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イタリア語 時制の一致 2

こんにちは‼️みなさま、いかがお過ごしですか?ここイタリアでは、あの灼熱の夏がまるで幻だったかのように、すっかり秋の気配が漂っています。朝晩は肌寒く、早くもダウンを羽織る人の姿がちらほらと見られるほど。冷たい雨がしとしとと続き、街全体がしっとりと秋色に染まっています。

YouTubeで学ぶイタリア語。今月のテーマは《時制の一致》でございます。《時制の一致》というのは,文中の主節と従属節の動詞の時制を調和させるルールです。時間的な矛盾を避け、文の意味を明確にするための重要なルールですが,私たちは日本語(国語)を学校で習った時に,《時制の一致》なんてことは教わらなかったため,私達日本人にとって《時制の一致》は,習得が困難なものの一つです。

日本語は《文脈》が時制を決定する上で,大きな役割を果たしているので,英語やイタリア語のような厳密な《時制の一致のルール》はありません。ですが,日本語学習者からしたら,明確なルールがないだけに,もしかしたら,日本語の時制の概念のほうが難しいのかもしれません。日本語って,どこまで曖昧なんだか。

さ,前置きはこのくらいにして。今回は,《時制の一致》の第二回目ですが,イタリア語の時制の一致を学ぶうえで,抑えておきたいポイントを,もう一度おさらいておきましょう。

第1回目で,次の3つの用語が登場しました。anteriorità と,contemporaneità と,posteriorità です。時制の一致は,主節の動詞の時制を基準にし,比較して, 従属節の動詞の時制を決定 することです。主節の動詞の動作が行われた《時》に対して,従属節の動詞の動作が行われるのが,anteriorità前・過去なのか,contemporaneità同時なのか,posteriorità後・未来なのかの《時間差》を明確に示すことです。

《主節の動詞の時制を基準にする》といっても,主節の動詞も過去になったり,未来になったりするわけで,そうなると,当然,従属節の時制も変わってしまいますから,組み合わせが何通りにもなってしまうので,覚えるのが大変だぁ‼️ というわけです。

では,2回目の今回,取り上げる動画はこちら。

前回に引き続き Learn Italian with Lucrezia のチャンネルから。1回目は,主節の動詞が,従属節の動詞に《接続法を要求しない動詞》での解説でした。例えば,dire, raccontare, sapere といった動詞です。そして,この2回目では,主節の動詞に,《従属節の動詞に接続法を要求する動詞》を使った場合の解説に入ります。ここ,大事なポイントなので,もう一度繰り返します。今回の時制の一致は,《従属節の動詞に接続法を要求する動詞》を,主節に使った場合 の時制の一致です。

つまり,こういう組み合わせです。

第1回目の時制の一致:主節:直説法 従属節:直説法
第2回目の時制の一致:主節:直説法 従属節:接続法

それでは早速行ってみましょう‼️ 今回も長いですが,最後までお付き合いいただけたら幸いです。例によって,私が口を挟んだ部分は,👧 のマークがついています。
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こんにちは,私のチャンネルにようこそ。このビデオは,la concordanza dei tempo時制の一致の2回目です。本題に入る前に,《時制の一致》について簡単に復習しましょう。

👧 ここで,時制の一致とは何かの復習が入ります。この部分は,1回目でした説明と全く同じなので,省略します。

1回目は,直説法同士,つまり,主節の動詞も従属節の動詞も,どちらも《直説法》 の時制の一致をみてきましたが,2回目の今日は,直説法と接続法 を組み合わせた場合の時制の一致を学びます。

👧 今回の解説は,主節の動詞が《直説法》で,従属節の動詞が《接続法》 になる組み合わせの時制の一致です。

直説法同士の時制の一致と同様,直説法と接続法の一致についても,次のようなパターンがあります。

主節に続く従属節では,主節で起こる動作より 前に起こった行為prima,主節で起こる動作と 同時に起こっている行為lo stesso momento,主節で起こる動作より後に起こる行為dopoを示します。

