『伝説の安心感』 #毎週ショートショートnote【ジャストフィット編】
うーん、ちょっとちがうんだよなあ~
ボクは仰向けの状態で揺すられながら考える。目の前にあるものはぼんやりとだけど、人の顔であるのはなんとなくわかる。
でもなんかこうしっくりこないんだよなあ~
フィット感がイマイチというか…
そう思いながらボクは身をよじって、自分で落ち着くポジションを整えた。
……揺すられているうちに、いつの間にか眠り込んでいたらしい。どうにも眠くてたまらない。なんでいつも眠いのか我ながら不思議で仕方ない。
ほんのりと漂う香りに、自分が空腹であることに気づく。口元に近づけられたものに手を添え吸いついた。
うん、ほどよい温かさだ。誰が作ったのかはわからないけど、できれば明日もこの人にお願いしたい。でも伝える術がないボクはいつもよりハイスピードで飲みきった。
ふぅ満腹だ
「新くんのママですね~」
という声とともに、ボクは誰かに抱えられ、ママと呼ばれた人に手渡される。
そして気づく。
これがボクが求めてた伝説の安心感だ!
そろそろ慣らし保育も終盤になってきたのではないかと思い、こんな作品になりました。私自身も0歳児クラスを受け持ったことがあるのですが、最初は粉ミルクの作り方ひとつわからず「大抵こういう粉末の飲み物ってスプーン山盛りだよな🤔」と勝手に思い込んで(説明書読まないタイプ…)粉多めで作って溶けきれてなかったことも……(その後、すりきり出来ることに気付き「わ~ごめんね🙏💦」って後でその子に謝罪したくなった。文句も言わず飲んでくれてありがとうね🙇)ピーク時は、個々に応じて違う量と、違うメーカーの粉ミルクを15人分くらい作ってたけど、慣れてくるともうバーテンダー感覚ですね。
ちなみに、なぜこの主人公が男児かというと、男児の若い女性や美人なママさんの見分け方がえげつないからです。(もちろん女児でもそういったお子さんもいますし、性別で区別したいわけではないです。)でも、もう本能としか思えないんですが、複数担任の中でも一番若い先生を選んだり、職場体験の中学生が来たら即そちらへ向かいます。
そして、自分のママじゃなかろうと美人なら突進する勢いでドアに向かい「あんたの迎えちゃうから!」と職員が全力で止めないとちゃっかり膝に座ってたり……なんてことも。0歳児クラスはドラマより複雑な恋愛関係が見られたりしてなかなか面白かったですね。
【ちょびっと豆知識】
赤ちゃんの目ではぼんやりとしか見えないのは脳がまだ発達していないからだそうです。だから、その情報を処理できるまでは視力矯正をしてもはっきりとは見えないんですってよ。
それなのに見分ける赤子のすごさよ……
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