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『執念第一』 #毎週ショートショートnote【ホワイト編】

「ねえ、榊さんこの日シフト変わってもらえない?」
と指定された日を見て
「あーその日は無理ですね」
と答えるとバイト先の先輩は眉をしかめた。

この人はいつだって絶対断らないだろう相手を選んで頼み事をする。

「何か予定があるの?」
「ええ」

 12月21日の夜、とあるアイドルの10周年記念ライブがある。ただでさえ入手困難で、あらゆる手段を使ってようやく掴んだプレミアムチケット。

このチャンスを逃すわけにはいかない。
そのために私は正規の仕事だけじゃなく深夜のバイトもしているのだから。

CDやDVDが発売されたら全形態を揃え、ライブがあれば全ステージに参戦し、毎年のように変わるグッズを買い集める。そうやってお金を注ぎ込むほど、心理的に離れられなくなることもわかっている。

それでも私は懲りずに推しに、お金と時間と無償の愛を捧げる。デビュー前から追い続けてるのだから、今更やめるなんて選択肢は毛頭ない。

推し活には執念第一。
ね、そう思わない?


 『毎週ショートショートnote』一周年おめでとうございます。奇しくも「執念」「周年」がうまく噛み合っていて面白いなと感じたので、そのまま活用させていただきました。

こちらは【ホワイト編】ということで、後日また【ブラック編】を更新できたらと思っています。

こちらが【ブラック編】になります🙋

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