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詩小説 『冬の夜の月』 #シロクマ文芸部


 冬の夜 ライブを満喫 その足で
 イルミネーションに 歩を進める。

 たったひとりでいることに
 慣れてしまったのは きっと
 お月さまもひとりぼっちだから。


 工夫を凝らしたからこそ
 美しく輝くイルミネーションと

 自然ならではだからこそ
 風の流れで現れ隠れるお月さま

 それぞれに 違った輝き方があるのが    
 私はただただ好きなだけ。

 イルミネーションを見て回り
 辿り着いた先で買った焼き菓子を
 頬ばっていたら

 ぽつんと手の甲に舞い落ちた
 小さな小さな結晶。

 あっという間に溶け消えたそれも
 ひとつひとつちがう形であることを
 なぜだか ふいに思い出す。


 そんなときに鼓膜を揺らす一粒の声。

 「あの……ゆきんこさんですよね?」
 「……はい」
 「さっきのライブ観ましたよ」
 「ありがとうございます」

 ライブが終われば 今ここにいるのは
 もう 地下アイドルの
 ゆきんこちゃんじゃないけれど。


 「歌もダンスも上手くなってましたね。
 いつも端っこにいるのが不思議なくらい」

 でも そのたった一言が
 胸にグッと染みるくらいには

 私もゆきんこちゃんであることを
 誇りに思っていたのかな。


 「ありがとう、ございます」
 「もうすぐ卒業されるんですよね」
 「いつも応援して下さっているのに
 ごめんなさい」
 「さびしくないって言えば嘘になるけど
 ゆきんこちゃんが選んだ道を
 応援することに変わりはないからね。
 最後の公演 絶対会いに行くから。じゃ」


 それだけ告げて帰っていく背中が
 なんとなく滲んで見えたのは

 さっきまで雲に覆われていた
 月があまりにも眩しすぎるからだ
 きっと。



 私にはわからない世界だけれど……

 先日書いたこちらのつぶやきのように、
くやしさを感じられるのってがんばった人の特権なのかな?ってふと思って。

 涙の味も変わるとも言われているので……せめて自分だけは自分のことを誇りに思えるようになりたいものですね😶‍🌫️

それにしても自分で撮ったイルミネーションの写真どこ行ったん😭😭😭

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