花贈りにロマンを込めて ~マリーゴールドの秘めた心~
「まだ、夏を感じていたい……」
まぶしくて、キラキラした夏を。
あのころの恋を、想いながら。
あれ?
あいみょんの「マリーゴールド」が流れてる。
~麦わらの帽子の君が、揺れたマリーゴールドに似てる~
……すてき。
心がゆれた。
切なくも、清々しい明るさに
シンパシーを感じた。
マリーゴールドといえば、
その明るい色彩とコロンと丸い形が印象的。
まるで、笑いながら、こちらを見ているようで、
恥ずかしい気持ちになる。
それぐらい、まぶしく輝いている。
元気をもらった私は、
マリーゴールドのかわいい姿を、花束にしたいと思った。
そして、麦わら帽子に似たバスケットに飾ってみたくなった。
あの日のように、花を摘みながら……
妄想はつづく……。
あれは、イギリス留学時代のこと。
そこは、夏でも花を楽しむ景色があった。
それは、
夏でも爽やかな気候だから?
それとも、花文化が盛んだから?
きっと、その両方なのかなと思う。
夏の日差しは肌を焦がすけど、カラっとして過ごしやすい。
調子に乗って、ノースリーブで街を歩いていた。
現地の人は、みんな薄着だし、日光浴が好きだから、
そんな雰囲気にあわせてた。
しかも、日照時間が長いから、
夜8時でも、太陽がふりそそいでる。
うっかりして、寝るのも忘れるほど。
ある日。
学校で、バスケットに花束を飾る授業があった。
花束をつくるために、裏庭のハーブを摘みにいく。
イギリスは、ガーデン王国でもある。
もちろん、学校にもガーデンがあった。
そこから、好きなハーブと、花を組み合わせたりする。
陽の光に照らされて、
野草や花など、自然な姿でハーモニーを奏でている。
絵画のように豊かな色彩を包みこんでいる、黄緑色のガーデン。
そんな、先生のイギリスの歴史話をききながら、
強い香りのするローズマリーを摘みとった。
すっきりスパイシーな香りの中に、ほんのり甘い香りが漂う。
そこに、ふわっと爽やかな風が、鼻先にふれた。
「愛……」
そして、ハーブを入れて花束が完成する
「すてき……」
授業を終えて、寮に戻り、
窓辺にバスケットを置いてみた。
窓ガラスに反射した裏庭の黄緑色の草や花が、かすかに揺れている。
斜めに射す陽の光を浴びて、輝くバスケットの花束。
それは、すべてが調和していた。
花やガーデンを愛するイギリスの歴史。
そこに、風土や文化までも、からみあっている。
そんな景色を、夜まで楽しむことができた。
日本に帰ってきて、夏が来ると思うことがある。
あのトキメキが、なかなか再現できない……。
日照時間は、少しは長いけど、
とても蒸し暑い。
と思えば、急に雨や風、台風がきたりする。
ちょっと過酷かもしれない。
花も枯れやすい。
陽の光がさす窓辺で、
花を楽しむなんて、とても難しい。
でも、そんな逆境にも負けない花をみつけた。
そう、「マリーゴールド」
長く咲きつづける生命力のある花。
英名「marigold」という名前は、マリア様の黄金の花という意味。
聖母マリアの祭日にいつでも咲いていたことからつけられた。
雨でじめじめした暗い日でも、
鮮やかな色を失うことなく、じっと耐えている。
そして、太陽がさしこめば、ふたたび明るく輝きだす。
そんなマリーゴールドを花束にして、
バスケットに飾ってみることにした。
香り高いハーブをあわせれば……
あの爽やかな夏が蘇える。
ふわりとレースを敷いて
ジャムの空瓶に水を入れ、バスケットにしのばせる。
そこに花束をいれた。
たまには、野草のような自然な感じもいい。
そして、花束に
メッセージを込めてみたい。
マリーゴールドには、
「真心」という花ことばがある。
その花がいつも輝いているのは、
真心で、希望を持ち続けているから。
辛く悲しいときも、夢を失いかけても、
明るいまなざしで、希望の光を見つめてる。
キラキラして、まぶしいだけだよって、
その目には、映ってるのかな……。
嘘のない本当の心には、
希望という名のサポーターがついている。
あなたの秘めた心にも、きっと……。
その光を、信じていたい。
#夏に聴きたい曲 #スキしてみて