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姿勢反射を利用してトレーニングをより安全・効率的に

ベンチプレスや腕立て伏せをしていると、回数を追うごとに疲れてきて「首を動かして目線を変えてしまう」なんて経験はないですか?腕のプレス系の運動ではアゴを突き出す方が力が入りやすくなります。これは頸反射と呼ばれるもので、水泳であればバタフライの息継ぎ時にも見られます。

対称性頸反射
目線が上がる→アゴを突き出すので首は伸展→肘を伸ばしやすくなる
目線が下がる→アゴを引き込むので首は屈曲→肘を曲げやすくなる
*膝は肘と逆の対応となります。

この他にも非対称性頸反射
右を向く→右肘は伸ばしやすく左肘は曲げやすくなる
左を向く→左肘は伸ばしやすく右肘は曲げやすくなる

ベンチプレスで高重量を扱う場合に横を向いてしまうと、左右で力の入りやすさの差が生まれて、首や肩の怪我の原因となるので要注意です。この対処法はとてもシンプルで、「フォームが崩れない範囲の重量でトレーニングする」と良いでしょう。

水泳のサイドキックが苦手という方は、側臥位反射を理解すると改善されるかもしれません。左側を下にした場合、右膝は曲げやすく左膝は伸ばしやすくなります。サイドキックが苦手な要因は横向きという慣れない姿勢だけでなく、左右の足で力の入りやすさが異なる点もあるかもしれません。前述の例で言うと、「右膝は伸ばすことを、左膝は曲げることを優位に意識する」ことでパフォーマンスが上がる可能性があります。

最後に足首の足蹠反射をご紹介します。
足首を曲げる→腸腰筋などの股関節屈曲筋が優位に
足首を伸ばす→臀筋やハムストリングスなどの股関節伸展筋が優位に

平泳ぎキックやタッチターンの足の引き寄せはじめは、抵抗を減らすために足首は伸ばしたままをおすすめしていますが、これは反射に反する動きなので「足に力が入りにくい・動かしにくい」というのが率直な感想だと思います。それを前提に練習する必要があるでしょう。

このように反射を利用すればトレーニングはより安全で効果的なものとなります。ただし、絶対に反射に従う必要はなく、競技・種目によってはその反対を要求される場合もあります。

まとめ
・筋トレなどの陸上での運動は、姿勢反射を利用して力が入りやすいフォームを優先すると良い。
・水泳では抵抗軽減のために姿勢反射の反対を要求される場面がある。その場合は相応の時間をかけてドリルなどで確認していく。
・「競技パフォーマンス≠力の入りやすさ」を前提にメニューを考える。

次回は「キックのスプリント力を上げる段階的トレーニング法」を姿勢反射も交えてご紹介していきます。今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。

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