砕け散る海 (短歌)
たぷたぷと溢れる縁を行き来する
わたしに触れるみ手をのばして
波乗りのやうに砕けて散る海に
われを抱きて挑むキリスト
うつくしと思ほゆ、生の苦しみも
あなたがわたしの中にゐるなら
「いつこれがわたしの人生になったというの」とよく独り呟く。その意味するところはこうである、「これはもとからキリストの人生であって、わたしの人生などではなかった。まさか1ミリだって自力で生きられるとでも思ったの?」と、自分に対して。
この世界が出来る前に、わたしはキリストの中にいた。そのときからわたしのすべては神さまに知られていて、わたしが辿りつく場所もすべて決まっていた。いま生きているのはその過程に過ぎない。このすべてはキリストへの愛を試されるため、キリストへの愛を歌うためでしかない。そうなのだ、もっともっと高いところから見れば、俗世間の出来事に目を曇らせることなくはっきりと見える。
試すなら、試してください。わたしのなかに純金だけが残るようになるまで。それがお望みでしたら、どうぞ。わたしはもう粉々ですれど、それがみこころなのでしたら、わたしは飲むべき杯を飲みましょう。
わたしの目を、高く高くへ向けてくださいますように。日々襲い来る高波ではなく、その先にある永遠の凪へと。あなたがどれだけわたしを愛してくださっているか、その現実が、わたしの心と肌を離れることがありませんように。