駄洒落風小説 『レトルト三角関係』 #毎週ショートショートnote【どういうことなん?編】
「なんだね?これは」
「ナンだよ、これは」
「そうじゃなくて、なぜ三色も揃えてるんだ?」
「信号待ちしてる時にクーポンをもらったからだよ」
「誰に?」
「本格派カレー屋の店主」
「そいつについて行ったのか?」
「だって、片言の日本語で懸命にクーポンを配っているのに誰にも見向きにされてなかったら応援したくもなるでしょ?ナンと一緒にルーもテイクアウトで買ってきただけよ」
と黄・緑・赤と色の違う三種類のカレーが別々の器に入れられ食卓に並べられていた。
「それに私も毎日職場で散々嫌な思いをしてたからビラ配りと言えどカレー屋さんに話しかけられて、泣きそうになるほど嬉しかったんだよね。こんな風に、貴方とまともに会話できたのも何ヵ月ぶりやら…」
涙混じりの妻の訴えに反省する。最近は仕事の忙しさにかまけて妻のことを全く気にかけてやれなかった。
でも、これじゃカレー屋店主とのレトルト三角関係の幕開けじゃないか…
この複雑な気持ちは…一体なんなんだ?
魅力的な主人公にならず、名も知れぬ脇役のカレー屋の店主のスパイスが効きすぎた模様です。ちなみにクーポンを配られて泣きそうになったのも実話だけれど、本格派カレー屋の前を通りかかった時に謎のハンドパワーを送られたこともある私なのでした👏✨
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