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『赤城颪』

『赤城颪』
内浦穂高

重厚なる強風が我が頭を打ちつける。
目眩と頭痛によろぶ我を嘲(あざけ)り、
白銀の衣を纏いしかの山は厳かにして佇まん。
あぁ、暴君のいかなる残酷な仕打ちぞ。

生命の業火を燃やす我が歩みも
非道な寒風の前に、ちぢこまり
我が体は巨大な串に貫通されたが如く
耐え難き痛みに襲われる。

小さき我に安堵の場所はなく、
小さな棲家に身を潜めたとて、
脅迫的な轟音が、
戸を打ちつつ、窓を打ちつつ
我が心を恐怖させる。

暴君の名は赤城颪。
悍ましき、
悍ましき冬の試練。

赤城颪よ、
お前は春夏秋への復讐者であるか。

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