Bounty Dog 【アグダード戦争】70
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モグラの亜人コルドウは、最上階で仲間のモグラ達を延々と探していた。群れの仲間のサニリーとパッチョムの名前を繰り返し繰り返し呼ぶが、一度も返事が来ない。
一つ一つ部屋に入っては探して出ていくが、やはり仲間の姿は見つからない。困り果てたコルドウは、暗闇に覆われた通路で座り込んで独り言を呟いた。
「休憩したいでござんす。お豆また食べたいでやんすう。あのお犬さんに、貰ってくるでそうろう。
……いや!あんにゃろは、あっしを放置ばっかりする、とんでもクレーマーでやんす!!腹立つから買い物カゴにお高い服を捩じ込んでやったでやんす!!次会ったら混雑するレジに押し込んで、お高いのも買うしか無いようにしちゃるでそうろう!!」
立腹する服屋とセール服が大好きなモグラの亜人は、休憩を諦めて仲間の捜索を再開した。光が一切無い闇の空間を何の問題も無く走り回っていると、南のエリアに異様な扉を発見した。
視力の代わりになる超音波を出して、扉の構造を知る。取っ手の付いていない扉は、金属製で、細い溝が掘られていた。カードキーという物を知らないモグラは、自身のドリルのように鋭い爪で、扉を勢い良く引っ掻いた。扉は深く削れるが、開きはしない。モグラは更に3回強く引っ掻いた。
鋼鉄の爪に斬られて、扉が破壊される。重厚な扉を4枚の金属の板に変えた凶悪極まりない攻撃力を持つ亜人は、塞ぐ物を失った部屋の中に侵入して、直ぐに見つけた。
見つけたのは、コルドウが良く知っているモノだった。
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