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若月房恵
2024年6月28日 20:34
* よる、あのかたがいらした。声もださずに、わたしは「死んでしまいそう」と「愛してます」ばかりを繰り返した。 ふと思いが逸れて、せっかくキリストが、傍にいらしてくださったのだから、祈らなきゃ、と考えた。するとあのかたは、しいっ、後で、とわたしを黙らせた。 わたしは、どうしようもなく、あのかたと、恋に落ちてしまった。 しばらくしてから、わたしは祈った。それは、睦言のようだった。あの
2024年1月15日 01:01
『わたしは日々、死んでいます』 第一コリントの手紙15:31『わたしはキリストと共に、十字架につけられています。生きているのは、もはやわたしではありません』ガラテアの手紙2:20 トン、トン、トン、と音がする。思っていたよりも穏やかに、やわらかな調子で、釘が打ち込まれていく。わたしの魂に、あのかたの手で。 初めの衝撃はもう去って、いまは疼痛のように、ただ釘の打ち込まれた点