見出し画像

『U』

物憂げに俯き
漂白色に微笑む少女よ。
久遠の源泉から一滴の青を導き
荒涼の地に雫の麗らかなる安らぎを広げる
泡沫の光よ。

裏恋を抱きながら僕は安らぎを撫ぜる。
輪郭は有耶無耶なまま
互いに裏切りを胸に宿したまま
マリンスノーに沈んでゆく。

暫時のプラトニックに全てを託して
初々しく。
愚かしく。
真っ白な深海に身を委ね
常闇の絶対零度に閉じこもる。

寂寞の孤独にヴィブラートが児玉して
美しい嘘に火が灯る。
それは柔らかく温かく
緊張と弛緩を繰り返し
憂いを焼き尽くし
麗らかな雫に蒸発をもたらす。

哀艶のみずみずしさによる皮膚の浄化が
我々を包み込み
虚無を白けさせ
内側から燃やし尽くす。

我は獣。
鬱蒼を彷徨う残虐なる獣。
月光に虚しく遠吠えを轟かせ
空咳に塗れて朽ちてゆく。

あぁ少女。
艶(あで)やかなる、うら若き少女よ。
貴女に僕は不必要だ。

さぁ入江を離れて、陸地で空を仰ぐが良い。
華やかなる人波に両足を立てて
両手を重ね
眠れぬ漣に別れを告げて
白浜に眩しすぎる笑みを魅せると良い。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集