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【レポート】世界の甘味料(砂糖以外)の需給動向

【レポート】世界の甘味料(砂糖以外)の需給動向 (本文2,047文字)
 
 
独立行政法人農畜産業振興機構は、令和6年12月10日付にて「世界の甘味料(砂糖以外)の需給動向」についてレポートを公開しました。
ここではレポートの概要をご案内します。詳しくは<一次情報>からご確認ください。
 
 
<レポート概要>
1. 甘味料の分類
甘味料は「食品に甘味を与えることを目的に使用されるもの」であり、糖質系甘味料と非糖質系甘味料の二つに分類される。糖質系甘味料には、砂糖、でん粉由来の甘味料、その他の糖、糖アルコールが含まれる。非糖質系甘味料には、天然甘味料と高甘味度甘味料がある。

資料: 坂西裕介(2014)「近年における人工甘味料の動向」『砂糖類・でん粉情報』(2014年2月号) 注:本稿で取り扱う品目は赤字で示している。

 図1 甘味料の分類
 
2. でん粉由来の甘味料
2-1. ブドウ糖
液体や固体などさまざまな形態で販売され、つや出しや口当たり調整などの用途でも使用される。生産量は2022年に3032万4000トンに達し、今後も増加が見込まれている。中国が最大の生産国かつ消費国であり、世界全体の生産量の約30%を占める。
2-2. 結晶果糖
低温で甘みが強まり、アイスクリームや清涼飲料に使用される。生産量は2022年に61万2000トンに達し、今後も増加が予想される。米国が全体の約50%を占め、中国とトルコがそれぞれ約20%を占める。
2-3. 異性化糖
ブドウ糖と果糖が混合した液状の糖で、特にHFCS55は砂糖に比べて安価であるため、清涼飲料の代替品として広く使用されている。生産量は地域差が大きく、特に中国での消費が増加しているが、北米では減少傾向にある。
 
3. 糖アルコール
3-1. ソルビトール
ブドウ糖を原料として水素添加により得られる糖アルコールで、低カロリー甘味料として加工食品に使用される。虫歯の原因になりにくいという特徴があり、生産量は2022年に293万トンに達し、今後も増加が見込まれている。生産国は中国、インド、インドネシアに集中している。
3-2. マンニトール
ソルビトールの異性体であり、主に医薬品や菓子に使用されるが、水への溶解度が低いため、食品への応用範囲は限られている。生産量は2022年時点で22万トンであり、最も高価格かつ生産量が少ない品目である。生産国は中国、フランス、ドイツ、米国、ブラジルに限られる。
 
4. 高甘味度甘味料の需給動向
4-1. アスパルテーム
アスパラギン酸とフェニルアラニンという2種類のアミノ酸が結合した甘味料で、砂糖に近い柔らかい甘味を有する。主に飲料や菓子類で使用される。
4-2. アセスルファムカリウム
ジケテンとスルファミン酸を原料として合成された甘味料で、甘味の発現が早く、後味があまりない。他の甘味料との併用により、相乗的な甘味度の強化と甘味質の向上が得られる。
4-3. サッカリン
トルエンをスルフォン化し、さらにアミノ化、酸化して製造される甘味料である。主にチューインガムや漬物、佃煮、魚肉練り製品などで使用される。
4-4. シクラメート
サイクラミン酸とも呼ばれる甘味料である。中国やEU圏では使用が許可されているが、米国や日本では使用が禁止されている。
4-5. スクラロース
砂糖(ショ糖)の三つの水酸基を塩素原子に置換することにより生成された甘味料で、砂糖の600倍の甘味度を持つ。主に飲料や菓子類、菓子パン、冷菓などで使用される。
4-6. ステビア
南米原産のキク科の多年生草本であるステビアの乾燥葉中に含まれる甘味成分である。主に飲料や菓子、即席めん、漬物、佃煮などで使用される。
 
高甘味度甘味料の消費量は増加しており、特にスクラロースとアセスルファムカリウムの需要が急増している。2020年の消費量は、スクラロースが2012年比で2.5倍、アセスルファムカリウムが1.4倍に増加した。地域別では、アジアが最大の市場で、次いで北米、欧州が続く。アジアではシクラメートの販売量が全体の40%を占めるが、甘味度を考慮した精製糖換算ベースではサッカリンが27%と最も大きな割合を占めている。
 
 
<まとめ>
世界の甘味料市場では、砂糖以外の甘味料の需要が増加しています。でん粉由来の甘味料としては、ブドウ糖、結晶果糖、異性化糖が主要で、特に中国での消費が増えています。糖アルコールでは、ソルビトールとマンニトールが重要で、低カロリー甘味料としての需要が高まっています。高甘味度甘味料では、スクラロースとアセスルファムカリウムの消費が顕著に増加しており、アジアが最大の市場です。特にアジアではシクラメートの販売量が多いですが、精製糖換算ベースではサッカリンが最も大きな割合を占めています。
 
今後、異性化糖は北米での清涼飲料消費量減少により需要が減少する一方、中国では増加が見込まれますが、増加率は鈍化すると予測されています。また、世界で広がる砂糖税の多くは清涼飲料を対象としており、異性化糖にとって逆風となっています。高甘味度甘味料は健康志向の高まりを背景に消費量が増加しており、特にアジア市場が拡大しています。アフリカでも将来的な需要増加の可能性があり、砂糖以外の甘味料が砂糖需給に与える影響を注視する必要があります。
 
詳しくは<一次情報>からご確認ください。
 
 
 
<一次情報>
【農畜産業振興機構】世界の甘味料(砂糖以外)の需給動向
https://www.alic.go.jp/joho-s/joho07_003247.html
 
 

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