでいます。一方で、「自分に合わないものを取り込まない」という「引き算の健康志向」も大きくなってきていると考えています"

この引き算的健康志向は、モノや情報が溢れる現代特有の考え方なのかも知れません。非常に納得のいく仮説です。

ちなみに、同ホームページでは、''万人の身体に良い食べ物も、逆に悪い食べ物もなく、天然のものが良くて、化学的なものが悪いとか、そんな単純な二項対立でもありません'' とも述べられており、この点は強く共感する方も多いのではないでしょうか。様々な人が自分の身体や思想に合った食品を選べる事こそ、豊かな国々の食品メーカーにとって目指すべき場所、となるのではないでしょうか。

最後に

私自身フリーフロム食品自体は賛成ですが、「認可されている特定原料を過度に恐れる必要は無いし、植物や天然物を過度に信奉するのは安直」という考えを持っています。

「添加物は危険かも?」という考えは当然、国や科学者も考えていて、指定添加物(合成化合物、天然化合物など)に関してはきちんと安全性試験が行われております。

しかしながら、既存添加物(食経験のある天然原料が主体:植物、海藻、昆虫など)の安全性試験関しては「食経験がある」という理由で、平成7年の法改正までは指定添加物ほどの安全性試験を行なえていないのが現状でした。後々、発ガン性などが判明して既存添加物名簿から削除された例(アカネ色素:植物由来の天然色素)もありますので、「天然由来」だから安心とは言えない場合も、少なからずあります・・・。

ただし、小さなお子さんを育てている親御さんの心理として「そうは言っても・・・子供の食事からは〇〇をなるべく避けたい!」という気持ちはすごくわかりますので、そんな方にとってフリーフロム食品は良い選択肢の一つとなると思います。

日本でもイオンを中心に徐々に普及しておりますので、スーパーで「フリーフロム食品」を見かけたら、ぜひ興味ある製品をお試しくださいませ:)



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