駄洒落小説 『非情怪談』 #毎週ショートショートnote【ごかい編】
「情けは人の為ならずって意味知ってる?」
「親切にしすぎたら、その人に良くないってやつ?」
「違ぇよ。人にいいことをしておけば、いずれ自分に返ってくるんだよ、そんなことも知らねぇの?」
「別にいいだろ。何が言いてぇんだよ」
「だから夏休みの宿題、代わりにやってくんね?」
「はあ?なんで俺が流岡の分まで?」
「それこそ情けは人の為ならずだろ?予備校の夏期講習と模擬試験の勉強で忙しくて手が回んねぇんだよ。だから頼む」
…情けは人の為ならず、なあ。
予備校の非常階段の踊り場で流岡と対峙していたら
「あれ?流岡、一人で何やってんの?」
と二年浪人したため、年齢としては先輩に当たる人が煙草片手に現れた。
「へ?俺、宮地と話してるんですけど…」
と俺を指さす。
「知らねえの?宮地はここに来る途中で
事故に巻き込まれて今は意識不明状態だぞ」
どんどんと青ざめていく流岡を見つめ、もう少し情けをかけておけば違ったのかな、まるで非情怪談みたいだなと自嘲した。
情けは人の為ならずって言葉、わりと好きなんですが(巡り巡って明日は晴れ☀️みたいな感じで)、怪談ということでこんな形になりましたとさ!
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