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Bounty Dog【Science.Not,Magic】上

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遠く、でもいずれ来るだろうこの世界の未来を先に走る、とある別の世界。人間達が覇権を握るその世界は、人間以外の全ての存在が滅びようとしていた。事態を重くみた人間は、『絶滅危惧種』達…
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Bounty Dog【Science.Not,Magic】109-110

109

 蔓延した常識に”パグェハダ”をしようと、彼も動いていた。思い入れがあった、創業時は間借りで最終的に全体を手に入れて所有品にしていた小さなビルが唐突に破壊されてから心臓と精神の具合が悪いが、何としてでも己が動かねばならないと強く思っていた。
 先ずは虎に会いたかった。次に会いたいのは、ビル内に潜り込んでいると聞いた2人の子供達。子供達と行方不明の虎の子に因果関係は無いと思っているが、大人

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Bounty Dog【Science.Not,Magic】107-108

107

 A:あの、あの………ええ、ええ、ええ。その。
 Q:如何しました?
 A:あ、すいません。失礼だと重々承知の上で聞きます。気になっていたので。
 Q:はい、どうぞ。
 A:”お散歩”中に、どうしてあんな恐ろしい事が起こっていたと気付いたのですか?シルフィさん。
 Q(シルフィ):ああ。其れはですねーー。

 初めに勘付いたのはリングだった。自称スティーヴ・マグナハートと同じ形状の”代物

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Bounty Dog【Science.Not,Magic】105-106

105

 バグフィリィは、己がモデルになった”キ”の会社のマスコットに起こされた。ガルルル、ガルルル唸り声を上げてから、アラームに併せて大きな咆哮を上げた子虎のバグの声で、虎の亜人が飛び起きる。
 ガルルル、ガルルル唸りながら、眠気眼を擦り擦り移動して、社長室のデスクの上に乗っている通信機の画面に住んでいる”友達”に挨拶した。虎のバグはピョンピョン跳ねて、動作で挨拶を返す。ガルルル、ガルルル唸り

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Bounty Dog【Science.Not,Magic】103-104

103

 A:そんな恐ろしい事が……ああ、何て恐ろしい。ゲホゲホッゲホッ。
 Q:……。
 A:あの子は、そんな事を絶対にしません!ヤンチャですけど。ええ、ええ、ええ。玩具を直ぐに齧っちゃいますけど。
 Q:…………。
 A:お肉を骨ごと食べちゃいますけど。

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Bounty Dog【Science.Not,Magic】101-102

101

 半島時間22:21。第6の殺人事件が起きる。場所はホテルの客室だった。被害者は男性で、北東大陸からゲストとして来ていた。

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Bounty Dog【Science.Not,Magic】99-100

99

 半島時間17:58。2件目の殺人事件が起きる。同じ日の18:50。3件目の殺人事件が発生。その2時間後に、4人目の犠牲者が飛行場のトイレで発見された。
 いずれも惨殺で、四肢の何れかが欠損した形で殺されていた。死因は全員、襲撃時に受けた傷によるショックでの即死。半島の警察は獣もしくは人間による連続殺人事件と推定して捜査をしていた。
 犠牲者の国籍及び人種・年齢・性別はバラバラであり、無差

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Bounty Dog【Science.Not,Magic】94-96

94

 Q2:カニに似てると、ずっと思いませんでしたか?
 A:え?何がですか?
 Q2:失礼。何でもありま……いや、やっぱり聞こう。カニですよね?カニ。あなたも絶対、アイツは頭の形がカニに似てるとーー。
 Q:御免なさい、迷惑ですよね。ちょっと。貴方は其れを言いにわざわざ面会中に横槍を入れに来たの?さっさと席を外しなさい。早く!…………。(長い溜息)
 A:…………。

「じゃんじゃん焼くぞ!

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Bounty Dog【Science.Not,Magic】92-93

92

 彼女にとって、お気に入りの紅茶用茶器は”マドモアゼル”だった。一筋縄にはいかない気高く美しい完璧な女に与えられし勲章である”マドモアゼル”は、強靭な魂を持つ女だが、その身は気高く美しい故に、至極繊細でもある。
 お気に入りの茶器が、振動を受けてカチャカチャ音を立てた。シルフィ・コルクラートは至極丁重に”マドモアゼル”からティースプーンを離し、芳しい香りを放つ、年に一度の贅沢でもあるダージ

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Bounty Dog【Science.Not,Magic】90-91

90

 Q:虎の呪いに掛かっていたという件は?
 A:ええ、ええ。其れも間違ってはいません。バグフィリィと片時も離れずにずっと暮らしていましたから。……だから今はとても新鮮な気持ちです。可笑しいですよね。あの子と私は、離れ離れになっているというのに。
 Q:(沈黙)
 A:大丈夫です。後悔は、していません…………。

 彼女も呪いに掛かっていた。狼に依存し過ぎる呪いである。呪いの元になっている狼

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Bounty Dog【Science.Not,Magic】88-89

88

(今日はキネンビだ、ヒュウラ。お前を保護する存在が全て揃う)

 今日は記念日だった。己の邪魔である存在が全て喪失する。

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Bounty Dog【Science.Not,Magic】87

87

 『霊』は、死んだ元生き物の魂が此の世で徘徊している『幽霊』では無く、此の星の至る所から湧き出て漂っている”命達の息吹”である。生き物達の生涯を好き勝手に弄り回す『運命』という偶像の無い強大な力でも無く、星と宇宙のあらゆる物質を構成する最小物質『原子』でも無い。
 第六感で感知し、通常は鍛錬を積み重ねて操れるようになる其の摩訶不思議な存在を、此の人間は生まれ付き察知して操れた。”心眼”と腐

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Bounty Dog【Science.Not,Magic】85-86

85

 ヒュウラも勘付いた。腹の虫が鳴っているようなルルルル、ルルルルという低い音が、天井の上から聞こえてくる。
 『パグェハダ』という謎の言葉を連呼するラジオから意識を外して、ヒュウラは紅志とセグルメントを先に行かせた。立ち止まって上を見る亜人の心の中で銀貨が弾ける。クルクル回って見えない床の上に落ちた見えないコインは、狼の面を表に向けて倒れた。
 動き出す。セグルメントが勘付いてヒュウラを呼

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Bounty Dog【Science.Not,Magic】83-84

83

 ーー本当に、私が彼を危険な状態にしてしまったなんて。ーー

 虎は”キ”が文書で指示してきた通り、人間達の目を避けて港から会社まで移動してきた。テムラ社を見上げて、縞模様付きの尻尾を左右に振る。ガルルル、ガルルル唸ってから、壁に近付いて大きくジャンプした。
 猫の亜人と同じ能力を持つ虎の亜人は足首の関節を捻って、足裏をビルの壁に付けた状態で垂直に登り始めた。スイスイ壁を登ってから、開いて

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