駄洒落小説 『一方通行風呂』 #毎週ショートショートnote【バス編】
バスで隣り合わせたマダムが
「あなた、疲れているわね。よかったらこれどうぞ」
と紙袋を渡してきた。偶然居合わせた人から物をもらうのに躊躇っていると
「いいから、いいから。じゃあね」
マダムは紙袋を押しつけ、バスから降り立った。袋の中を覗くとタブレットタイプの入浴剤。そこに表記されている文言に妙に魅力を感じた。
家に帰るとリビングのソファで部活終わりの息子がだらけていた。
「汗臭いからシャワーでも…」
と言いかけ入浴剤のことを思い出し、お湯を張りながら溶かし入れた。
「お風呂淹れたわよ」
と告げると息子は言われるがまま入浴した後
「母さん、ありがと」
と礼を述べ、自主的に宿題に取りかかった。
すごいわ、叱りとバス!
「今日ね」
「ごめん疲れてるから。風呂は?」
と夫。
「入っているわよ」
あの入浴剤と共に。
しかし一向に夫が戻ってこない。不安になって入浴剤の袋を見る。
まさか、そんな…!
同じお題で書いたものが
個人的に不完全燃焼だったので、改めてお風呂を焚いてみました。さてはて、こちらの湯触りはいかがでしょうか?
裏お題もよかったらどうぞ~🙋
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