主節の時制には,passato過去時制presente現在時制futuro未来時制と,どの時制も使うことができますが,今回主節に使う動詞は,意見opinione
感情sentimento疑いdubbio
など《従属節に接続法を要求する》を表す動詞です。

《従属節に接続法を要求する動詞》とは,例えば,pensare思う・考えるvolere〜がしたいcredere思う・信じるsperare願う・期待するtemere〜ではないかと心配するdispiacersi悲しむpiacereできれば〜したいといったものです。

これは,重要なポイントです。このような動詞を使わないのであれば,直説法と接続法 の時制の一致ではなく,直説法と直説法 の時制の一致となるからです。従属節で接続法を使用するには,先程のような《意見》《感情》《疑い》を表す動詞を,主節に使用する必要があります。

それから,一つ重要なことがあります。接続法というのは,95%,従属節で使われる法です。いくつかの感嘆文や定型表現を除いて,主節で接続法を使うことはありません。通常,接続法というのは,従属節の動詞に用いられる《法》です。


1.主節の動詞の時制が《現在時制》

それでは,主節の動詞の時制が《直説法現在》の場合から見ていきましょう。

主節には,次の文ようなを使うとします。

Fabio pensa che …
Fabio teme che …
Fabio crede che …
Fabio spera che …
 

それでは,これらの《現在時制の主節》に続く従属節の動詞の時制には,どれを選べばいいのか,l'anteriorità前・過去la contemporaneità同時la posteriorità後・未来について,一つずつ見ていきます。

a. ANTERIORITÀ

主節の時制が《直説法現在:現在時制》で,それと比較して,従属節の動作・行為が,anteriorità前・過去 に起こった動作である場合,それを表現するのには,il congiuntivo passato接続法過去を用います。

Fabio pensa che Barbara sia partita ieri sera.
ファビオは,バルバラは昨夜出発したのではないかと思っている。

主節:直説法現在  従属節:接続法過去

なぜ,私は接続法を使ったのでしょうか?そうですね,主節の動詞に pensare を使っているからです。これは重要なポイントなので,何度も繰り返します。

これは,直説法の《近過去》を用いた文に相当しますが,例えば,ファビオが,この情報に確信を持っているなら …。

Fabio sa che Barbara è partita ieri sera.
ファビオは,バルバラが昨夜出発したことを知っている。

主節:直説法現在  従属節:直説法近過去

と表現するでしょう。しかし,ファビオがこの情報に確信を持っていない場合,つまり,(確信のない)単に彼の推測や懸念だとするなら …。

Fabio pensa che Barbara sia partita ieri sera.
ファビオは,バルバラが昨夜出発したのではないかと思っています。

このように表現することになります。そうすることによって,話全体が《不確実な情報》のレベルになります。

👧 復習‼️ 主節が現在時制の anteriorità の場合
《従属節に接続法を要求しない動詞》を主節に用いるなら,従属節の動詞の時制には,《直説法近過去》《直説法半過去》《直説法遠過去》の3つの選択肢がありました。

Fabio mi dice che Barbara è partita ieri sera.

主節:直説法現在  従属節:直説法近過去

Fabio mi dice che Giorgia giocava a tennis da piccola.

主節:直説法現在  従属節:直説法半過去

Fabio mi dice che i suoi nonni si conobbero negli anni '50.

