『ルプロドゥイール ドゥ ローズ』vol.3 ヒースクリフ
ルプロドゥイール ドゥ ローズ(Reproduire de rose)とは、フランス語で「バラを再現する」という意味。
この企画では、実在のバラを【着せかえ布花ブローチ】のサイズ(全長約5センチ)の布花にして発表していきます。
では3回目の『ルプロドゥイール ドゥ ローズ』をご覧ください。
ヒースクリフ
〔和名〕ヒースクリフ
〔英名〕Heathcliff
〔作出者〕David Austin
〔作出年度〕2012年
〔作出国〕イギリス
〔系統〕シュラブ
深い真紅色(ディープクリムゾン)が目を引くイングリッシュローズのヒースクリフ。
中央から外側に行くほど、色合いがピンク色を帯びていく姿に心惹かれました。
艶やかで濃い緑色の葉が、さらにこのバラの美しさを際立たせています。
インパクトのある色合いのバラですが、作出のデビッド・オースチン・ロージズのカタログによると
『オールドローズのガリカの赤い花を思わせるような特別なやわらかさがあります』
とのこと。
花の色合いや形、柔らかさも考慮して制作しました。
名前の由来は?
ヒースクリフは、イギリスの作家エミリー・ブロンテの『嵐が丘』の登場人物です。
愛と憎しみ、復讐の物語である『嵐が丘』。
その中心人物であるヒースクリフは、吹きすさぶ嵐のごとく復讐を果たす男として描かれます。
何度も映像化や舞台化されているので、あなたも耳にしたことがあるかもしれません。
私も大分前に、映画のDVDをレンタルしたことがあるのですが…
あまり私の好みではなかったので、途中で挫折してしまいました。
今回ヒースクリフを制作するにあたって、改めてストーリーを確認してみました。
嵐が丘のあらすじ
※以下はヒースクリフを中心とした物語のあらすじです。ネタバレを含みます。
身寄りのない子供だったヒースクリフはある時、嵐が丘の屋敷の主人に引き取られました。
そこには主人の子供のヒンドリーとキャサリンがいて、ヒースクリフはキャサリンと幸福な時を過ごします。
ですが主人が亡くなり、家を継いだヒンドリーはヒースクリフを下働きにして辛くあたりました。
実はヒンドリーは、父の愛情をヒースクリフに奪われたと恨んでいたのです。
そんな中でも側にいてくれるキャサリンに、ヒースクリフは恋心を募らせました。
けれどキャサリンは隣の領地の息子と結婚を決めてしまいました。
キャサリンはヒースクリフを愛していましたが、豊かでない彼との未来は先がないと考えていたのです。
愛していたキャサリンの裏切りに傷つき、ヒースクリフは失踪してしまいます。
数年後、成功して豊かになったヒースクリフが嵐が丘に戻ってきました。
キャサリンとその夫、ヒンドリーへ復讐していくヒースクリフ。
その中で彼らの子供や親族も巻き込んでいきます。
自分を傷つけた人達が亡くなり、ヒースクリフはキャサリンの幻影に苦しむようになりました。
そしてある夜、ヒースクリフは雨に打たれながら歓喜の表情を浮かべて亡くなっていました。
バラとヒースクリフの類似点
キャサリンへの深い愛が凄絶な復讐心に変わったヒースクリフ。
バラにヒースクリフという名を付けた経緯は、残念ながら分かりませんでした。
そこで私は、バラのヒースクリフの特徴とヒースクリフのキャラクターに以下のような類似点を考えました。
⚫️深い真紅色の大輪の花→ヒースクリフがキャサリンに寄せる深い愛情
⚫️真っ直ぐ伸びる丈夫さ→復讐へのひたむきな行動
⚫️柔らかな花弁→子供時代のキャサリンとの幸福な記憶と初恋
復讐の物語というと読むのに少しためらいますよね。
でも、こんなに美しいバラにキャラクター名が付けられてるとなると気になりますよね。
…とりあえず、挫折したDVDの視聴をしてみようかな。
ちなみに、デビッド・オースチン・ロージズには『エミリー・ブロンテ』の名前のバラもあるのです。
こちらは全体がソフトピンク色で、中心にアプリコット色がにじむ優しい雰囲気のバラです。
こちらもいつかこの企画で作ってみたいですね。
それでは次回の『ルプロドゥイール ドゥ ローズ』をお楽しみに!
【お知らせ】
『ルプロドゥイール ドゥ ローズ』で作ってほしいバラがありましたら、ぜひリクエストをお願いいたします。
下記の『お問い合わせフォーム』にアクセス→『ご用件』から「リクエスト」を選択→『お問い合わせ内容』にリクエストするバラの品種名をお書きください。
※この企画は不定期開催です。リクエストから発表まで時間がかかりますことをご了承ください。
※リクエストしたら買い取らないといけない…など、リクエストは購入を強要するものではありません。
このバラを布花で見てみたいな、ぐらいに気軽にリクエストしていただけたら嬉しいです。
※『ルプロドゥイール ドゥ ローズ』の布花をご購入希望の場合は、オーダーメイドとしてご注文を承ることも可能です。
詳しくは下記のリンク先をご覧ください。
[参考]
デビッド・オースチン・ロージズ株式会社, バラのハンドブック日本語版[第7版], 2014年[30ページ].
[監修]上田善弘 、河合伸志 [編]NHK出版, 別冊NHK趣味の園芸 バラ大図鑑, NHK出版, 2014年[178ページ].
エミリー・ブロンテ『嵐が丘』の登場人物、あらすじ、感想, 文学ブログ, 2020年6月, 閲覧日2022年5月27日, https://bungakublog.com/emilybronte-arashigaoka-top