『コンプラ不倫』 #毎週ショートショートnote【PRNG編】

「で、離職したと」
「何度も言ってるじゃねぇか！社内不倫をしたのは向こうなのに、こっちの肩身が狭くなって辞めざるを得なかったんだ！」
「なるほど」

職安の職員は、俺の訴えを聞いているのかいないのか、一向に話が進まないものだから、つい声を荒げてしまった。

そのせいで周りの視線が俺に向かう。

「社内不倫した証拠はあるんですか？」
「あんたにそこまで話す義理はねぇだろ？」
「そうは言いましても…こちらも虚偽の申告で職場を斡旋する訳にはいきませんので」
「は？」
「そもそも婚姻関係がある方はいませんよね？履歴書には扶養家族を記載されていますが」
「…それは不倫して別れたから子どもの親権を俺が…」
「お子さんはおいくつで？」
「3歳だ。今年、幼稚園に入学したばかり」
「よくそこまで詭弁が思いつきますね。まあ貴方にとっては現実なのかもしれませんが…仕事も家族もVRで体験したRPG内での話。貴方は誤ってコンプラ不倫を選択した、ただの無職なんですよ」

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　さてはて、どちらが夢か現実か……

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