主節:直説法現在  従属節:直説法遠過去

👧 3つのうちどれを選ぶのかは,是非,第1回目の記事をお読みください。

👧 一方,主節に《従属節に接続法を要求する動詞》を用いるなら,従属節の動詞は《接続法過去》の 一択 だということですね。

b. CONTEMPORANEITÀ

次に,主節の動詞の時制が《直説法現在:現在時制》で,従属節の動作・行為が,それとcontemporaneità同時に行われている場合の表現の仕方を解説します。主節の動作と同時の動作を,従属節で表現するには,il congiuntivo presente接続法現在使用します。

主節の動詞には,《直説法現在》を,従属節の動詞には,《接続法現在》を使用する,ということです。

Fabio teme che Veronica stia male.
Fabio ha paura che Veronica stia male.
ファビオはベロニカが病気ではないかと心配している。

主節:直説法現在  従属節:接続法現在

Fabio crede che Federica e Luca stiano litigando.
ファビオはフェデリカとルカが喧嘩してると確信している。
Fabio immagina che Federica e Luca stiano litigando.
ファビオはフェデリカとルカが喧嘩してると思っている。

主節:直説法現在  従属節:接続法現在

従属節の動詞に《接続法》を使いました。繰り返しになりますが,それは,主節に使った動詞が,《意見》《想像》《懸念》などを表す動詞だからです。

👧 復習‼️ 主節が現在時制の contemporaneità の場合。
《従属節に接続法を要求しない動詞》を主節に用いるなら,従属節の動詞の時制は,《直説法現在》でした。

Fabio mi sta dicendo che Veronica sta male.

主節:直説法現在(現在進行形)  従属節:直説法現在


c. POSTERIORITÀ

一方,主節の動詞の時制が《直説法現在:現在時制》で,それと比較して従属節の動作・行為がposteriorità後・未来である場合は,従属節の動詞の時制には,直説法単純未来il futuro sempliceまたは,接続法現在il congiuntivo presenteを使います。

Fabio pensa che Carlo non verrà alla festa.
Fabio pensa che Carlo non venga alla festa.
ファビオは,カルロはパーティに来ないと思っている。

主節:直説法現在  
従属節:直説法単純未来 または 接続法現在

👧 復習‼️ 主節が現在時制の posteriorità の場合。《従属節に接続法を要求しない動詞》を主節に用いるなら,従属節の動詞の時制は,《直説法単純未来》一択でした。

Fabio mi dice che Carlo mi regalerà un bel quadro.

主節:直説法現在  従属節:直説法単純未来


2.主節の動詞の時制が《過去時制》

それでは次は,主節の動詞が《従属節に接続法を要求する動詞》で,《過去時制》になった場合を見ていきます。

主節に用いる《過去時制》というのは,l'imperfetto indicativo直説法半過去il passato prossimo indicativo直説法近過去il trapassato prossimo indicativo直説法大過去il passato remoto遠過去 のいずれの可能性もあります。

a. ANTERIORITÀ

主節の時制が《直説法の過去時制》で,従属節の動作・行為が,anteriorità前・過去 に起こった動作である場合,それを表現するのには,il congiuntivo trapassato接続法大過去を用います。

Fabio pensava che Barbara fosse partita un mese prima.
ファビオはバルバラが一ヶ月前に発ったと(その時)思っていた。

主節:直説法半過去   従属節:接続法大過去

👧 復習‼️ 主節が過去時制の anteriorità の場合。《従属節に接続法を要求しない動詞》を主節に用いるなら,従属節の動詞の時制には,《直説法大過去》を用いるんでした。

Fabio mi stava dicendo che Barbara era partita un mese prima.

主節:直説法半過去  従属節:直説法大過去


b. CONTEMPORANEITÀ

次に,主節の動詞の時制が《過去時制》で,従属節の動作が,contemporaneità同時である場合,従属節の動詞には,il congiuntivo imperfetto接続法半過去を用います。

Fabio pensava che Veronica stesse male quel giorno.
ファビオは,その日ベロニカが病気だと思っていた。

主節:直説法半過去  従属節:接続法半過去

Fabio ha creduto che Federica stesse studiando in quel momento.
ファビオは,あの時フェデリカは勉強中だと思った。

主節:直説法近過去  従属節:接続法半過去(進行形)

👧 復習‼️ 主節が過去時制の contemporaneità の場合。《従属節に接続法を要求しない動詞》を主節に用いるなら,従属節の動詞の時制には,《直説法半過去》を用いるんでした。

Fabio mi diceva che Veronica stava male quel giorno.

