評価において大切なこと(その3)
前回、評価の大原則として、
・評価の対象(評価項目)を明確にする
・評価期間を明確にする
・評価の基準を明確にする
ことが大切であると書きました。
今回は、その中の評価項目について詳しく書いてみたいと思います。
評価制度を作るとき、最も大切なのは評価項目を定めることです。
まず、会社として何を重視するのかを決める必要があります。
能力を重視するのか、成果を重視するのか、姿勢を重視するのか、それらをどのように組み合わせるのかなどです。
一般に、ジョブ型の雇用(ポストと仕事が先に決まっていて、それに相応しい能力がある人を採用する雇用形態)では、能力は既にあることが前提になっているので、成果を重視した評価が行われています。
これに対して、日本では長らく職能等級制度と長期雇用を前提とした雇用(新卒で採用して、社内で育成しながら能力を高め、等級の階段を上げていく雇用形態)が中心であったため、能力を重視した評価が行われてきました。
しかし、1990年代の後半ごろから、いわゆる「成果主義」が広がり、能力よりも成果を重視した評価を行う会社が増えてきました。
この時期に、併せて「目標管理制度」を導入する会社が急増し、「目標管理制度に基づく成果評価」が広く行われるようになりました。
目標管理制度に関しては、誤解や誤った認識があることが否めず、よく考える必要があるのですが、それは次回に改めて書くことにします。
さて、成果を評価するということは当然なので全く問題ないのですが、能力と姿勢をどうするのかということが課題となります。
もし成果だけで評価するとしたら、能力を高めることに目がいかず、短期的な成果追求に陥ってしまう恐れがあります。
もし姿勢に関する評価を行わないのであれば、やり方はどうでもよく、とにかく成果をあげればよいということになりかねません。
なので、弊社では、「成果」と「能力・姿勢」を分けて評価し、その結果の反映先を分けることをお勧めしています。
成果 → 賞与(ボーナス)の支給額
能力・姿勢 → 昇進や昇格
もちろん、各社の人事制度に応じて評価制度を作るので、必ず上記のとおりになるというわけではありませんが、基本的な考え方としてはこれが最もわかりやすいと考えています。
そして、それぞれについて細かい評価の指標を作っていきます。
成果については、目標管理制度で設定する目標の達成度合いで評価すればよいので、比較的わかりやすいと思います。
では、能力と姿勢についてはどのように設定すればよいでしょうか?
能力に関しては、
・職能等級別に定められる能力要件定義
・職種別に求められる専門能力
の2側面から設定することがわかりやすいと考えます。
姿勢に関しては、
・全社員に共通して求められる行動規範
・階層別に求められる業務遂行規範
の2側面から設定できるのではないでしょうか。
このように、「何を評価するのか」を決め、「それをどのような指標に分けるのか」が評価制度を作る上での根幹になります。
皆さんの会社の評価制度がどのようになっているか、一度確かめてみることをお勧めします。
評価において大切なこと、
その3は「評価項目を適切に設定する」です。
いかがでしたでしょうか?
次回は「目標管理」について書いてみたいと思います。
株式会社F&Lアソシエイツ
代表取締役 大竹哲郎
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