『大増殖天使のキス』 #毎週ショートショートnote【お告げ編】
仕事帰りに通りがかったケーキ屋さんの甘い匂いを前に躊躇していると
一週間頑張ったんだから
自分にご褒美あげてもいいんじゃない?
と、私の右耳にぶら下がった小さな天使が囁いた。
ま、たまにはいっか!
その言葉に背中を押されるように、私はケーキ屋のドアを開けた。
それ以来、毎日のように
部長に理不尽に怒られても、黙って耐えたんだからガツンと肉でも食べなよ!
と、私の左耳にぶら下がる天使に励まされ
噛まずにプレゼン乗り切ったんだから、大盛ラーメン啜ったっていいさ!
と、私の右肩に座る天使に讃えられ
後輩のフォローもしたんだから、回らない寿司でも食べなよ!
と、私の左肩に座る天使に慰められ
せっかく晴れてるんだから、映えるカフェでも行っちゃえば?
と、私の頭の上でゴロゴロしている天使に唆された。
そうして日々、私の体に大増殖する天使の甘いキスのような囁きにより、私の体重も一気に増した。
そろそろ天使祓いに行きたいな…
体も重いし、懐も痛いし…
天使の顔した悪魔がいちばん質が悪いよねって物語。耳にぶらさがる天使は、aikoさんの名曲『花火』の神フレーズ「夏の星座にぶらさがって~」的なイメージだと勝手に思っています。
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