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草露 文(あや)
2023年7月16日 20:34
初恋は忘れられないものである。 高卒で清掃員として働き、一人で黙々と作業をしていた時のことである。その日は、初夏の清々しい空気が渡り、綺麗な青空が広がっていたのを記憶している。空き缶の回収をしていると、突然、声を掛けられたのだ。その人が言うには、自分も清掃員としてアルバイトをしているため、もし相談事があれば聞くとのことであった。最初はからかわれているだけだと考え、その人が去った後、会話で中断し
2023年1月24日 23:58
言えない気持ちを温かい飲み物に溶かし、喉の奥、腹の底へと収める。珈琲のような黒色をして、しかし珈琲とは違うその飲み物。飲まざるをえない。一思いに、一気に。温かさだけが頼りだ。飲み終えれば気が楽になるか?飲み干した後はこの世を愛する気持ちがカップの底に残される。それは黒色であった。 電子の大海に飼い慣らされようとする世で、心だけが放し飼いされているようで、羽毛布団の厚さ以上の、湿気を多く含んだ