主節:直説法半過去  従属節:直説法半過去

Fabio mi ha detto che Federica stava studiando in quel momento.

主節:直説法近過去  従属節:直説法半過去(進行形)


c. POSTERIORITÀ

次に,主節の動詞の時制が《過去時制》で,それと比較して従属節の動作が,posteriorità後・未来である場合の表現の仕方を見ていきましょう。つまり,従属節の動作が,主節の過去の動作よりもdopoに起こった場合です。この場合,従属節の動詞には il condicionale passato条件法過去を使用します。これは,直説法同士の時制の一致と同じです。

この表現は futuro nel passato過去における未来と呼ばれるもので,《過去における未来》を表現するには,|il condicionale passato《条件法過去》を使用します。

Fabio pensava che Carlo mi avrebbe telefonato più tardi.
ファビオは,カルロが後で私に電話すると(その時)思っていた。

主節:直説法半過去  従属節:条件法過去

また,ここに il congiuntivo imperfetto接続法半過去を使用することも可能です。

Fabio pensava che Carlo mi telefonasse più tardi.

主節:直説法半過去  従属節:接続法半過去

👧 復習‼️ 主節が過去時制の posteriorità の場合。《従属節に接続法を要求しない動詞》を主節に用いるなら,従属節の動詞の時制は,《条件法過去》一択でした。

Fabio mi ha detto che Carlo mi avrebbe telefonato più tardi.

主節:直説法近過去  従属節:条件法過去


3.主節の動詞の時制が《未来時制》

次は,主節の動詞の時制が《直説法単純未来》の場合を考えます。ここでも《従属節に接続法を要求する動詞》を主節に用いますから,あくまでも《意見》《考え》《予感》を伝える表現になります。つまり,《不確かな情報》を伝える表現です。

主節はこのような文になるでしょう。

Io immaginerò che ….
Io farò finta che ….

far finta di … : 〜のふりをする,見せかける

👧 pensare思うとかcredere信じるとかimmaginare想像する といった動詞を,《未来時制》で使うって,どういうこと? 思うだろう?信じるだろう?想像するだろう?って?そんな文章,あり得る?ま,いいや,続きを聞きましょう。


a. ANTERIORITÀ

主節の動詞の時制が《直説法単純未来》で,それと比較して従属節の動作が,anteriorità前・未来に起こった動作である場合,それを表現するのには,il congiuntivo passato接続法過去を使います。

Farò finta che tu non mi abbia detto niente!
君が私に何も言わなかったふりをするよ!

主節:直説法単純未来  従属節:接続法過去

👧 へえ,接続法過去ですか,なるほど。接続法には,直説法先立未来にあたる時制がない からですかね。接続法過去を使うしかないってことか。ここで,この文の時系列を考えます。

Farà finta che tu non mi abbia detto niente! を直訳すると,「君が私に何も言わなかったふりを,(後で)私はするだろう」ということになる。と,いうことは ….。

👧 こういう解釈でいいんですか?つまり,発話時より前に,私はすでに君から何かを聞いているってことよね。
👱‍♂️ そうだね。
👧 とするとよ,Chiamerò Luisa quando sarà tornata a casa. とは,時系列がちょっと違うよね。ほら,見て。

👧 Farò finta che … のほうは,《従属節》→ 《発話時》→《主節》の時系列になるけど,Chiamerò … のほうは,《発話時》→《従属節》→《主節》の時系列になる。
👱‍♂️ うん。でも,どちらも従属節の動詞の行為が行われるのは,主節の動詞の行為が行われるのよりprimaでしょ。だから,時間の捉え方は同じってこと。
👧 ふんふん。なるほど。

👧 復習‼️ 主節が未来時制の anteriorità の場合。《従属節に接続法を要求しない動詞》を主節に用いるなら,従属節の動詞の時制には,《先立未来》を用いる。

Chiamerò Luisa quando sarà tornata a casa.

