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駄洒落小説 『スネーク満床』 #毎週ショートショート【寒暖差編】


「スネかじり放題の金持ちなのにケチだな!このマンションだって親のもんだろ?」

と大蛇がうねっているかのような螺旋階段があるマンションのエントランスにふさわしくないしゃがれた怒号が響き渡る。

「大雪の夜くらい一晩泊めてくれたってよくねぇか?いつもはコバンザメのように俺様にひっついてるってのに」

どの口が叩いてんだか。僕はめったに使わない螺旋階段をゆっくりと下りていく。

「どうしたんだ?」
「ここに泊めてもらおうってのに、この受付が止めやがって…」
「そりゃ仕方ないよ。このマンション・スネーク満床だからね」
「違ぇよ、お前の部屋だけでも広いんだから融通を利かせてくれたっていいだろうが!」
「ふむ」

こんな時も強気に出られるとは大したもんだ。もう少し下手に出ればいいものを。

「アレを」
「はい」

白手袋をはめたコンシェルジュが恭しくアレを抱えて戻ってくる。


「ここに泊まりたいならコイツと勝負しな」

白い大蛇をネックウォーマーの如く首にかけた。



 タイトルからイメージしたのは青いタヌキが出てくるあの作品。そして今日のニュースで見かけたので響きで遊んでみました🐍🐍

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