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【読書セラピー】本当は悲しいメーテルリンクの青い鳥|『深く悲しむ』ことが人間には必要な理由。
結論。できあいの青い鳥...
つまりチートな希望や幸福なんて
この世にはありませんでした。
どうも
安全・安心と絆でつながる
キャリアコンサルタントのタルイです。
今日はメーテルリンクの
『青い鳥』について書きます。
そうです。
あなたもご存知の
あの『青い鳥』です。
![画像1](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/54581278/picture_pc_2e9f0dcc9346748052f177f087da0143.jpeg?width=1200)
貧しい暮らしをしている
チルチル(兄)とミチル(妹)が
手に入れれば幸福な暮らしができる
青い鳥を求めて
放浪の旅に出る。
が、苦心して探しても見つからず
がっかりして家に帰ったら、
なんと部屋に青い鳥がいた。
人間は幸福を求めて遠くを見るが、
本当の幸せは足元にあるんだよ
こんな教訓と一緒に
憶えてはいらっしゃると思います。
実は、
この青い鳥には続きがありました。
このあとに二人が青い鳥を
とりあいっこをしていると
青い鳥は鳥かごから飛び出して、
遠くの空に消えて行くのでした。
つまり、逃げちゃったのです。
そして、悲愴漂うチルチルが一言。
「だれかあの青い鳥を見つけた人は、ぼくたちに返してください。ぼくたちは、幸福に生きていくためにはどうしてもあの青い鳥が必要なんですから―」
なにこの悲惨な話...
青い鳥はハッピーエンドではなく
バッドエンドだったのです。
▼五木寛之さんの「青い鳥のゆくえ」を読んで知りました。
この本で五木寛之さんは
メーテルリンクが
なぜ子供向けに
こんな絶望的なエンディングに
したのかを考察されてます。
ここからは
●メーテルリンクが青い鳥を書いた時代考察
●五木寛之さんが考える青い鳥について
●私の幸福の青い鳥探し
以上3点について書いていきます。
◆なぜ、メーテルリンクは悲劇にしたのだろうか?
まずメーテルリンクの生きた
時代背景を考察します。
▼モーリス・メーテルリンク
劇作家で詩人。1862年に生まれ−1949没。ベルギー生まれのフランス育ち
![画像2](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/54583677/picture_pc_ff545fb82ad7ab0f03d86e2c6f3f113c.jpg)
意外に近世に生きていた人です。
あとノーベル賞も取ってます。
1907年に「青い鳥」を発表します。
せっかくなので、
メーテルリンクの原作版も
読んでみました。
▼堀口大學さん訳の「青い鳥」
私もこの本を図書館で借りて
確認しました。
まず、わかったのは
青い鳥は絵本でも小説でもなく
戯曲(お芝居の台本)でした。
そして
チルチルとミチルの家庭は
貧乏というより極貧でした。
兄弟はなんと9人もいたのですが
2人以外はみんな死んでしまいます😱
道路を隔てた華やかなお金持ちの家の
クリスマスの様子を
眺めながらの兄弟の会話シーン。
ミチル:「あそこの人たちテーブルの上にあんなにご馳走があるのに、どうしてすぐに食べないの?」
チルチル:「それはあのひとたちがお腹が空いてないからさ」
ミチル:「お腹が空いてないってどういうこと?」
いつもお腹が空いている妹は
兄に聞き返すシーンは壮絶です。
ここからは私の妄想です。
19世紀末、フランスの人びとの間では
●ベル・エポック
●デカダンス
●アールヌーヴォ
の3つのカルチャーがありました。
●ベル・エポック
![画像3](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/54894482/picture_pc_c531e53bb2fe5c1c39783ca1ed6ca6dd.png?width=1200)
世紀末から第一次世界大戦までのフランスの良き時代の意。
産業革命(働き方2.0)や資本主義の台頭により
モノで豊かになりゆく社会から生じた
快楽的な雰囲気のカルチャーです。
過去の日本でいうと「バブル」っぽい雰囲気ですね🤔
そんなバブリーな
ベル・エポックの雰囲気に
一部のインテリ層は
「何を浮かれているんだ」
と反発しました。
●その反動で生まれた文化がデカダンスです。
![画像4](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/54894508/picture_pc_94c066b49e1a1cb9aa5d8cfee374d051.png?width=1200)
ベルエポックは
一瞬のバブルの輝きに過ぎず
急速な進歩に対する嫌悪感や
終末への予感から
その先には
退廃的な世界が待っている
と彼らは考えたのです。
日本でいうとバブル期のあとの
「失われた30年」のようですね。
●その後にデカダンスに対してアールヌーヴォというカルチャーが生まれます。
![画像5](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/54894526/picture_pc_673efff16451c59a2f53250b60a090cb.png?width=1200)
「なにをそんなに悲観的になっているんだ!」
「新時代は希望にあふれている!」
「これから我々は新しい芸術を目にするだろう」
といった楽観的な雰囲気の文化です。
この文化の移り変わりのなかで
青い鳥を考察してみましょう。
青い鳥の設定にある
ベルエポック象徴のような
クリスマスパーティーをする
お金持ちとの描写。
そしてデカダンスとも言える
退廃的なチルチルとミチルの描写
そして、
アールヌーヴォな希望や幸福を
イメージする「青い鳥」の存在理由。
私はメーテルリンクの青い鳥には
これら3つのカルチャーの融合を
背景に感じました。
これは余談ですが、
この時代が現代と似ていると
指摘する専門家もいます。
そう言われてみると
19世紀末から20 世紀初頭にかけて
ペストの流行もありました。
本題に戻します。
メーテルリンクは私たちに
青い鳥を通じて
何を伝えたかったのか?
次に、
五木寛之さんの考えを書きます。
◆五木寛之さんが考えた「青い鳥」の結論
五木寛之さんは
以下の3つのことが
語られていると主張してます。
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