主節:直説法単純未来  従属節:直説法先立未来

👧 で,《従属節に接続法を要求する動詞》を主節に使うなら,従属節の時制・法は,《接続法過去》ね。

Farò finta che tu non mi abbia detto niente!

主節:直説法単純未来  従属節:接続法過去

👧 過去時制 を使うのかあ,と一瞬❓️と思いましたが,実際,図解してみると,確かに従属節が行われた行為は,発話時より《過去》になってる。でも,今回 Lucrezia が提示した例文がたまたまこの時系列になっているのかもしれません。ここは,検証の余地がありそうです。

b. CONTEMPORANEITÀ

次は,主節の動詞の時制が《直説法単純未来》で,それと比較して,従属節の動作が,主節の動作とcontemporaneità同時に起こっている場合です。この場合,従属節の動詞の時制はil congiuntivo presente接続法現在となります。

Immaginerò che tu mi dica la verità.
君が本当のことを言ってくれることを想像するだろう。

主節:直説法単純未来  従属節:接続法現在

Immaginerò che tu mi stia dicendo la verità.
君が本当のことを言っていることを想像するだろう。

主節:直説法単純未来  従属節:接続法現在(進行形)

👧 妙な日本語訳で,ほんと申し訳ないです(^_^;) でも,これ意外訳しようがないよね,この文章。そもそも immaginare って,未来時制で使う?今は想像してないけど,後で想像するかもね,なんて,いいますかぁ❓️ねえ,この文,どう思う?
👱‍♂️ ….。全く意味不明。
👧 だよね,やっぱり。Lucrezia,頼むよぉ。もっといい例文,出してくださいよぉ 😮‍💨 逆に悩んじゃうよ💦 
👱‍♂️ とにかく,この場合は《接続法現在》を使うんだよ,ってことが伝えたいってことじゃない?
👧  Lucrezia は,他にも例文も提示してます。

Farò finta che tu mi dica la verità.
Farò finta che tu mi stia dicendo la verità.

主節:直説法単純未来  従属節:接続法現在

👧 これを日本語にするとしたら …。「君が本当のことを言ってるふりを(私は後で)するよ」かな。うん,これなら,あり得ますね。例えば,これから君が誰かに嘘をつこうとしている。その場に居合わせる私は,君が嘘を言ってることは知ってるけど,あたかも,君が本当のことを言ってるようなふりをしてあげるよ,ってことですよね。

👧 復習‼️ 主節が未来時制の contemporaneità の場合。《従属節に接続法を要求しない動詞》を主節に用いるなら,従属節の動詞の時制には,《直説法単純未来》を用いるんでした。

Chiamerò Luisa quando starò meglio.

主節:直説法単純未来  従属節:直説法単純未来


c. POSTERIORITÀ

次に,主節の動詞の時制が《単純単純未来》で,それと比較して従属節の動作が,さらにposteriorità後・未来である場合です。つまり,従属節の動作が,主節の未来の動作よりもさらにdopoに起こる場合です。この場合の,従属節の時制と法は,il congiuntivo presente接続法現在か,il futuro semprice dell'indicativo直説法単純未来です。

Farò finta che tu mi dica la verità.
(君が私に)真実を言ってるふりをするだろうよ。

主節:直説法単純未来  従属節:接続法現在

Farò finta che tu mi dirai la verità

主節:直説法単純未来  従属節:直説法単純未来

👧 復習‼️ 主節が未来時制の contemporaneità の場合。《従属節に接続法を要求しない動詞》を主節に用いるなら,従属節の動詞の時制には,《直説法単純未来》を用いるんでした。

Chiamerò Luisa quando avrò 5 minuti liberi.

