『外道一組』 #毎週ショートショートnote①【あこがれ編】
「近頃は自宅にウォーターサーバーを置いてる家庭が多いらしいな」
と呟いた俺に
「なんだい?それは」
ここでは古株のスーさんが応じる。
「ウォータークーラーじゃなくて?」
と会話に加わってきた一雄は俺に次いで若い男だ。50歳は越えてるだろうけど。
「それは学校や駅に設置してたやつだろ?
ウォーターサーバーってヤツはお湯も出るらしいんだ」
「ほぉ、そりゃすごい」
とスーさんは素直に驚いてくれたが
「ウォータークーラーだって温いこともあったじゃねぇか」
何かと反発する一雄。
「それは冷たさを維持できなかった時代の話だろ。今はウォーターサーバーがあればポットがなくてもすぐにお湯が出るんだってよ」
「すごいな、それを家に置いてる人達がいるのか。水を買うってだけでも驚きだったのによ」
スーさんがしみじみと語る。
「ワシもいつかその水を飲んで見てぇもんだな」
その呟きに哀愁を感じなかったわけではない。
でもホームレスの俺らには
公園の水飲み場がありゃ十分だ。
『外道一組』というより、『水道一筋』みたいな話になってしまった……ちょっと味つけが薄いので、この三人組での作品を、もう一つ書いてみました。
こちらがつづきの作品となります。
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