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あなたの前ならうまく喋れる


2024年12月27日(金)朝の6:00になりました。

労働者の権利を駆使して、今日から年末休暇です。

どうも、高倉大希です。




喋ることは、苦手だったはずなのに。

どうしてこんなにすらすらと、喋ることができているのだろう。


ときどき、そんなふうに思う人と出会います。

まるで、自分が上手に喋れているかのような錯覚に陥るわけです。


実際は、相手の相槌がただひたすらにうまいだけです。

みるみるうちに、秘めた言葉を引き出されてしまいます。


最終的に、聴き手と語り手の両方が「こんな話、するつもりじゃなかったのに」と思えるような場所にまでたどり着く取材が、ぼくの理想だ。あとはライターの自分が、うまくまとめてくれるだろう。

古賀史健(2021)「取材・執筆・推敲 書く人の教科書」ダイヤモンド社


サッカーをしていたころにも、よく似たできごとがありました。

完璧なトラップができたかと思いきや、どうやらパスがうまいのです。


ほかの人からのパスだと、どうにもうまく止められません。

それなのに、あいつからのパスならば完璧なトラップができるのです。


その事実に気づくまでは、てっきり自分の技術が上がったのだと思っていました。

実際は、あいつのパスがただひたすらにうまかったのです。


ぼくは、先生の役割って、一つの狭い常識のなかで生きている人に、そうじゃないよと教えてくれて、でも、その答えは自分で見つけなさいよらといってくれることだと思います。だから、先生を見て、「ぼくって、わたしって、ちっちゃいなあ」と思えるような人じゃないとダメなんじゃないかなって思います。

高橋源一郎(2022)「5と3/4時間目の授業」講談社


勘違いしたまま進んでいたら、のちに苦労していただろうなと思います。

自分はできると思っている人ほど、厄介なものはありません。


自分がすらすらと喋れているのは、相手の相槌がうまいだけ。

自分が完璧にボールを止められているのは、相手のパスがうまいだけ。


それに気づくことができたなら、感謝するのは必然です。

恩恵を享受することで、どうにかこうにかやっていくことができるのです。


「自立」とは、依存しなくなることだと思われがちです。でも、そうではありません。「依存先を増やしていくこと」こそが、自立なのです。これは障がいの有無にかかわらず、すべての人に通じる普遍的なことだと私は思います。

孫泰蔵(2023)「冒険の書 AI時代のアンラーニング」日経BP


自分がつぎにやるべきことは、お喋りの練習でもトラップの練習でもありません。

次なる他者へと襷をつなぐ、相槌やパスの練習です。


この人の前なら、なぜだか自分はうまく喋れる。

この人からのパスなら、なぜだか自分は完璧にボールを止められる。


そんなふうに思われる人に、なりたいなと思います。

またどこかで、お会いしましょう。






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高倉大希
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