『アルプス笑点かい?』 #毎週ショートショートnote【求婚編】
三人の求婚者が現れた。それはきっと父が有名人だからだ。
私は三人の男を居酒屋の座敷に呼び寄せ、畳に直に座るのを待って告げた。
「今から大喜利大会をするわ。それで私が一番面白いと思った方と結婚を前提にお付き合いさせて頂く。いい?」
男達は静かに頷いた。
「お題を出すわね。アルプス一万尺小槍の上で…貴方は何をした?」
「はい!」
威勢良く手を挙げたのは右端の男
「隆子さんと踊った!」
「何の捻りもないわね」
ズバリと切り捨てる。大喜利の意味すら判ってないなんて言語道断!
「はい…」
弱々しい声を上げたのは真ん中の男
「は、犯人を突き落とした…?」
「火サス風ね、でもそれだと被疑者死亡で警察の落ち度になるわ」
「はい」
スッと手を伸ばす最後の一人
「ヨガの鳩のポーズを取りました」
少し考え、私は叫んだ。
「パパー!座布団一枚持ってきてー」
すっと襖を開き、父が左端の男に座布団を差し出した。
選んだ決め手は何って?
それは座布団に座るには体幹が大事だからよ
まあ実際には小槍に座るだけでも痛いけどね。座布団に敬意を払える相手かどうかとして体幹はもちろんのこと、鳩という平和を象徴する鳥🕊️のポーズを取りました! とちょこっと掛けていたというのも決め手だったりします。(一人大喜利が難しくて、諦めた説…?)
『アルプス一万尺』について調べてみたところ、実は外国の歌ではなく(正確にはアメリカの原曲に日本語の歌詞をつけた)、日本アルプスを歌ったもので、歌詞はなんと29番まであるとのこと……!(作詞者は不明。)
なんとまあ、奥の深い! 確かに一万尺って数え方が日本特有だもんな…この世にはまだまだ知らぬことがたくさんあるものですね。
※そういえば「隣のじっちゃんばっちゃん芋食って屁こいて、パンツが破れてさぁ大変」って歌詞もあったな~と思って調べたら、それは替え歌でした🙈(あら、いやだ🙈)
なんで、そういうくだらないバージョンだけはしっかり覚えてるんだか……
よかったら、こちらもどうぞ~