デュポシオンの迷宮#2:呪われた美女と迷宮建築の謎
(この記事はストーリーパズルでありフィクションです)
前回:デュポシオンの迷宮#1
ゼノビオスの叙事詩
——私に近づいてはいけません。私は呪われているのです。どうかあなたはご自身の毎日の仕事に励んでください。
これは、デュポシオンが栄えた時期の末期に書かれたとされる叙事詩の一節だ。恐ろしい呪いのかけられた美女が、農村の男たちに自分のことを忘れ日々の作業に戻るよう忠告している。しかし、それを無視して美女に近づいた男たちは、徐々に魂を吸い取られていき…
——三角の雨の降る迷宮の中を、延々と彷徨い続けることになるのです。
抜け殻になった男たちの末路はこう書かれている。『三角の雨』、『迷宮』。舞台はデュポシオンから遠く離れた地域の農村であるにも関わらず、遺跡を思わせる言葉が並ぶ。果たしてこれはただの偶然だろうか。
迷宮的建物
壁画の部屋のある建物は迷宮のように入り組んでおり、ミノア文明のクノッソス宮殿を彷彿とさせる。現存するのは一階の一部分のみだが、当時は500個以上の部屋があったとも言われており、これが王宮ではないというのが不思議なくらいだ。
凹凸のある地形に合わせたためか、一階の床面には多くの段差がある。しかし再現図によると、上階のフロアもより複雑に上下しており、中途半端な高さのフロアがあちこちに存在していたと考えられている。
いったいなぜ、このような複雑な構造にする必要があったのだろうか。もしくは、結果的に複雑になったのだとしたら、どういった経緯があったのだろうか。
それを明らかにするためには建物の用途を知りたいところだが、それも判然としない。過去には従者たちの居住スペースではないかと考えた学者もいたが、王宮内に十分なスペースが確保されていたことが分かると、その説も影を潜めてしまった。結局、この膨大な部屋数と複雑な構造の理由は、未だ藪の中というわけだ。
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