木暮 猫

主に迷宮的なデザインのパズルを作っています。瞑想のように心が落ち着くものを目指しています。

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最近の記事

デュポシオンの迷宮#4:土器人形と壺に宿る思考の痕跡

(この記事はストーリーパズルでありフィクションです) 前回:デュポシオンの迷宮#3 隙間を満たす土器  この建物にある中途半端な隙間の一つに、高さが僅か30cmほどしかないものがある。奥行きは2m以上あり、物置にするにも使い勝手が悪すぎる空間だ。そんなデッドスペースを埋め尽くしているのが、人の形をしたたくさんの土器である。それぞれ形の違うその人形たちには、細かい模様がびっしりと描き込まれており、中でも繰り返される目のモチーフが何かを訴えかけてくるようだ。  また、人形た

    • デュポシオンの迷宮#3:辿り着けない部屋と奇妙な彫刻

      (この記事はストーリーパズルでありフィクションです) 前回:デュポシオンの迷宮#2 辿り着けない部屋  段差は、数えるのに苦労するほどあちらこちらに出現する。フロア同士の高さが合わず、せっかく上ったのにまた下ったり行き止まりになっていたりと、行き当たりばったりのような感じすらある。フロアの下に中途半端な隙間ができていることも少なくなく、非常にデッドスペースの多い作りだ。これに意味がないとしたら、それはそれでこの時代の見方を変える大発見になるかもしれないが、実のところ我々考

      • デュポシオンの迷宮#2:呪われた美女と迷宮建築の謎

        (この記事はストーリーパズルでありフィクションです) 前回:デュポシオンの迷宮#1 ゼノビオスの叙事詩 ——私に近づいてはいけません。私は呪われているのです。どうかあなたはご自身の毎日の仕事に励んでください。  これは、デュポシオンが栄えた時期の末期に書かれたとされる叙事詩の一節だ。恐ろしい呪いのかけられた美女が、農村の男たちに自分のことを忘れ日々の作業に戻るよう忠告している。しかし、それを無視して美女に近づいた男たちは、徐々に魂を吸い取られていき… ——三角の雨の降

        • デュポシオンの迷宮#1:奇妙な挿絵が紡ぐパズル

          (この記事はストーリーパズルでありフィクションです) はじめに 私がデュポシオン遺跡に出会ったのは、高校生の頃だった。当時、図書館で何気なく手に取ったキース・エドワーズ博士の著書が、私の運命を決したと言っても過言ではない。そこに綴られていたのは、それまでの日常生活では味わったことのない刺激的で神秘的な謎の数々だった。  あれから20年以上が経ち、驚くべきことに私も当時のエドワーズ博士の年齢に追いつこうとしている。未だ遺跡の謎のほとんどは解明できていないが、それでもいくつか