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薬やサプリのウソ・ホント

今回は、サイエンスライターである鈴木祐氏の著書
「服用危険 飲むと寿命が縮む薬・サプリ」という本の内容を紹介します。

著者が十数年間の論文解析によって、以下の3つが分かったと
本書の中で語っています。

・真の健康に必要なことは、ほぼ科学的に分かっている
・有名な薬、サプリにも副作用は多い
・9割9分のサプリや健康食品には効果が認められていない

本書の中では、薬、サプリ、健康食品、健康法について、それぞれ詳細に
説明されているのですが、今回はサプリについて重点的に
説明していこうと思います。

現役の医師も他の書籍で言っていますが、私たちが飲んでいる
薬の殆どには病気を治療する効果が無く、一時的に苦痛や不快症状を
抑えているだけです。
ましてやサプリは健康食品という分類ですから、臨床試験は不要です。
そして、その効果はサプリを作ったメーカーが
勝手に言っているだけなのです。



2019年8月に国民生活センターが発表した
「錠剤・カプセル状の健康食品の品質等に関する実態調査」では、
サプリメントが胃の中できちんと溶けているか試験したところ、
100銘柄のうち42銘柄が、定められた規定時間内に溶けなかったことが
報告されています。

今回の内容を通して、何も知らない私たちからお金を巻き上げる
メーカー(製薬会社)の餌食になるのは今日で終わりにしてください。





本当の害が分かっていない

薬やサプリに関する誤解の中で最も多いのは、医者が薬の副作用について
よく理解していると考えている点です。
それは全くの誤解ですから、実際はどんなに有能な医者でも、その薬が
どこまで中高年や高齢者に対して安全なのか?正しく理解出来ていません。
なぜなら、そもそも薬が中高年世代の人に安全なのものか調べた試験が
非常に少ないからです。

健康に関して騙されやすいのは、体調不良になりやすい中高年ですから、
手に入れやすい薬やサプリを試したくなるのは自然なことです。
しかし、そんな中高年を対象とした試験は少なく、2011年にアメリカの
食品医薬品局の研究チームが、過去数十年で行われた医薬品テストを
徹底的に調べたうえで、以下のような見解を発表しています。

「多くの人は年を取るほど体調不良を訴え、医薬品を使う量が多くなる」
「しかし、医薬品の安全テストでは、しばしば中高年(高齢者)が
 調査の対象として除外されている」
「若者を対象としたテストの結果を中高年に当てはめても、
 正しい危険性は判断できない」
「さらに、高齢者の多くは薬を飲む回数も増えるため、若者には安全だった
 使用量が通用しない可能性もある」

つまり研究チームは、中高年が薬を使う場合には、どの程度の
害があるのか不明のまま薬が使用されていると警告しているのです。
なぜ、年齢が上の人を除外しているのかというと、医薬品の
安全テストにおいて試験中のトラブルを減らすためということですが、
その結果が薬を必要とする割合の多い高齢者への危険が
はっきりしないということになってしまいます。

さらに、これがサプリや健康食品の場合は事態がより酷く、
サプリや健康食品には法律上の定義が無く、医薬品ほど厳密なテストは
行われていないので、パッケージに書いてある通りの効果があるのか?
といったレベルではなく、そもそもパッケージ通りの成分が
入っていないというケースが珍しくありません。

何の根拠もない商品を「痛みが消える」と言ったり、疲れが取れるとして
売りさばく業者も多いため、注意が必要です。
サプリにせよ薬にせよ、中高年が長期的に摂取し続けた害については、
はっきりしたことが言える人は一人もいないので、
そのことは覚えておきましょう。





薬やサプリに思っているほどの効果はない

実際のところ、薬やサプリにどれほどの実力があるか?
皆さんは知っていますか。
薬の効果に関しては、信頼がおける判断材料が存在し、
それがNNT(治療必要数)です。

NNTについて簡単に言えば、一人が病気にならないためには
何人が治療を受ければいいのか示したものです。
具体的に言うと、治療Aを行ったときに10%の有病率が5%に
減少したとします、一方で、治療Bを行ったときに50%の有病率が
25%に減少したとします。
これらの病気の減少率はいずれも50%ですが、絶対的な値は
同じではありません。

そこで、NNTという指標で考えます。
NNTは1/((介入前有病者数/全対象者数)-
(介入後有病者数/全対象者数))で求めます。
前述の例では、それぞれの実験で100人を対象としていたとすれば、
治療AではNNT=1/(10人/100人-5人/100人)=20、
治療BではNNT=1/(50人/100人-25人/100人)=4となります。

治療Aでは20人に治療すれば1人に効果が現れるのに対し、
治療Bでは4人に治療すれば1人に効果が現れると言えるので、
治療Bの方が圧倒的に高い効果を得たことになります。



この指標を実際に販売されている薬に当てはめて説明します。
心臓の働きを抑えて高血圧を改善するβブロッカーという定番の薬が
ありますが、NNTでβブロッカーが心臓発作に効くか調べてみると、
衝撃の事実が明らかになりました。

なんとβブロッカーを飲んでも誰も心臓発作を免れることは出来ず、
それどころか91人に1人は心臓の機能が低下してしまうという
結果が出たので、これなら全く飲まない方がまだマシです。

もう一つ、スタチンの数字も見ておきましょう。
これは血液中のコレステロールを下げる薬で、心疾患のリスクを
下げるためによく使われている薬です。
しかし、この薬の効果をNNTで調べてみると、104人に1人は
心臓発作にならずに済むものの、心臓病のリスクを
減らせるわけではない。
そして、50人に1人は糖尿病が進行するという結果が出ました。


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