Bounty Dog【Science.Not,Magic】109-110
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蔓延した常識に”パグェハダ”をしようと、彼も動いていた。思い入れがあった、創業時は間借りで最終的に全体を手に入れて所有品にしていた小さなビルが唐突に破壊されてから心臓と精神の具合が悪いが、何としてでも己が動かねばならないと強く思っていた。
先ずは虎に会いたかった。次に会いたいのは、ビル内に潜り込んでいると聞いた2人の子供達。子供達と行方不明の虎の子に因果関係は無いと思っているが、大人しいといえども虎は”野生の虎”である。責任を重く感じていた。虎にとって己は親と全く違えども、あのヤンチャな虎の子を己は心から愛している。
社長室でバグフィリィが暴れた跡を見付けて、バグフィリィが会社に居ると知るなり彼は深く安堵した。社員達に連絡して一緒に探して貰おうかと考えたが、己だけで捜索すると決断する。
社員の何れかの家族らしき、見知らぬが心配である子供達の保護を代わりに依頼しておいた。彼は少し弱った体で虎が暴れた跡を片付けつつ、虎がまた社長室にやってきた時に間違えないように、本物の葡萄ジュースをテーブルに分かりやすく置いておく。
掃除をテキパキとこなしながら、彼はバグフィリィと子供達が出会わないように願った。
足元が緩く温まったホットプレートの上に乗っているように、妙に熱くなっている気がする。
シルフィ:貴方は其の時、何処に?
A:会社です。探し物をしていました。
シルフィ:其の後も、ずっとテムラ社に?
A:ええ、ええ、ええ。はい。
シルフィ:本当に、事件を全く御存じない?
A:……いいえ。全てではありません。
その生き物には前科があった。9ヶ月前に約14日間で少なくとも100万以上の人間を、3つの大陸の国々と1つの島国、1つの丘と海がある国で殺しまくった、連続大量殺人テロリスト。最初の犠牲者は北東大陸の商人、最後の犠牲者も北東大陸人で、国際保護組織の指揮官だった。途中に東の島国で帝の一族を殺し、中央大陸で母子を殺し、南西大陸東部で街に住んでいた人間の8割5分を殺した。その生き物は一見無邪気な子供に見える。外見は3歳程の幼児で、殺戮の動機は人間への復讐だった。
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