ここにしかないアイス
とてもひさしぶりに、横浜ベイサイドアウトレットに行った。
正確には、ついて行った。
ふだんなら「んー、わたしはいいや」と言うところを、なんとなく。
海を臨むこのアウトレットは、ルールを守ればペット同伴可である。
大人や小さい人がウキウキと服や靴を選ぶあいだ、「衣」にさほど関心がないわたしは、
・コーギーのふわふわのおしり
・ミニチュアダックスの短い足
・トイプーのぷるぷる震えるしっぽ
・サモエドのふさふさの白い毛
を愛でていた。
アウトレットどころか、もふもふの無償支給。
そして、VANILLA BEANSがカフェ・レストランゾーンに入っているのを見逃さなかった。
「食」には関心しかない。
VANILLA BEANSは、横浜発のクラフトチョコレート専門店である。
看板商品は、クッキーで分厚い生チョコレートをはさんだ「ショーコラ」。
まだ創業約25年なのと、チョコレートの持ち運びに気をつかうからか、横浜みやげとしてはシウマイの崎陽軒ほど知名度が高くない。
現時点の実店舗は、東京駅と、神奈川県東部に数店舗のみだ。
せっかくだから買っていこう、アウトレット関係ないけど、と選んでいると、小さい人が「アイス…アイス…」「アイスぅ~」とささやく。
カフェも併設されているため、カウンターのケースには複数種のアイスクリームがならんでいた。
10月下旬の17時半、アイスを食べるにはいささか中途半端な気もした。
外はとっぷり日が暮れている。大人、正直もう肉とか米とか食べたい。
しかし、小さい人の強い意志に誘われ、わたしもアイスを食べることにした。
常時8種類くらいある中から、好きなフレーバーを2種類選べる。
小さい人はシンプルにミルクチョコとバニラホワイト。
いっぽうわたしは、直感でえらんだら「10回くらいコピーして画素が粗くなったガチャピンムック」カラーになった。
はたまた、じわりじわりと近づいてくるクリスマスカラー。
潜在意識に、すでに繁忙期(クリスマスやバレンタイン)がいるらしい。大人ってやつは。
ムック色はミルクベリー、ガチャピン色は抹茶ホワイトである。
チョコレート屋なので、どのフレーバーにも自社製のクラフトチョコレートがつかわれているとか。
それでちょっと、カラフルなのにセピアをまとったような色合いなのか。
ショコラベリーは、チョコレートの甘みでベリーの風味がとてもやわらかい。フルーティーなチョコレートアイス、といった感じ。
抹茶ホワイトも同様で、ホワイトチョコレートの甘みで抹茶特有の苦みが全然ない。某ハーゲンダッツのグリーンティーよりも、さらになめらかでマイルド。
食べて納得、これはチョコレートが主役の濃厚なアイスクリーム。
満足感が高いし、一年中食べられる。
調べたら、このアイスクリームがいただけるのはVANILLA BEANSの数少ない店舗の中でも今はここだけらしい。
なんとなくついていってよかったし、小さい人の強い意志、ありがとう。
もれなく、ショーコラも購入した。
こちらも、クリスマスやバレンタインを彷彿とさせる、真っ赤なパッケージである。
季節限定の、アップルシナモンショーコラ。アップルシナモンは魅惑の言葉。
ホームページによると、タルトタタンをイメージした味わいだとか。
この、正方形に文字だけのシンプルなパッケージがスタイリッシュ。
大きさは約4,5㎝四方だけれど、厚みは1㎝以上ある。
なめらかな生チョコレート部分に感じるつぶつぶモリモリとした食感は、ドライりんごと思われる。
りんご特有の風味ははっきりわからなかったが、チョコレートだけでは出てこないさわやかな果実感と、後味にふわりと香るシナモン。
りんごを感じとれなかったのは、直前に酒粕仕立ての味噌ラーメンを食べてしまったせいか、アイス同様にチョコレートが濃厚なせいか。
これもまた、今月末までの販売だったらしい。意図せず間に合った。
なんとなくついていったアウトレット、予想外にプライスレス。
たまにはいつもとちがうことをしてみるものだ。