『グリム童話ATM』 #毎週ショートショートnote【いざ勝負編】
「今からATMゲームすっぞ!」
リーダー格の権田の言葉にクラスの男子が集まる。
「どんなゲームすんの?」
と言う権田の仲間に
「あの!十回ゲームなんてどうでしょう?」
僕は勇気を出して提案した。
「十回ゲーム?なんだそれ」
「ピザって十回言った後にするようなクイズです」
権田の態度に気圧されながらも説明する。
「ふーん?じゃ志原が問題出してみろよ」
「ではシャンデリアと十回言って下さい」
「簡単だよ、んなもん」
権田が指を折りながら十回唱え終えるとすぐに問題を出す。
「毒リンゴを食べて死んだのは?」
「シンデレラ!じゃなく白雪姫だろ?」
とニヤリと笑うも
「違います」
と言うと権田の顔から笑みが消えた。
「はぁ?」
「白雪姫は毒リンゴを食べたけど、死んではいません」
「なんだよ、それ!」
と納得のいかない様子ではあるけど、権田は素直に「コーラでいいよな?」と言って自販機に走った。
それ以来、僕はグリム童話ATM志原わん、となんとも微妙なあだ名がついた。
つい先日、十回ゲームの小説を書いたばかりなのですが、またしても十回ゲームです。こちらはATMゲームという名のパシりに見事に勝った少年の話です。この二段構えの十回クイズをご存知の方もいるかもしれませんが、初めてやられた時は悔しかったなあ……
他に好きな十回クイズは
「Thatって十回言ってみて!」
からの
「『これはペンです』と言って下さい」
ってやつです。(これは大人の方が引っかかりやすいですね。)
よかったら、こちらもどうぞ~
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