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食生活を見直してみた 10

断食説明会から5日めの木曜日。断食翌日、復食開始日。
この日は一日、夫はおかゆだけを食べて過ごす。
私は正式に断食してるわけではないし、前にも一日だけの断食だったら適当にやったことがあるし、減食の時も昼食を食べながら適当にやっただけだ。だから復食も適当にやる。それに翌日は、飲み会があるのだ。それまでに食事を元に戻さないといけない。

とはいえ、断食翌日に、さすがにいきなり元の食事に戻したいとは思えなかった。
だから体の求めに応じて、朝は夫と同じく、おかゆだけを食べた。空になった胃に、おかゆがしみわたる感じがしたし、夫に至っては、おかゆだけであっても、食べ物を口にすることができることに、自然と感謝していた。
断食にはひとつわかりやすい欠点がある。食べ物が入らないと、体が冷えるのだ。今回もそう思ったし、以前自分で試した時にも思った。食べないと、寒くて困るのだ(夏に試したことがないので、夏のことまではわからないが)。
しかし温かいおかゆを食べると、わかりやすく体が温まってほっとする。

お昼になると、私はまた困る。例によってあまりお腹がすいていないのだ。抜いてもいいくらいだが、それはちょっと違うような気がする。かと言って、おかゆを出す店がすぐには思いつかない。
食生活を見直してみて、わかったことがある。
世の中の飲食店は、粗食にはあまり対応していない、ということだ。ごはんと味噌汁だけ出す、みたいな店では、家賃などを考えると採算が合わないのだろう。もしくは付加価値を付けて価格を上げるか。
実は前日、本断食の日に、夫と二人でヨガのレッスンを受けたあと、夫はマッサージしてもらっていた。そのあいだ、私はどこかで時間を潰そうと思ったのだが、適当なところが思いつかなかったのだ。
ジュースは飲んでいいことにしていたので、ジュースを出す店ならどこにでもあるだろう。しかし、その日は寒かった上、前述したように体温が下がるのである。氷の入ったジュースなんて飲みたくない。ココアなら置いている喫茶店はあるだろうし、体も温まるだろうが、一応はカフェインを抜いているし、砂糖抜きのココアはおいしくないだろう。番茶や白湯を出すような喫茶店も、探せばあるかもしれないが、あまり一般的ではない。
唯一、甘酒なら提供している店の心当たりがあるが、そこだとマダムが話しかけてくるはずだ。それがその店のいいところなのだが、本を読むにはやかましい。結局、マッサージのあいだ、どこにも行かずに教室の一角で本を読んで待った。

そして断食翌日のお昼。おかゆを食べたくても、白がゆだけを出すような店は、会社の近くには見つからなかった。コンビニに行けば、レトルトのおかゆを置いているだろうが、それを温めて会社で食べるのも気が進まない。
そこで、この日の昼食は、うどんにした。
うどんならどこにでもあるだろうと思うかもしれないが、私は蕎麦は好きだが、うどんはそんなに好きではない。そして行きつけの蕎麦屋は、あいにく木曜日が定休日だ。
以前一度だけ行ったことのある、うどんのおいしい店があるのだが、そこは臨時休業しがちだ。祈るような気持ちで向かってみると、この日は運良くやっていた。ここは出汁がおいしく、店の名を冠したうどんを頼むと、素うどんに近いものが出てくるのだ。普段だと物足りないかもしれないが、この日の私には打ってつけだった。
この日も寒かったが、温かいうどんは手足も体も温まり、なんとも言えずおいしかった。

夜は夫と一緒におかゆを食べるが、私はそれに加えて、少し残っていた重ね煮も温めて食べた。だから実質、この日は私も一日、回復食で過ごしたようなものだった。体がそれしか受け付けなかったのだ。
夫は例によって、昼はオンラインでヨガレッスンを受けたようだし、夜はズームミーティングに参加していた。
〈11に続く〉

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