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Bounty Dog【アグダード戦争】

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遠く、でもいずれ来るだろうこの世界の未来を先に走る、とある別の世界。人間達が覇権を握るその世界は、人間以外の全ての存在が滅びようとしていた。事態を重くみた人間は、『絶滅危惧種』達…
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#SF小説

Bounty Dog 【アグダード戦争】144-145

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 “ガイ”は見事なステップを踏みながらパレード会場で踊り出した。スピンとドリフトを猛烈な回数で細やかに行う。神がかり的なテクニックでトラックを完全に生き物に変えたシルフィ・コルクラートの運転技術によって、地面に落ちたミサイルの衝撃波を受けてもちょっと揺れる程度でしか無い軍用トラックは、抜群に屈強な筋肉ムキムキマッチョの人間か亜人の男を彷彿とさせるモノにしか見えなくなった。
 鼻血が出る程

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Bounty Dog 【アグダード戦争】142-143

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 史上最高に屈強で良い男であるシルフィの“ガイ”が、クラクションという鼻歌を歌った。軽快なクラクションのメロディと鋼で出来たホイールという筋肉で回し続ける、爆弾を幾ら受けても全く穴が空かない強力な特殊加工が施されたタイヤの動きにギャップがあり過ぎる。
 軍用トラック・”ガイ”は、ファヴィヴァバ軍が左右から猛攻撃してくるだろう、一本道で始まるデスマーチパレードに喜んで参加した。”ガイ”が出

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Bounty Dog 【アグダード戦争】140-141

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 ミト・ラグナルは上司と未だ認めていない年上女性保護官に、素直に従った。準備の為に荷台の後方を向きながらミサイルの位置を調整していると、気配を感じて背後に振り向く。ヒュウラが荷台に初めて振り返ってきていた。シルフィが肩を掴んで無理矢理振り向かせていた。
 何時もしている仏頂面で此方を見てきた時、少女の心に怒りが焚き付けられた。焚き付けられたのは2回目だ。1度目は数ヶ月前。北西大陸の川でし

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Bounty Dog 【アグダード戦争】138

138

 普段は”人間専門の清掃員”をしているアグダード人のバッター選手は、世界の野球ルールなんて知ったこっちゃ無かった。先ず打ち返そうとしているミサイルはボールじゃ無い。起爆する部分に何かぶつかれば、即座に爆発して粉砕死する凶悪な兵器である。
 其れでもピッチャー兼ファヴィヴァバ軍の兵士が監視塔から見つけた軍曹に向かって発射したヘルファイア1発目に対して、彼はその無茶苦茶な命懸けの野球プレイを

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Bounty Dog 【アグダード戦争】111-113

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「テープを止めろ」とカスタバラクは命令してこなくなった。代わりにヒュウラからテープレコーダーを奪おうとしてくる。これ以上自分の持っている人間の道具を奪われたくないヒュウラは、ポケットを片手で抑えて死守しながら、もう片手をカスタバラクの胸ポケットから2丁目の拳銃を奪おうと伸ばした。
 お互いがお互いの切り札を奪おうとする。足で相手の足を引っ掛けてバランスを崩させた隙を突いて、ヒュウラは小さ

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Bounty Dog 【アグダード戦争】70

70

 モグラの亜人コルドウは、最上階で仲間のモグラ達を延々と探していた。群れの仲間のサニリーとパッチョムの名前を繰り返し繰り返し呼ぶが、一度も返事が来ない。
 一つ一つ部屋に入っては探して出ていくが、やはり仲間の姿は見つからない。困り果てたコルドウは、暗闇に覆われた通路で座り込んで独り言を呟いた。
「休憩したいでござんす。お豆また食べたいでやんすう。あのお犬さんに、貰ってくるでそうろう。
 …

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Bounty Dog 【アグダード戦争】56-58

56

 『箱』の内部は更に不気味だった。照明が異常に明るく、まるでコルドウを侵入させないようにしているようだった。
 コルドウが入った大きな壺の口にヒュウラの赤い腰布が被さっており、光が壺の中に入らないようにされている。コルドウは、自分達の種は障害物を擦り抜ける超音波が出せて、土の中や囲いがあっても、少しぼんやりするが地上や囲いの外の空間を見る事が出来ると、壺を抱えながら歩くヒュウラに能力を教え

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Bounty Dog 【アグダード戦争】21-22

1つ失うと1つ以上新しいモノが手に入る。何であっても、損でも得でも。

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「そうか、お前はヒュウラっていうのか!良い名前だな!お前にピッタリだ!!」
 此の星で生きているあらゆる絶滅危惧種を保護する事を目的に活動している国際組織『世界生物保護連合』3班・亜人課の現場部隊長シルフィ・コルクラートが人間の保護官1人と亜人の特別保護官2体を連れて実行している、南西大陸中東部『紛争地帯アグダード』で

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Bounty Dog 【アグダード戦争】19-20

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 ミトはアグダード地帯に来てから、今現在が最も混乱していた。ただし今現在メンタルに受けているショックは破壊的なモノでは無い。希望だった。
 壊れている筈のヒュウラが、己を”また”助けてくれた。片腕に己、もう片腕にシルフィを抱えて、脅威から”正常に”逃げてくれている。地雷を求めていた死にたがりが、死を与えようとしてくるモノに背を向けて逃げている。
(彼はパラシュートが焼けた時も助けてくれた。

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Bounty Dog 【アグダード戦争】 3-5

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 紛争地帯アグダードで行う保護任務は、シルフィの独断だった。絶滅種と扱われている鼠の亜人の救命に手一杯になっている上層部の隙を突いて、組織を信用していない彼女が己のエゴで実行する極秘任務だった。
 亜人課現場部隊の支部から丘を上った先にある広場を通って辿り着いた輸送場には、部隊が普段使っている大型の輸送機の隣に、何時の間にか見知らぬ小さな飛行機が停まっていた。
 強引に座席を取り払って作られ

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