主節:直説法単純未来   従属節:直説法単純未来

4.まとめ

それでは,主節に《従属節に接続法を要求しない動詞》を使った場合と,《主節に接続法を要求する動詞》を使った場合の,時制の一致を比較しながら確認していきます。

👧 ヴァレにも確認しましたが,提示されている例文は,はっきりいってあまりいいものではないと思います。おそらく,この時制の一致を説明するために,無理やり作った例文だと思われます。文章の意味はあまり気にせず,主節と従属節の《時制と法》の関係がどのようになっているのかを,確認してください。

So che Marco parla spesso con Filippo.

主節:直説法現在  従属節:直説法現在

Immagino che Marco parli spesso con Filippo.

主節:直説法現在  従属節:接続法現在


この2つの文の異なっている部分を確認すると同時に,主節と従属節の時制・法の組み合わせを見ていきます。

So che Marco parla spesso con Filippo.
私は,マルコがフィリッポとよく話しているを知っている。

主節:直説法現在  従属節:直説法現在

この文は,《確信がある情報》を伝える文です。日頃,マルコとフィリッポがしている一定の頻度で繰り返されている日常的な行動を述べています。主節に《従属節に接続法を要求しない動詞 sapere》を使っているので,従属節の動詞の法と時制は《直説法現在》となります。

Immagino che Marco parli spesso con Filippo.
私は,マルコがフィリッポとよく話していると思う。

主節:直説法現在  従属節:接続法現在

この文は,《確信がある情報》ではありません。私の《推測》《仮定》《印象》です。Io penso che … Io immagino che … Io credo che … Marco parli spesso con Filippo. 主節の動詞は,前の例文と同様《直説法現在》ですが,従属節の動詞には《接続法現在》を使っています。なぜなら,主節の動詞が《意見》を表す動詞だからです。

So che Marco ha parlato con Filippo ieri.
(私は)昨日マルコがフィリッポと話したことを知っているよ。

主節:直説法現在  従属節:直説法近過去

Penso che Marco abbia parlato con Filippo ieri.
(私は)昨日,マルコはピリッポと話したと思う。

主節:直説法現在  従属節:接続法過去

どちらの文も,従属節の動詞の行為が行われたのは,主節の動詞の動作 anteriorità前・過去ですが,下の文は,主節の動詞が《従属節に接続法を要求する動詞》なので,《接続法過去》を使います。つまり《考え・意見・感情・気持ち》などを表現する文章では,《直説法近過去》は,《接続法過去》となります。その文章というのは,《事実》でなく《確信のない情報》です。その人個人の《考え》です。

Sapevo che Marco parlava spesso con Filippo.
私は,マルコがよくフィリッポと話していることを知っていた。

主節:直説法半過去  従属節:直説法半過去

Credevo che Marco parlasse spesso con Filippo.
私は,マルコはよくフィリッポと話していると思っていた。

主節:直説法半過去  従属節:接続法半過去

それぞれ過去について語る文章ですが,上の文章は,《確信のある情報》で,下の文は,《推測・考え》です。つまり《考え・意見・感情・気持ち》などを表現する文章では,《直説法半過去》は,《接続法半過去》となります。その文章というのは,《事実》でなく《確信のない情報》です。その人個人の《考え》です。

Ieri ho saputo che Marco aveva parlato con Filippo il giorno prima.
マルコが前の日にフィリッポと話していたことを,昨日知った。

主節:直説法近過去  従属節:直説法大過去

Ieri ho creduto che Marco avesse parlato con Filippo il giorno prima.
マルコが前の日にフィリッポと話していたと,昨日確信した。

主節:直説法近過去  従属節:接続法大過

《考え・意見・感情・気持ち》などを表現する文章では,《直説法大過去》は,《接続法大過去》となります。その文章というのは,《事実》でなく《確信のない情報》です。その人個人の《考え》です。

