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Bounty Dog【清稜風月】

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遠く、でもいずれ来るだろうこの世界の未来を先に走る、とある別の世界。人間達が覇権を握るその世界は、人間以外の全ての存在が滅びようとしていた。事態を重くみた人間は、『絶滅危惧種』達…
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2023年10月の記事一覧

Bounty Dog 【清稜風月】212-214

212

 コノハは保護官で、オタクだった。オタクは驚愕的に”しつこい”。繋がらない電話を100回、上司と猟師とマイダーリンに其々掛け続けていた。合計300回である。50周目のループ辺りから一度挫けそうになったが、彼女は決して諦めなかった。
 明日から行うの”明日”が己には無い事も、努力を続ける要因として非常に大きかった。全身全霊で”しつこいパワー”を出す。メンヘラも疲れて止める電話回数を突破する

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Bounty Dog 【清稜風月】210-211

210

 運命は、どんな存在よりもエゴイストである。加えて非常に頑固者でもあった。選択によって特定の存在が持っている”鍵”の強度を変える事は出来ても、こうすると運命が決めてしまっていれば、全体的な結末は変わらない。

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Bounty Dog 【清稜風月】208-209

208

 何をするのも先ず頭脳を使って行うべきだと、其の人間は座右の銘のように思って生きている。己は虫の亜人に名を尋ねた『鍵』の形状や色や何れだけ使ったかを他の存在に語れる程には未だ使いこなしていない齢だが、鍵そのモノよりも其の人間は、鍵が”折れる”事に強い好奇心も抱きながら生きていた。
 日雨が持っている知能は、安本丹だと幼馴染の人間達に良く呆れられる程だった。低過ぎないが決して高くもない知能

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Bounty Dog 【清稜風月】205-207

205

 ヒュウラは人知れず他の生き物知らずに人間の道具を増やしていた。最強道具と万能道具は無いが、準最強道具は今回も手に入れている。
 新たな道具達は柄杓の窪みの中と、腰の両ポケットに収まっていた。櫻國酒と革の突っかけ靴半足が柄杓の窪みに、木の札と石十数個はポケットに収まっているが、周囲に居る人間は誰1人として、亜人が窃盗を繰り返しながら装備を整えている事に勘付いていなかった。
 銭湯で人間に

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Bounty Dog 【清稜風月】202-204

202

 コノハ・スーヴェリア・E・サクラダは闘っていた。激しい闘いに身を投じている。敵は濃い霧の中に隠れていて見えなかった。だが複数であると気配で勘付く。彼女にとっては非常に”有利”な戦況だった。
 敵の数が多ければ多い程、コノハは強くなる。敵は人のような影で、霧に包まれてウジャウジャ大量に影だけが見えていた。両手に白銀のオートマチック拳銃を握り締めている亜人専門ベテラン保護官は、短い口笛を吹

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Bounty Dog 【清稜風月】200-201

200

 この人間の道具の名前がヒシャクだと教えてくれたのは、ヒメという人間の女だった。この人間の女の手をヒシャクで叩くと、ポンポンという音が出た。
 ロウこと槭樹の手もヒシャクで叩いてみた。ヒメと同じポンポンという音が出た。睦月の手は叩けなかったが、十中八九でポンポンという同じ音が出ただろう。叩く物じゃ無い水を汲む物だとヒメに腹を握り拳でポンポン叩かれながら叱られたが、其れは人間がする使い方だ

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Bounty Dog 【清稜風月】198-199

198

 シルフィ・コルクラートは此の日以降、”其れ”が伝えてきた死の予言を忘れる事が出来なくなった。
 睦月・スミヨシは此の日、己の失態のせいで2つの大きなモノを喪失すると未だ知らなかった。
 ヒュウラは此の日に、手元にエードの物は無いが1枚の銀貨を裏から表にひっくり返した。彼という銀貨には裏面に狼、表面に人間の絵が描いている。
 コノハ・スーヴェリア・E・サクラダは此の日、体重を一気に4キロ

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Bounty Dog 【清稜風月】195-197

195

 死の恐怖は浪漫的で云々かんぬんと”其れ”がイヌナキ城の中庭で踊りながら呟いて人間達を翻弄させていた同時刻、コノハは非常にNOな状態になっていた。
 また日雨の作った料理が謎の創作料理だったのである。朝食として出された今度の料理は見た目は至極YESだが、味は一口食べただけで思い付く限りのあらゆる神に救いを求めるレベルでNOだった。
 世界中の人間達に崇められている世界一のロングセラーでベ

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Bounty Dog 【清稜風月】193-194

193

 巳の刻(9:00)。ヒュウラはイヌナキ城の本丸の最上階にある客間に敷かれた和式の布団で寝かされていた。槭樹の実子である柳・イヌナキが生前使っていた籠目(かごめ)柄の燻んだ緑色をした掛け布団が、亜人の首から下に乗せられている。
 人間のように布団に入って寝ている狼の亜人の頭の上に、真水と毬藻が1匹入った硝子の器が置かれていた。あの後、”其れ”が喪失したと同時にヒュウラが倒れた。槭樹がヒュ

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Bounty Dog 【清稜風月】192

192

 辰の刻(8:00)に”其れ”は人間達に謎々をした。謎々の問題は、下記である。
「此の世に初めの命が生まれた時に共に生まれ、古き時から今も存在しており、何億年経っても全く形が変わらず、人を含めたどの生き物達も形を決して変える事が出来ず、全ての生き物が、無機物も星も此の世にある全ての存在が、確立した為来りに沿いながら必ず潜る洞窟がある。その洞窟を自ら潜りたがる者が人には大勢居る。潜る事を永

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Bounty Dog 【清稜風月】191

191

 イヌナキ城という、此の城に民が何時の間にか名付けた呼称をどうすれば古の武将が名付けた真の名に戻す事が出来るのか、本気で悩んでいた時期があった。「負け犬の遠吠えの如き響きである故に?」と揶揄ってきてから「犬は、いと強う動物。私は此の名を誇りに想うとります」と力強い口調で説得してきたのは、家内の凪・イヌナキだった。
 生き物を2つも腹の中から産み出しても至極元気に生きていたのに、鬼が起こし

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Bounty Dog 【清稜風月】189-190

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 殆どの人間に”悍ましい化け物”と称される、我々の世界にも妄想と創作御伽噺に居るが此の世界には”生き物”として明瞭に居る摩訶不思議な存在の1体が、清稜の山から人間達の町に降り立った。疾風のように動いて、人間が作った町というモノの中に並んで建っている『箱』達の屋根を走り伝っては跳ね飛んでいく。
 ”女”という生き物を体の中から吐き出すように産んでも死なない化け物仲間の1つが個人的な買い物を

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Bounty Dog 【清稜風月】187-188

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 人間の”郷”は、人間だけが関わってどのような問題が生じても人間だけで解決させるモノである。中東の紛争地帯では人間では無い”彼ら”も関わらせてしまったが、此の東の島国では亜人を人間の郷に今後は一切関わらせないと彼女達は決めていた。
 己達が保護を専任している生き物であるからこそ、彼ら亜人種を他の生き物達と同様に脅威の存在である『人間』が行うロクでも無いイザコザに巻き込んではいけない。国際

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