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名言で勝手にエッセイ 【17】

※ 日付が紛らわしいんですが、2024年11月17日、若干の加除訂正を行いました。

英語×音楽エッセイばかりが進んでしまったので、名言エッセイの新作を出したいが、その前に過去作に手入れを、なんて言っていたら1年巡ってしまっていました🥶

反省の弁


今回の名言


ふと、舶来の名言ばかりも何だな、と思いまして。

今回は、京セラやKDDIの創設をし、傾いたナショナルフラッグJALを立て直した名経営者、稲盛和夫氏のお言葉を借りてみました。

原文が日本語ですので、今回は英訳編になりますね(汗)。
和訳より難度高い…。


原文

動機善なりや、私心なかりしか。

稲盛和夫

ご参考に👇



試訳、という名の私訳

敲き台として、DeepLに訊いてみたら

とても端的。
だけど、若干の難点にも気づいた気が。

Is the motive good or unselfish?

人工知能だから著作権ないけど一応、by DeepL

うーむ。
すっきりしている。
そしてわかりやすい。

ただ、稲盛和夫氏は、誰に属するか不明な、無色透明な動機というもの(the motive)を、「それは善いものか、私心がないか」と問うたのではないか?

つまり、君の内奥にある動機、という風に焦点を合わせて、一人ひとりに問いかけておられたんじゃないのかなあと。

あと、上とは別論で、「形式論理学的には正解だけど、日本人の人情には訴えかけない」という厄介な話法が一つあるよなあと。

その話法は項目を分けて、後述するとして、自分の訳はこうです。

Is your motive good and fair ?

by 自分

微細な差異しか感じられなかったらすいません😅


訳出にあたり考えたこと

① the ➡ your とした

理由の過半は既述ですが、承前で言うと、無色透明で万人に当てはまる動機という名詞ではないはずだと。

つまり、君自身の動機をセルフチェックしろ、という助言(のはず)ですから、your にしてみました。

「もうJALは無理だ」といわれたところからの引き受けをしたのは公益性を考えたからなんでしょうね。

人々の(公共性の意)空の足が激減するぞ、それでも良いのか…。
いや、ここに自分の経営能力が役立つかもしれんぞ、という感じで。

そこに私利私欲はないわけです。いや、想像に過ぎませんが…。😅


② 「かつ」か、「または」か (and か、orか)


人工知能は、good と unselfish を or で結んでいます。

これは、一見、「二択に見える」と言って、噛みつく人が居うるのです。

原文は、善かつ無私であれと諭しているだろうと。and だろう?と。

ところが、形式論理性としては実は正しい(汗)。

例えば、学校の先生が、課題を出すシーンを想像してみてほしいのです。

「今回の課題は、試験を受けるか、レポート提出をするか、どっちかです。」

この場合、なるほど日本語の口語では二択であるし、その我々が英訳しても or がしっくりくるだろうと。

ところが、とても優秀な学生が居て、試験も受けて、レポート提出もこなしたとすると、それは誤りだろうか、というと先生は大喜びするでしょう。

口語の感覚では一見すると偽なんだけど、これは真なのです。😅

スッキリしない人のために追加でなんとか言語化してみると、「どっちか1つで基準を満たします」という合格基準が設定されたときに、「どっちも基準を満たしてしまった」から不合格というのは奇妙だ、という話。人の倍、基準点を取っているわけですから…。

or のほうが、and よりも射程が広い、とでもいうか。
後者は、揃ったときしか認めないわけでしょ。

なので、人工知能による接続詞の訳語は、形式論理として正解なのだが、日本人の人情に合わせるなら、and で敢えて間違う(いや、射程を狭くする?)ってのも、伝えるために必要なんじゃないかなあと。

いや、僕が縷々説明してきたようなことをすっ飛ばして一言で伝える能力がある名コピーライターさんが、「行間に全て詰まったキャッチコピー」的な名訳を書けばいいのかもしれませんが。


③ unselfish ➡ fair とした


あくまでもノンネイティブとして受ける語感なんですが(汗)、 unselfish は単にいわゆる自己中心的という状態の、否定句に思えるのです。

なるほど、「私心なかりしか」と問う対象の心は、無私であるだろうし、自己中心的ではないでしょう。だけど、それだと欲を前面に出さないで争わないだけにとどまる気がするのです。un-selfish の文字通り。

稲盛和夫氏の言いたいことは、いわゆる公正無私という四文字熟語で示されるような、クリーンさも求めていると思うのですよ。

それで敢えて、英語圏で好まれる方の(?)fair のほうを採用しました。

フェアプレーとか、フェアトレードとか、カタカナ英語にもなっているくらい、英語圏の人たちは公平とか公正が好きです。(実際はこれまでの搾取の反省から来る是正だったりしますが…😅)

それで、仮に英訳をするなら、私心なかりしか≒君の心はフェアなのか?としたほうが国際的に通じる気がしまして。


締めくくりに


伝えやすくするため、人工知能に抗うため(?)、意訳に際し、若干の加工や工夫をしてみました。

いや、相手は秒速の即答ですので、明らかに速度も文法も人工知能のほうが速く正確に思えてしまうのですが、敢えてですね…。

ただ、その「敢えての人為」も、行き過ぎれば、戦時下のプロパガンダみたいに、物凄く伝わる破壊力があるけど空疎、ということにもなりかねないので、やはり中庸を要するのだろうけれど。

いや、善に関する作文でこんなこと書いたら、故人に怒られちゃうかな…。

伝えるための噓、嘘も方便…。
果たしてそうか?

動機善なりや、私心なかりしか…。


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