👧 この例文も,なんだかなぁ〜と思います。妙な日本語訳だと思いますが,ご勘弁ください。とにかくここでは,マルコがフィリッポと話したのは,私がそれを知った昨日よりもl'anteriorità前・過去で,ここに時間差があるってことが重要です。

このように,従属節に接続法を要求する動詞を主節に使った場合と,従属節に接続法を要求しない動詞を主節に使った場合では,《時制》は変わりません。l'imperfetto半過去は,l'imperfetto半過去il tra passato大過去は,|il tra passato《大過去》です。変えるのはil modoだけです。

なぜなら,l'indicativo直説法というのは,《確信のある事実や情報》を伝えるil modoだからです。直説法に対して,il congiuntivo接続法というのは,非合理的な法il modo irrazionaleで,感情や不確実なこと、主観的な判断を表すために使われるil modoです。

次に,le frasi negative否定文についても,少し触れたいと思います。le frasi positive肯定文では《確実な情報》を明示するので,常にl'indicativo直説法が使われます。それが,《否定文》になると,《接続法》を使わなければならなくなります。《肯定文》で明示されたla certezza確信・確かさが,《否定文》の中では存在しなくなるからです。

So che cosa succede. ← 直説法現在
何が起きているのか(私は)知っている。
Non so che cosa succeda. ← 接続法現在
何が起きているのか(私は)知らない。

《肯定文》は,私はla certezza確信を持っていますが,《否定文》の Non so che cosa succeda.では,la certezza確信は消えてなくなります。

So che cosa è successo. ← 直説法近過去
何が起きたか(私は)知っている。
Non so che cosa sia successo. ← 接続法過去
何が起きたか(私は)知らない。

So che cosa è successo. と言えば,la certezza確信があります。ですが,Non so che cosa sia successo. というと,そのla certezza確信は,なくなります。他の例も見てみましょう。

Mi raccontava sempre che cosa succedeva. ← 直説法半過去
彼は,何が起きているのか,いつも(私に)教えてくれていた。
Non mi raccontava mai che cosa succedesse. ← 接続法半過去
彼は,何が起きているのか,決して(私に)教えてくれなかった。

Mi raccontò che cosa era successo.  ← 直説法大過去
彼は(以前)何が起きたのか(私に)教えてくれた。
Non mi raccontò che cosa fosse successo. ← 接続法大過去
彼は(以前)何が起きたのか(私に)教えてくれなかった。

したがって,確実性のあるuna frase affermativa肯定文を,una frase negativa 否定文に変えると,la certezza確実性も否定されるということです。この理由から,(否定文では)《接続法》を使うことになるという訳です。

はい,本日はここまでです。この動画が皆さんのお役に立てることを祈っています。また次の動画でお会いしましょう。

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お疲れ様でした。いやいや,長かったですね。もう,何がなんだか解んなくなってきた感がありますが (^_^;) 個人的な感想ですが,いくつか,難解な例文がありました。文章というのは,その背景にある《文脈》というのがとても大事です。たった一文だけ提示されても,意味が理解できないことがままあります。ですが,本でも動画でもそうですが,文法説明では,一つの文章だけを提示し,解説されることが往々にしてあります。したがって,時に ❓️という文章が出てくるのは,しょうがないんでしょう。

時制の一致の組み合わせは,この2回を見ただけでも,相当な数になりますが,きっと,実際に使う …. というか,普段よく使う組み合わせというのは,その中の一部なのでは❓️と思いました。これは,また別のイタリア人の解説動画で,おいおい確認していきたいと思ます。

次回もまた Lucrezia の動画を取り上げます。

このシリーズの3回目です。この回では,主節が《条件法》になった場合を解説してくれています。はぁ〜😮‍💨 時制の一致の組み合わせ,いったいいくつあるんでしょうね。それでは,また次回,お会いしましょう。

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